公開日：2021年06月04日

かかりつけ医、在宅医の日常診療はどんな感じ？～とある患者さんから～

こんにちは、札幌のかかりつけ医＆在宅医＠今井です。

皆さんかかりつけ医や在宅医の日常業務がどんな感じがイメージつきますか？かかりつけ医って何しているんだろう？漠然と何となくかかりやすいお医者さん、くらいの印象しかないかもしれませんが、今回とある患者さんで実際かかりつけ医がどのように考え診療、患者さんや家族をフォローしているのかをちょびっとだけ書いてみたいと思います。

＜かかりつけ医、在宅医の日常業務＞

５０代男性、認知症の母親（当院訪問診療で診療中）の介護をしており３世代で同居、子供３人は高校生と大学生、本人は介護関係の仕事をしている。妻もパートで業務。

この男性長年献身的に介護の仕事に従事されていて、とてもその仕事にやりがいを覚えています。３年前までは在宅の分野で、現在は施設の職員さんとして勤務されています。が、長年の業務が原因で腰痛が悪化、今回歩行が厳しくなり外来受診されました。

かかりつけ医の外来として外来にて所見とりCT撮影、腰椎ヘルニアと診断、手術適応あるかと考え整形外科の先生に紹介しました。後日整形受診したところやはり手術したほうがいいだろうとの判断になったのですが、再度男性は当院の外来を受診され以下のことを話されました。

●手術は本当にしたほうがいいか、症状ごまかしながら経過みてしないほうがいいか

●手術の時期はいつがいいか、今すぐか来年か・・・

●手術とリハビリで２か月～３か月かかると言われたが、その間母親をどうしたらいいか

●術後しばらくは身体介護を含む仕事は無理そう、ただ子供にもお金がかかる時期だし仕事はしなければいけない・・・どうしたらいいか

●医療制度で何か使えるものなどはないか

この相談に対して、この男性のかかりつけ医として、またお母さんの在宅医として自分は以下のようにお答え＆調整しました。

●現状の症状を考えると＆職業と今後のことを考えると絶対した方がいいと思いますよ

●手術は症状を考えるとできれば早めがいいでしょう。先延ばしにして腰以外の症状が出た人もいるし、あなたの性格を考えると無理したらダメ、と言っても困っている患者さんいたら介護するでしょう？絶対症状悪くなるので早めがいいと思いますよ。

３番目のお子さんは来春受験が控えているし、手術～術後にかけてお母さんはショートなり利用することになり自宅からいなくなるだろうから、その期間は逆に勉強はかどるから秋くらいに手術するのがいいんじゃないですか？

●お母さんに関してはこれまでの経過を考えると現在デイで利用している施設のロングショートステイを利用するよりは老健入所してリハビリしながら３か月くらい預かってもらう方がいいかと思います。リハビリなくて３か月のロングショートなら多分下肢筋力低下して、逆にあなたの術後に介護量増えて大変になると思います。リハビリある○○○とかの老健なら入所中の下肢筋力低下もある程度抑えられるのかと思います。担当のケアマネさんと手術機関中の入所先にはこちらで相談しておきますね。もし介護保険の区分変更なども必要なら対応しますよ。

●仕事に関しては諸々あるかと思うけれど、今の施設で身体介護メインの業務は長期的にみたら厳しいかなと思います。今回は手術しないけれど頸椎のヘルニアもあるし、今の業務続けていたらかなり負担感が高いかと・・・介護の仕事が好きで続けたいなら、できれば身体介護が少ない生活支援がメインの業務ができるところに転職したらいいのでは？

また術後リハビリ期間中はしばらくは長時間勤務は難しいかも知れないので、例えばですがコロナ患者さんの療養施設みたいなところでパート勤務するのも手ですよ。幸い○○さんはもうワクチン接種していますし、術後体力戻った状態ならそんなにリスク少ないかと思います。

あとは介護以外の仕事でもいいなら○○とか○○とかの仕事もあるみたいですよ。少し考えてみませんか？

どうしても本当に金銭的につらかったらお子さんにも学費分アルバイト少し頑張るようにお願いするのも手ではないですか？

●金銭的なサポートですが高額療養費や医療費の限度額認定などの制度はありますよ。所得などによりますがよかったら当院のMSWと相談してみてくださいな。

とこんな感じで診療致しました。疾患の診療のみならず、患者さんや家族の家庭のこと、生活のことを総合的に相談して、一緒に解決方法を考えていくのがかかりつけ医＆在宅医の日常業務だと思っています。

まぁ当然ですがこんなこと外来でやっていたら時間かなりかかるので人数はこなせません。また診療以外でも調整業務が入ったり、当院のMSWや看護師の力も借りるのでマンパワーも必要です。でも当院の外来や在宅診療はこれでいいんだと思っています。人数こなしてお金稼ぐのが診療の目的ではないんですから。

いかがでしょうか？何となくかかりつけ医や在宅医の仕事がどんな感じか理解してもらえたでしょうか？皆さんの住んでいる近くにも、必ず同じように診療してくれているかかりつけ医の先生はいるはずです！頑張って見つけてみてください。きっと身体や生活が楽になると思いますよ。

当院は現在在宅医療に興味のある医師や看護師を随時募集しています。興味ある方はまずはご連絡くださいね。お待ちしています。

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