公開日:2024年01月24日

病院の統廃合、住民の意見もあるでしょうが、正直働き手の立場からも考える必要があります<室蘭・日鋼病院、分娩5月末休止 周産期医療維持に懸念 医師会「大変な事態」>

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

研修医の時に市立室蘭病院にお世話になっていた経過があるため、以前から室蘭の病院の統廃合がどうなるのか気になって定点観測していました。

2018年の記事はこちら⇒市立室蘭病院、製鉄記念室蘭病院、日鋼記念病院のたった3病院でも病院機能、病床再編の調整はできない現実!!【地域医療構想って本当に大丈夫?】

2020年の記事はこちら⇒地域医療構想における病院再編がいかに困難か~室蘭の3病院から考える~

2021年の記事はこちら(題名上記と似ていますが別記事です)⇒地域医療構想における病院機能の統合、病床削減がいかに難しいか~室蘭のケースから考える。

 

さてそんな中病院の統廃合の議論に大きく影響しそうな記事を見つけましたのでご紹介します。1月23日の北海道新聞の記事です↓

室蘭・日鋼病院、分娩5月末休止 周産期医療維持に懸念 医師会「大変な事態」

これまで2病院が分娩を取り扱っていましたが、1病院が休止する予定とのこと。ちなみに日鋼病院のHPではこちらのお知らせが載っていました。

正直ハード面での統廃合を考えるのに先行してどんどんソフト面(この場合は医師ですが)の問題により病院機能の統廃合が進んでいきますね。

この場合問題なのは、上記問題を正式にきちんと(痛みを伴いつつも)行政主導で議論しないと、結局は大学や民間の病院主体でどんどん時代にあわせて変化していくことになる、という点です。

行政が問題、議論を先送りにすればするほど、より統制がとれない状況が生まれていき結局は解決までさらに時間もかかり火種も大きくなってしまいます。

 

少なくとも自分が2018年から記事にしているので解決までは5年以上の時間があったハズです。今回の大学の決断は医師の働き方改革に伴いやむを得ない決断で、医局員や医師を守る立場からすれば当然のことです。なんでもっと室蘭の行政はきちんとやらないの?いつになったらやるの?結局はやらないなら自分達で考えて行動しますね、と大学側は考えているのでしょう。

 

全国津々浦々で同じことが起こりえます。今は病院という建物、ハードを残せ!っていう議論が先行しがちですが、結局国破れて山河在りではないですが、働き手の確保まで考えると医療機関の集約化はまったなしなんですよね・・・住民の意見をある程度(いい意味で)無視して、本当に地方に必要な10年20年先の医療を考えてシステム構築ができるのか、今行政の覚悟が問われていると今井は考えますよ。

 

継続してこの問題は定点観測していきます。また皆さんに情報提供したいと思いますよ!(^^)!