公開日:2018年05月09日

在宅患者さんの生活の尊厳と医療と【24時間管理されることは必要なのでしょうか?】

こんにちは、昨日も深夜往診した札幌の在宅医@今井です。

在宅患者さんって24時間見守りって本当に必要でしょうか?

以下読売新聞の記事をお読みください。少し長いですが全文引用します。

在宅患者の体調、24時間把握…リストバンド型端末が脈拍数を自動送信

<在宅医療を受ける高齢者向けに、腕に着けるだけで体調の変化が自動的に医師や医療機関に伝えられる機器を岐阜県の病院などが開発し、医療機器の認証を受けた。認証取得は先月12日。一人暮らしの高齢者を訪問しなくても、効率的に健康状態を確認できるとして、医療機関や介護の現場などから「使用したい」との要望が寄せられているという。高齢化が進む中、在宅医療を支援し、患者の安全性を高められると期待されている。(茶山瞭)

 機器はリストバンド型の防水仕様の端末(重さ約25グラム)で、通称「いつでもウォッチ」。松波総合病院(岐阜県笠松町)の松波英寿理事長(61)が発案した。腕に装着しておけば、専用の送受信機を介して脈拍の状態が送信され、即時にかかりつけ医のパソコンやタブレット端末に反映される。脈拍数低下などの異常があると医師に自動的に通知され、患者はボタンを押すだけで医師に体調の異変などを伝えられる。

 患者が自宅にいながら、医師は健康状態を把握でき、緊急時には救急車の手配や応急処置といった対応が迅速にできる。医師は訪問の回数を減らせるため、在宅医療の普及にもつなげられるという。孤独死の防止になるほか、災害時の安否確認にも活用が可能だ。

 同病院は昨年11月以降、院内や特別養護老人ホームなどで実証試験を実施。現場からは「脈拍などのデータが蓄積できるため、入所者の体調の変化が分かりやすい」などの反応があったという。同病院と共に機器を開発した病院・介護関連サービス会社「トーカイ」(岐阜市)は「小型化し、コストも抑えられる。医療機器認証も受け、安心して使ってもらえる」とする。

 すでに全国約40か所の医療機関や介護施設などから実証試験を行いたいとの要望があった。医師や施設の要員が限られる中、在宅患者や施設入所者について、身体に負担をかけず体調が把握できる点が評価されているという。

 松波理事長は「こうした機器がないと、高齢化が進む日本の将来の医療は絶対に成り立たない。普及させていきたい」と力を込めた。

「在宅」急増…2025年には100万人

 機器が注目される背景には、今後、在宅医療を受ける人は急増すると見込まれることが挙げられる。厚生労働省によると、2014年の約65万人から、25年には約100万人に達する見通し。医師やベッドの数が限られるため、同省は診療報酬を手厚くするなどして在宅医療を推進している。同省在宅医療推進室の担当者は「機器の有効性が分かれば、在宅医療を普及させる参考になる」と期待する。

 在宅医療に詳しい新宿ヒロクリニックの はなぶさ 裕雄医師は「自宅で診療を受けたいという患者の希望をかなえ、医療の選択肢を増やすことにもつながる」と評価する。その一方で「機器のようなハード面だけでなく、今後は、いつ、どこで、誰が患者を見守って対応するかなど、地域参加型の高度な態勢づくりが必要になるのでは」と課題も指摘している。>

 

って書いてありますが・・・・皆さんはこれをみてどう考えますか?

自分は

①介護医療院や特定施設などの”施設”入所時に使用する分には仕方ない部分もあるかも・・・・

②ただ居宅や高齢者住宅に入居して”生活している”人であれば使用するのはどうだろうか?

③この装置自体が病院の医療を在宅に持ち込む、いわば”管理する医療”をそのまま在宅医療に持ち込んでいる気がするので、地域包括ケアの根本的な生活がベースにあって医療が支えるという考えからは根本的に違うような気がする

④とはいえ認知症患者さんで状態が不安定な場合などは使用するのはいいのかも知れない

と考えました。患者さんの状態と場合によっては使用するのもありかも知れませんね。

ただやっぱり在宅医療、地域包括ケアって患者さんや高齢者、障害を持つ人がその人らしく生活するためにあるべきものって考えると、自分にとってはやっぱりこう管理するための道具を24時間つけっぱなしって違和感が拭えないですね。ましてや本文中にあるように機器の有効性が分かったとしてもそれだけで在宅医療を普及させる参考になるとは到底思えせんね。

 

皆さんはどう考えますか?

 

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