公開日:2018年05月24日

5月23日に開催された財務省財政制度等審議会の<新たな財政健全化計画等に関する建議>について~社会保障改革への提言の内容

こんにちは、本日も朝7時から診療している札幌のかかりつけ医@今井です。

5月23日に財務省の財政制度等審議会が開催され、新たな財政健全化計画等に関する建議が公表されました。

まずはその概要の資料をみてみましょう。

社会保障関連の内容抜粋しますが気になる所は赤にしますね。

 

1.医療・介護
「高齢者の増加による費用の増加」に加え、「支え手の大幅な減少」や「医療の高度化・高額化」という「3つの課題」に対し、以下の視点で改革に取り組んでいく必要。
(視点1) 制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲としていく(共助の対象は何か)
・ 「高度・高額な医療技術や医薬品への対応」:経済性等を踏まえた公的保険での新規医薬品等の対応の在り方、費用対効果評価の活用(保険収載の見送り又は償還可能水準までの薬価引下げ)。
・ 「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」:市販品とのバランス等の観点からの薬剤自己負担の引上げ、高い外来受診頻度を踏まえた受診時定額負担の導入(かかりつけ医・薬局への誘導の観点からの負担額設定も検討)、ケアマネジメントの質の向上等の観点からの利用者負担の導入、軽度者への生活援助サービス等の地域支援事業への移行。
(視点2) 必要な保険給付をできるだけ効率的に提供する(公定価格と提供体制)
・ 「公定価格の適正化・包括化」:国民負担を考慮した診療報酬の抑制と政策効果の検証、薬価制度の抜本改革(残された課題の着実な実施)、調剤報酬の改革、在宅と施設の公平性の観点等からの多床室における室料負担の見直し。
・ 「医療提供体制の改革」:地域医療構想の促進、外来医療・高額医療機器の配置・在宅サービス等へのコントロール、都道府県のガバナンス強化の観点からの法定外繰入れ等の解消と地域別診療報酬の活用等、介護保険における保険者機能強化のためのインセンティブの活用、頻回のサービス利用の適正化、介護サービス事業所・施設の経営の効率化。
(視点3) 高齢化や人口減少の中でも持続可能な制度としていく(給付と負担のバランス)
・ 「年齢ではなく能力に応じた負担」:世代間の公平の観点等からの後期高齢者の窓口負担の2割への引上げ・現役並み所得者の判定方法の見直し、介護保険の利用者負担の引上げ、金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの導入。
・ 「支え手減少下での医療費増加に対しても制度の持続可能性を確保」:支え手の大幅な減少と実効給付率の上昇の中、負担能力を超えた給付増について保険料等の負担上昇のみで賄う仕組みを改め、将来にわたり支え手の負担が過重にならないよう給付率(自己負担)を自動的に調整する仕組み
2.年金
・ 高齢者の就労促進や将来世代の給付水準の維持・向上の観点から、支給開始年齢について、十分に準備期間を設けることを前提としつつ、更に引き上げることについて議論を深めていくべき
・ 年齢ではなく能力に着目し、高所得者に係る基礎年金国庫負担相当分の給付停止や年金課税の見直しを行うべき。

 

ということで諸々この概要の資料だけでも面白いですが、さらにもっと詳しい資料もありますので是非こちらもみてみてください。長いですが社会保障関連はP14~56までですが医療・介護関係者なら必見だと思います。

(参考2)参考資料

一例ですがこんな感じの資料がずらずらでています。

個人的には既存の制度についていくら論じようが

高齢でもう限界、息も絶え絶えで何とか生きている患者に必死の医療を施しても蘇生は不可能

って強く言いたいですね。昭和から続く現在の社会保障制度は瀕死の状態ですよね、おそらく一般市民の人も薄々気がついていますよね?

もう現在の医療制度で対応できる時代は過ぎました。フリーアクセスの制限含め医療・介護保険の根本的な見直し、年金や生活保護制度の整合性など根本的な所で改革しないと社会保障に国が全て引っ張られる形で地盤沈下していくのは避けられないかと感じています。皆さんはどう考えますか?

 

ちょうどいいタイミング、同日の5月23日に日本総研から<医療・介護保険制度に関する財務省改革案の評価と課題>って意見が財務省の改革案に対し表明されていますので是非一読ください。

自分もこの飛田さんと同意見ですよ。同文章の、終わりに、の文章抜粋しますが皆さんはどう考えますか?

財務省案はこれまでの議論より一歩も二歩も踏み込んだ内容と評価されるが、既存の制度を前提にした改革では効果に限界がある。リフォームを繰り返しても、土台が傷んでいればいずれ家は崩壊する。わが国の医療・介護保険制度がこのような事態に陥る前に、政府に対しては真の構造改革の断行を期待したい。