京大薬剤師によるセレン注射液調剤ミス、医療事故での書類送検は妥当でしょうか?【医療事故の責任は個人orシステムエラー?】

こんにちは、札幌は宮の森のかかりつけ医@今井です。

医療事故は個人の責任とすべきでしょうか?システムエラーと考えるべきでしょうか?

京都大学でのセレン調剤ミスでの患者死亡事故、薬剤師さんが書類送検とのことでヤフーニュースでもとりあげられていますね。

京大病院元薬剤師2人書類送検 調剤ミス容疑、患者死亡

京都大医学部付属病院(京都市左京区)に通院していた女性患者が点滴用注射液の調剤ミスで死亡したとされる問題で、京都府警捜査1課と川端署は23日、業務上過失致死の疑いで、同病院に当時勤務していた元薬剤師の男性(32)=大阪府茨木市=と女性(38)=札幌市北区=の2人を書類送検した。府警は2人の認否を明らかにしていない。
2人の書類送検容疑は昨年9月4日、同病院に通院していた京都市の60代の外来女性患者に自宅点滴用のセレン注射液を手渡す際、誤って通常の千倍の濃度に調剤した注射液を処方した。同月26~27日、女性に自宅で注射薬を混ぜた輸液を点滴させ、セレン中毒による急性循環不全で死なせた疑い。
府警によると、調剤担当の男性が昨年5月、水に粉末状の亜セレン酸ナトリウムを混ぜる際、電子計測器の表示単位を見間違え、正しくはミリグラム単位を誤ってグラム単位で量り、千倍の量の粉末を使用して注射液を作った。女性は、調剤過程などをチェックする役割だったが、漫然と作業したことで、男性のミスを見過ごしたという。
女性の死亡を巡っては、京大医学部付属病院が同年10月に事実関係を公表した。今年3月、女性の死因がセレン中毒で、セレン注射液の処方過程で調剤ミスが発生したとの検証結果を発表していた。

 

ということで内容が気になったので京大が発表したという検証結果の資料を読んでみました。

京大HP→当該ページがこちら

検証報告書の概要→こちらです

より詳細な資料→こちらです

概要と資料の一部のみ下に抜き出してみます。

 

資料みてもらえればわかりますが、確かにヒューマンエラーの部分もあったのでしょうが、マニュアル等の整備により防ぐことができた医療事故であったのではないでしょうか?

実際概要の文章にもあるように

毒物・劇物の保管・廃棄方法について現場に正しい知識がないまま、運用が継続され、「医薬用外毒物」管理簿は、試薬瓶の残量を正しく記録する形になっていなかった。

また、院内製剤記録簿とされている書面は、実態は、院内製剤手順書であり、品質工程の管理として適切な形式ではなく、秤量工程が正しく実施されたか検証することができなかった。品質管理の体制が確保されておらず、不具合品情報への対応手順が策定されていなかった。
品質管理体制に不備があったために、高濃度のセレン注射薬が患者へ交付されるに至った経緯の詳細を解明することができなかった。
また、対象患者数が 2 名であり、実際の使用量を考慮した場合、使用期限を考慮すると残量が多くなってしまうことから、1 回あたりの製造量は適切であるとは思えない。院内製剤に関するレシピは状況に応じて適宜見直すことが必要であり、最小限の量とすべきである。

これだけの見直すべき部分がある中で運用されていたのであればむしろこの事故は起こるべくして起こったような気がするのは自分だけでしょうか?

2014年4月にも国立国際医療研究センター病院で起きた、研修医によるウログラフィン誤投与事件に関しても、結局は医療事故はシステムエラーではなく個人の責任に帰してしまうという残念な結果に・・・・

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今後日本ではこのようなシステムエラーが関与している医療事故でもやはり個人の責任を追及される形になるのでしょうか?

個人的には医療事故は原則個人の責任ではなくシステムの問題、組織の問題として対応すべきではないかと考えていますが、皆さんはどう考えますか?

よければご意見くださいね。(時間ある方上にアップされている京大の資料少し読んでみてください)

 

 

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