公開日:2022年06月01日

資料提供~チャイルド・デス・レビュー(CDR)の実装に向けた 展望と課題~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

皆さんチャイルド・デス・レビュー(CDR)って言葉自体は知っているでしょうか?定義としては<「(予防のための)子どもの死因検証」とも呼ばれ、事故や病気、虐待、自殺などで死亡したすべての子どもについて、死亡の経緯や治療状況、 家庭環境などの情報を集約して検証することにより効果的な再発防止策を導き出し、子どもの死亡を減らすことを目的とした取組み>とされています。

今回上記に関して自分はあまり知らなかったのですが、とても興味深い資料見つけましたのでご紹介します。自分と同様、CDRに関してあまり知識がなかった方も一読しておいて損はない内容かなと思います。気になる方は5分で読み終わりますので是非確認してみてください。

SOMPOインスティテュート・プラスさんより

チャイルド・デス・レビューの実装に向けた展望と課題

 

 

文中の気になった文章をいくつか挙げると

●CDR がスタートして 40 年以上経過するアメリカにおいても、課題は残る。児童虐待死削減に取組む弁護士 Liz Oppenheim 氏は「CDR が全米で法制化されたため、どの州もその報告書やデータを出すことを求められており、その労力が大きく、本来の目的である予防可能な死亡を予防することにあまり貢献できなくなっている」13と制度の形骸化に警鐘を鳴らす。さらに、「CDR は労力のわりに提言の有効性の検証が不十分であり、コストパフォーマンスが高いとは言い切れない現状がある。今後日本が導入するにあたり、盲目的にアメリカ・モデルの CDR を追従すべきではない」14と日本における CDR の実施に対して注意を喚起する。

●日本では複数の機関で横断的に死亡を検証する制度が存在しない。種々の死亡調査制度はあるが、虐待死が疑われる事案や保育園内での事故は厚生労働省、学校管理下での事故は文部科学省、製造物責任が問われる事案は消費者庁、というように縦割りで実施され、情報は一元管理されない。・・・、2016 年度から 2020 年度にかけて学校管理下で児童・生徒が死亡した 119 件のうち、詳細調査が行われたのは 13 件に過ぎなかった。

●厚生労働省はこれらの法の成立を受けて 2020 年度から 7 都道府県において CDR のモデル事業を開始した・・・。モデル事業に参画した滋賀県は、2018 年から 2020 年に死亡した 18 歳未満の子ども 131 人に対して調査を実施し、そのうちの 3 割の死亡は防げた可能性があると分析した

●・・また、個人情報取扱いの問題も残る。個人情報の取得・提供や子どもの検死・解剖には遺族の承諾が必要となる。虐待死が疑われる事案において、遺族が虐待を行っていたとしたらこれに承諾するとは考えにくい。
よって遺族の承諾がなくても対応可能とする法整備が求められる。厚生労働省のモデル事業におけるガイドラインでは、親の同意が得られなかった場合は調査対象に含まないこととしているが、これでは全件調査という CDR の目的には沿わなくなる。モデル事業に取り組む山梨県では、個人情報保護審議会で県の個人情報保護条例の例外許可を申請し承認された22が、都道府県の判断に委ねることなく国が方針を示すことが必要であろう。

 

 

非常にまとまった資料でCDRが今後普及していくためには何が問題となるのか、国がどう対応していくべきなのかよく理解することができる資料でした。公開してくれたSOMPOインスティテュート・プラスさんと著者に1医療者として本当に感謝ですね。

 

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