公開日:2018年03月07日

抗がん剤治療において在宅医療者にできる役割とは

こんにちは、札幌の在宅医@今井です。

抗がん剤治療中の患者さんを病院と併診して診察する、もしくは病院から指示がでて訪問看護でサポートすることはよくあるかと思いますが、その時に在宅医療者にできる役割とはなんでしょうか?

結論から先に言うと、自分は在宅医療者は病院医療者よりも治療に対してはの意思決定支援がより適切にできるのではないかと考えています。

病院では適切な意思決定が難しい理由

決してできない訳ではないです。が、病院の中でで抗がん剤治療を続けるのかどうかを決定するのは以下の点からも難しいと自分は考えています。

①充分な時間がない

医療者に時間がないためどうしても治療に関しては医学的な側面のみを強調した治療方針の決定になりがちです。後述するように本人がどう考え何が不安なのか、どう考えているのかうまく言語化できていない状態で治療の継続の可否を考えることになるのかなと思います。

②適切な場所がない

治療の継続やどうしたいかに関しては医師や家族の考えは重要ですが何よりも本人の意思がもっとも重要ですね。意思決定するその場、本当に本人が言いたいことが言える場でしょうか?自宅の環境と比較するとやっぱりアウェーの病院の雰囲気の中で自分の真意、というか自分に向き合ってからの発言をすることは中々難しいのではないかと思います

③やっぱり自分や家族と向き合うことが難しい

やはり病院の環境って独特ですよね。治療に専念するための環境です。それ自体は悪くないのですがその中では患者さんや家族が過去にどう過ごしてきて今があるのか、他の家族とのかかわりはどうなのか、などなど自分や家族の物語に関して思い出すこと、振り返ることが難しいのではないでしょうか?抗がん剤での治療は治療した上でどうしたいのか、何をしていきたいのかを確認してから治療することが重要ではないかと思いますが病院の中では自分や家族の今までを振り返って見つめなおすことは難しいのではないかと感じています。

在宅ではどうか

自宅では部屋の雰囲気を楽しみながら家族の写真をみての会話となります。とりとめのない会話から夫婦の関係がどうであったのか、子供が何人いてどいう風に患者さんが子供たちに考えているのか、故郷はどこでそこに対してどう思っているのか、治療に対して夫婦での考えはどうなのか、本人は何に疑問や不安を思っているのか、などなど本当にたくさんのことをお話ししてくれます。

病院の医療者は患者さんの発言=患者さんの真意、と思ってしまうかも知れませんが自分はすぐにはそうは思いません。概して患者さん自身も自分がどう思っていてどうしたいのか、気がついていないことが多いです。たくさん会話をし過去や家族を振り返る中で患者さん自身が考えそして自分の本当の意思を確認できること、そのお手伝いをすることが抗がん剤治療中に在宅医療者にできる役割ではないでしょうか?

 

皆さんはどう考えますか?ご意見あれば教えてください。

 

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