公開日:2022年03月07日

5~11歳の小児へのワクチン接種を検討しているご両親へ:小児科学会の提案を一度ご自身で確認してみてください。

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

5~11歳の小児のワクチン接種がスタートしますが、実際に自分の子供に打つことを検討しているご両親は一度学会の提言をきちんと確認したほうがいいかと思いますよ。

5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

1. 感染状況とワクチンに関する知見

1)国内における5~11歳の新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)症例の大多数は軽症ですが、感染率が同年代人口の1~2%にとどまるなかでも、酸素投与などを必要とする中等症例は散発的に報告されています1)。今後、全年齢において感染者数が増加した場合には、ワクチン未接種の小児が占める割合が増加し、小児の中等症や重症例が増えることが予想されます。
2)2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者において重症化リスクが増大することが報告されています2)
3)長期化する流行による行動制限が小児に与える直接的および間接的な影響は大きくなっています。
4)国内で5~11歳を対象とする接種への承認申請が出されているワクチンは、現時点ではファイザー社製のみです。同ワクチンは従来のワクチンと比べ含有されるmRNA量が1/3の製剤で、使用に際し注意が必要です。海外では、5~11歳の小児に対する同ワクチンの発症予防効果が90%以上と報告されています3)が、新しい変異ウイルス(オミクロン株など)への有効性を示すデータは十分に得られていません。
5)米国では、2021年11月3日~12月19日までに5~11歳の小児に約870万回のファイザー社製ワクチンが接種され、42,504人が自発的な健康状況調査(v-safe)に登録されました。2回接種後、局所反応が57.5%、全身反応が40.9%に認められ、発熱は1回目接種後7.9%、2回目接種後13.4%に認められました4)
6)上記と同期間に、米国の予防接種安全性監視システム(VAERS)には、4,249件の副反応疑い報告がありました。このうち97.6%(4,149件)が非重篤でした4)。重篤として報告された100件(2.4%) の中で最も多かったのが発熱(29件)でした4)。11件が心筋炎と判断されましたが、全員が回復しました4)
7)5~11歳の小児では16~25歳の人と比べて一般的に接種後の副反応症状の出現頻度は低かったと報告されています5)

2. ワクチン接種の考え方

1)子どもをCOVID-19から守るためには、周囲の成人(子どもに関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン接種が重要です。
2)基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、COVID-19の重症化を防ぐことが期待されます。基礎疾患を有する子どもへのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます。
3)5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考えています。健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要です。
4)接種にあたっては、接種対象年齢による製剤(12歳以上用と5~11歳用のワクチンでは、製剤・希釈方法・接種量が異なります)の取り扱いに注意が必要と考えます。また、集団接種を実施する場合においても、個別接種に準じて、接種前の問診と診察を丁寧に行い、定期接種ワクチンと同様の方法で実施することが望ましいです。
より詳細なデータが出た時点で、接種に対する考え方について随時検討する予定です。

新型コロナウイルスワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等

新型コロナウイルスワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方

 小児の新型コロナウイルス感染症は軽症のことが多い1)とされていますが、オミクロン株の流行で小児の感染者数が増加しており、特に10歳未満が増加していることが報告されています2), 3)。このような状況から、学校や幼稚園・保育所でのクラスターなどが報告されるようになりました。国内外の知見において、小児でも2歳未満と基礎疾患のある小児患者には重症化リスクがあることが報告されています4)
そこで日本小児科学会は、「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」においてこの年齢層の子ども達へのワクチンについての考え方を示しています。
 ここに記載している「基礎疾患等」とは具体的に以下のものが考えられます。接種にあたっては、本人の健康状況をよく把握している主治医に事前に相談し、メリットとデメリットを理解したうえで判断することが望ましいと考えます。
参考資料
1.Shoji K, et al. Comparison of the clinical characteristics and outcomes of COVID-19 in children before and after the emergence of Delta variant of concern in Japan. J Infect Chemother. 2022 Jan 20; S1341-321X(22)00022-8.
2.国立感染症研究所:新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2022年2月2日現在). https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/10953-covid19-ab70th.html(閲覧日2022年2月5日)
3.国立感染症研究所:新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報:発生動向の状況把握https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/10754-2021-41-10-11-10-17-10-19.html(閲覧日2022年2月5日)
4.Kainth MK, et al. Early experience of COVID-19 in s US children’s hospital. Pediatrics 2020; 146: e2020003186.

新型コロナウイルスワクチン接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等

①慢性呼吸器疾患

注釈
・慢性呼吸器疾患 気管支喘息を除く
・気管支喘息(コントロール不良の難治性喘息)

②慢性心疾患

注釈
・先天性心疾患
症状がある、または治療ないし運動制限を受けている
不整脈、肺高血圧がある、または治療ないし運動制限を受けている
半年以内に心臓手術を予定している、または過去3か月以内に心臓手術を受けた
複雑型先天性心疾患(心内修復術前)ないしフォンタン手術後
染色体異常、先天異常症候群、全身合併症がある
・後天性心疾患、心筋疾患、不整脈、肺高血圧、冠動脈疾患
有症状、または治療中
心臓・肺移植を予定している、または移植後
ステロイド薬や免疫抑制薬の使用など免疫低下がある

③慢性腎疾患

注釈
・慢性腎疾患、末期腎不全 血液透析、腹膜透析を受けている
・腎移植 免疫抑制療法を受けている

④神経疾患・神経筋疾患

注釈
・脳性麻痺
・難治性てんかん・神経疾患
・染色体異常症
・重症心身障害児・者
・神経発達症 マスクの着用が困難である場合

⑤血液疾患

注釈
・急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、ランゲルハンス細胞性組織球症、血球貪食症候群、慢性骨髄性白血病
・再生不良性貧血、先天性好中球減少症などの骨髄形成不全
・造血幹細胞移植後半年以降
・原発性免疫不全
・溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病 免疫抑制療法を受けている

⑥糖尿病・代謝性疾患

注釈
・アミノ酸・尿素サイクル異常症、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症、糖質代謝異常症、ライソゾーム病、ミトコンドリア異常症

⑦悪性腫瘍

注釈
・小児固形腫瘍

⑧関節リウマチ・膠原病

注釈
・リウマチ性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、血管炎症候群

⑨内分泌疾患

注釈
・副腎機能不全、下垂体機能不全など
・甲状腺機能亢進症

⑩消化器疾患・肝疾患等

注釈
・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
・胆道閉鎖症(葛西術後)
・肝移植、小腸移植後
・自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎
・肝硬変、肝不全
・短腸症
⑪先天性免疫不全症候群、HIV感染症、その他の疾患や治療に伴う免疫抑制状態

⑫その他の小児領域の疾患等

注釈
・高度肥満
・早産児
・医療的ケア児
・施設入所や長期入院の児
・摂食障害 体重減少が著しい場合(極端にやせが進行した場合)

⑬海外での長期滞在を予定する者

 

以上が現在確認できる内容ですよ。お子さんへの接種希望の方は遠慮なくご連絡ください。当院で接種できる人数は少ないですが、責任をもって対応したいと思います。

 

 

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