公開日:2019年11月05日

治療方針の決定は患者さんの希望を優先?家族の希望を優先?

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

外来診療でも在宅医療の現場でも日々色々な患者さんを診察させて頂いています。その中で最近よく感じるのが治療方針の決定の際にどれだけ患者さんの意向が反映されているのかなぁという疑問です。

患者さんが家族と一緒に受診する→病状や療養の方針について説明する→家族の希望が優先され入院や入所となる、といった流れが本当に多いです。

基本的には自分の立場は「患者さん本人がどう希望するのですか?」「たとえ見守り体制が施設や病院の体制と比べて劣ったとしても、本人の希望するととおりに生活させてあげることは難しいですか?」と言った形で、できるだけ患者さん自身の利益になるような形での会話をしているつもりですが・・・・中々家族の同意を得るのは難しいですね。

 

患者さん本人の治療上の意思決定支援や終末期の医療に関しての意思表示、今後必ずもっともっと社会的な問題になってくるのは間違いないと感じています。

そんな中ですが日本総研のHPに面白い資料を見つけました。「急がれる医療同意に関する法制度の構築-身元保証人によらずとも患者の意思を反映できる制度に」です。

内容を一部抜粋すると

「本人の意思の尊重と最善の利益を基本とする欧米の法制度
欧米、なかでもイギリスやドイツでは、本人の意思の尊重と最善の利益(ベスト・インタレスト)を基本とし、本人が作成した医療行為に関する事前指示書が最優先され、本人の意思決定能力が欠如していると法的に判断された場合に限り、第三者に同意代理が認められる。しかも、代理権者は本人による指定者と法的代理人に限定され、家族というだけでは代理権者になれないうえ、手術や延命治療といった本人への影響の大きい(侵襲性の高い)医療行為については法的機関の許可が必要であるなど、同意代理権の乱用防止が図られている。

曖昧さが残る厚生労働省の指針
厚生労働省は、2007 年5 月に、医療従事者向けに終末期にある患者の医療方針決定プロセスに関する指針を策定したが、内容をみると、医療方針決定のアウトラインを示すにとどまっている。本人の意思決定能力の判定基準や同意代行できる家族の範囲などが曖昧で、医療機関や家族等の裁量に委ねる部分が多い。このことが、明確な基準もなく、親族や身元保証人に医療同意を求める慣行が根付いている要因の一つになっている。

欧米制度を取り入れるも、家族中心主義が残存する法制度案
日本弁護士連合会や成年後見センター・リーガルサポートも、それぞれ法制度案を作成した。いずれも、英独制度に倣い、本人の意思の尊重とベスト・インタレストを基本とし、同意代行者の要件を明確にするとともに、同意代行の乱用を防止するため、独立した機関や公的機関による審査・許可を義務付けている。ただし、親族は自動的に同意代行者となることができるなど、依然、家族中心主義が残存している。こうした状況が続けば、「身寄りを頼れない高齢者1,000万人時代」に対応できず、大きな混乱が生じることが予想される。」

 

中々面白いですよね。PDFでの資料もありましたので提示します。興味ある方は是非一度内容を確認して頂ければと思いますよ。一緒にこの問題について考えておきませんか?

 

 

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