公開日:2017年12月21日

在宅療養支援診療所と在宅緩和ケア専門の診療所って何が違うんですか?

来年度の目標をそろそろつくらなければいけませんね・・・・・

 

こんにちは、札幌市でも少しずつ在宅医療や在宅緩和ケアが浸透しつつあるかなと思う今日この頃ですが、先日患者さんのご家族の方から「在宅療養支援診療所と在宅緩和ケア専門の診療所って何が違うんですか?」との質問がありました。個人的に思うことをご家族に説明したのですが、スパッとうまく説明できなかったのでその反省も込めて、文章書いて自分の考えをまとめていきたいと思います。

 

以下今井の個人的な考えですのであくまで参考まで

 

まずは在宅緩和ケア専門の診療所と一般的な在宅療養支援診療所を区別する前に、在宅療養支援診療所とは何かをきちんと理解するところからスタートすることが重要かと思います。なのでまずは「そもそも在宅療養支援診療所とは」から始めたいと思います。

在宅療養支援診療所は、通院困難な患者さんに24時間体制で往診や訪問診療を行う在宅医療を提供する診療所、と定義できるかと思います

基本的には在宅医療は全人的に患者さんを診察することが求められるので、在宅療養支援診療所では疾患により診療を受ける、受けられないっていう判断はしないと思います。認知症の方でも診るしCOPDや脳血管障害の患者さん、褥瘡の患者さん、ALSの患者さんなどなんでも診察します。

その中の一つの病態としてがん、非がん終末期の患者さんももちろん診察しています。緩和ケアの知識もベースにありますし、どの疾患の患者さんであっても自宅での緩和ケアをベースにした上で、治療をするのかどうか、治療をしないなら最期まで自宅で療養するかそれとも入院や住宅などを選択するのか、などを相談していくことになると思います。もちろん自宅での看取りも在宅療養支援診療所の大事な業務の一つであり、積極的に行うことが求められています。

そんな在宅療養支援診療所ですが、診療所の性格上老衰や体力低下を来す高齢者の方は本当に多いです。診療所の機能として大事なことはその診療所のみで治療を完結することではなく、(つまり高度な医療を提供することを目標とすることではなく)「どのように患者さん本人の意思に沿った医療を提供するか」という意思決定支援をしてあげる事なんじゃないかと思います。患者さんの生育歴や生活、金銭、社会状況などの情報を加味して今後どうするのがベストなのか一緒に考え、悩んであげること・・・・・もちろん家族の方への配慮なども必須です、そんなことができる在宅医が所属する診療所が在宅療養支援診療所ではないかと考えています。

 

とまあそんな感じで在宅療養支援診療所を振り返ってみましたが・・・・・うーん、在宅療養支援診療所でも緩和ケア領域の支援はきちんとおこなっていますよね。ただそれを踏まえた上で在宅緩和ケア専門の診療所は何が違うのかというと、やっぱり緩和ケアの知識や機械類などの設備が充実している、スピリチャルケアやグリーフケアが通常の在宅療養支援診療所よりうまい、年少者の緩和ケアやその家族のケアも専門的にできる、病状予測が的確、などが特徴になるのではないでしょうか。前述のご家族の方にもそのような旨をさくっと説明したと思います。(自分の考えをまとめるためにもごちゃごちゃ書きましたが、「青いリンゴか赤いリンゴかの違いですよ。種類が違えば味や大きさには違いがありますが、リンゴはリンゴであることには変わりはありません」ってまとめちゃったら怒られるでしょうか・・・・・・)

 

ひとまずこれから先、将来の在宅医療では多くの在宅療養支援診療所が活動しますが、それらの合間を支援するような少数の在宅緩和ケア専門の診療所も必要になってくるのでしょうね。来年以降さらに札幌でそのような診療所が充実してくるのかどうか、注目していきたいと思います。

 

 

 

さて当院は特に在宅緩和ケアを専門としてはいないですが、上記のように患者さんや家族の方と一緒に考え、悩み、苦痛をともに分かちあいながら診療をしていくこと、もちろん行いますよ。癌に限らず通院が難しいけれど自宅で過ごしたいと思う患者さんいましたら気軽にご相談くださいね。

最近外来に昔看取った患者さんの家族の方がよく来られます。患者さん思い出して話をする時間をもてるのも、外来始めて良かったなと思える瞬間ですね・・・



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