臨床医がICTプロダクトを開発した理由——在宅医療を「面」で支えるという発想。
こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です
今回は在宅医療×ICTに関しての興味深い記事を皆さんとシェアしたいと思います。福岡市で在宅医療を実践しながら、ICTプラットフォーム「Pubcare」を開発・提供している村岡聡一先生のインタビューです。↓
第19回 在宅医療を「面」で支える―臨床医がICTプロダクトを開発した理由―|PwC Japan
「診療の質」より「情報が流通しない構造」が本質的な課題
記事の中で村岡先生がおっしゃっていることが、今井にはものすごく刺さりました。
「在宅医療の質は、良い医師がいるかだけでは決まらない。情報が適切に共有され、多職種が連携し、必要十分なコミュニケーションを過剰な負担なく実現できる環境が整備されて、初めて高品質かつ持続的な在宅医療が成立する」
・・・・これ、現場で働いている在宅医療者としては本当にその通りだと思います。
在宅医療の現場では今も、訪問看護師への指示書をFAXで送って、確認の電話をして、ケアマネに別途報告して・・・・という「情報のやり取り」に膨大な時間がかかっています。診療そのものより、その前後の事務作業の方が時間を食っているなんてことがざらにある。
村岡先生はその問題を「個人の頑張り」で解決しようとするのではなく、「仕組み」として解決しようとした。同じ在宅医として(自分は行動していないですが)「わかるわかる」と思いながら読みました(^^♪
「属人的な頑張り」を「仕組み」に変える
記事の中でもう一つ印象に残った言葉があります。
「個々の医師の熱意と頑張りに支えられている地域ほど、その先生がいなくなった瞬間に体制が崩れてしまう」
これ・・・・札幌でも全く同じ問題があります。
ある在宅医が突出した頑張りで地域を支えているけれど、その先生が倒れたり引退したりしたら?という問いに、多くの地域が答えられていない。今井自身もこれは常に意識していることで、だからこそ当法人では複数医師体制・訪問看護の充実・ケアマネとの連携を組織として作ることにこだわってきました。
「仕組みがあるから続く」——これが本当の意味での持続可能な在宅医療だと思っていますし、在宅医は本当はそれをしなければいけないのではと今井は思っていますよ。
医療DXの現実——「業務フローを変えない」という姿勢
村岡先生のもう一つの面白い視点が「業務フローを変えないDX」です。
AI-OCRで紙の書類をそのまま読み取れるようにしたのも、「紙が残る現実を否定せずに、DXを進める」という考え方から。
医療DXって、どうしても「全部デジタルに変えましょう」という押しつけになりがちですが・・・・現場の実態は、今日明日でFAXをやめられない事業所がまだまだたくさんある。そこに寄り添いながら少しずつ変えていく、という姿勢は現実的だし、現場の信頼を得やすいと思います。
(今井もICTツールの導入には関心があるんですが、「使いこなせなければ意味がない」という現実をいつも感じています)
在宅医療は「社会インフラ」になっていく
記事の最後で村岡先生がおっしゃっていた言葉が特に印象的でした。
「在宅医療の現場には、患者さんの日常そのものに近いデータが蓄積される。それは将来的に、臨床研究や医薬品開発、予防や生活支援など、さまざまな領域につながっていく可能性がある」
これ、今井も全く同じことを感じています。在宅医療は単なる「病院に行けない人への医療」ではなく、その人の生活・価値観・人生そのものに関わる医療です。そこに蓄積されるデータや知見は、これからの医療・社会の設計に必ず役立つはずです。
医療の形が根底から変わろうとしている・・・・そういう時代に在宅医療をやっていることを、改めて面白いなと感じた記事でした(^^♪
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