公開日:2017年03月04日

専門医の更新

宮の森地区は最近マンションや住宅がすごい勢いで建築されていますね、自宅にもこの前近くに引っ越しされてきたご家族の挨拶がありました・・・・

 

こんにちは、2月もあっという間に終了し気がつけばもう3月です。時間がたつのはすごい早いですね。週末はレセプト業務にいそしみたいと思います。さていつもこのブログでは在宅医療関連の話をとりあげるように意識していますが、本日は思いつくままに専門医制度について簡単に記載してみたいと思います。といのも今年2017年3月までが一応の自分の専門医になってから5年の区切りであり、現在専門医更新のための手続きを色々した直後なのです・・・・

自分は脳神経外科の専門医ですが正直現在は”外科”からは離れた診療に従事しています。ただALS等の神経疾患であったり、慢性期脳梗塞やくも膜下出血後の患者さんの診察、または現在人数が増えてきている認知症の患者さんなど専門医分野と重なる診療も結構しています。実際外科は今はしていないですが、そんな自分でも一応はせっかくとった専門医だし流すのはもったいないなと考えこの5年間は更新のための準備をしてきていました。(脳外科の専門医は結構敷居が高く?専門医試験の合格率は大体60%から70%くらいって言われています。)した事といえば①5年間で所定の講習を受ける②学会参加③は専門医試験に関する問題集を購入し知識をアップデートする、程度ですので正直更新自体はそんなに問題なくできるはずだと思います。

ところで現在専門医に関する新しい制度が改定されようとしているのを知っていますか?この現在進行中の新専門医制度・・・・・色々問題点が多そうです。自分が考えるところの最大の問題点としては、専門医制度であるのにどのように医師を地域に配するか?という問題と相互リンクされて考えられており、本当に質を担保するはずの専門医制度となっていない点であると思います。基本的にはこの新専門医制度では必ず医師は<いずれかの基本領域の専門研修を受けることを基本とする>となっているため日本の医師30万人総専門医となるため、結局専門医だからってなんなの?って話になること間違いなし・・・・・・医師にとっても、また患者さんにとっても益のない制度となりそうです。

 

そんな制度本当にうまくいくんでしょうか・・・・関連する記事二つばかり抜粋しますので皆さんの参考になればと思います。特にMRICの安藤先生の記事はすごいわかりやすくて勉強になりますね。

MRICより http://medg.jp/mt/?p=7297

Vol.024 後期研修医の視点からみた新専門医制度の欠陥

安城更生病院
副院長/神経内科部長 安藤哲朗

2017年2月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

新専門医制度は専門医機構・学会・大学と医師会・病院団体の綱引きによって物事が決められ、新制度の当事者となる現在の初期研修医、学生、現場の指導医の視点はほとんど顧みられていない。
この稿では当事者の立場から見て、新専門医制度のどこに欠陥があるかを論じる。本来は最も当事者である研修医が意見を述べるべきだが、彼らは学習・研修で多忙であり、十分な情報を持っていない。漠然とした不安を抱きながらも意見を述べることができない状況である。私は、市中病院において20年以上にわたり初期研修医、後期研修医(専攻医)を守り、支援し、教育してきた。若い医師を育てることを天職と考えている指導医であり、日常的に研修医達と意見交換をしているので、指導医の立場から述べるとともに、研修医の立場も代弁して述べる。1.新専門医制度の実態は「後期研修医管理制度」である。
初期研修のように法律で規定されたものではないものの、初期臨床研修を終えた医師は、「いずれかの基本領域の専門研修を受けることを基本とする」としていることから、これは「後期研修医管理制度」であると理解できる。内容的にも指導医数、症例数などの外形基準の縛りが主体の制度である。プログラムは採用人数に規制が設けられており、また都会では人数がさらに制限されることになる。自分が希望している施設の診療科で働けない可能性が、現在よりも高まるだろう。事情によりどうしてもその地域で働きたい医師は、志望科を変更せざるをえない。
また後期研修を終えた時期の医師は、専門医としての入り口に立った段階であって、国民のイメージする「その領域において深い経験と能力を持つ専門医」とはほど遠い。国民目線から見ると「後期研修終了医」という名前の方が実態に則しているのではないか。

2.後期研修医の身分保障、経済面の配慮がない。
初期研修医には国費が支払われており、ある程度経済的な配慮がされている。しかし後期研修医にはそのような制度はない。少なからぬ大学病院では、十分な給与を支払うことができないであろう。この年代ではすでに家庭を持つ医師が少なくないが、初期研修医よりも給与が少なくなる可能性がある。そうなるとバイトをしなくてはならず、研修に専念できない。
また基幹病院から連携病院に所属が変わるときの身分保障や給与がどうなるか、いまだ不透明である。

3.女性医師のキャリア形成への配慮がない。
今後は医学部卒業生の約3割が女性である。後期研修時期の女性医師は結婚し出産・育児をすることが多い年代でもある。産休が6カ月は認められているものの、その後の育児において、状況によっては時短や非常勤などのフレキシブルな勤務ができることが望ましいが、そうするとプログラム制の専門医を取得するキャリアが閉ざされてしまう可能性がある。
カリキュラム制よりもプログラム制の方が優れているという強いエビデンスがないならば、柔軟なキャリアを容認して最終的に到達目標に達すればよいとすべきではないか。

4.医療安全への配慮がない。
医師のローテート制と患者の死亡率は関連があるというエビデンスがある1)。初期臨床医は、単独で診療をしない立場なのでローテートは容認できるが、後期研修医は主治医になる立場なので、不要なローテートはできるだけ減らす方が安全である。
また、施設を移動することは医療安全において大きなリスクを伴う。国立国際医療研究センターの脊髄造影剤の死亡事故は、以前の施設と造影剤の取り出し方法が異なっていたことが要因の一つと考えられている2)。後期研修医の立場からみると、その病院のシステムに慣れておらず、また医療安全管理体制がどのようであるかがわからない。国立国際医療研究センターのように当事者の後期研修医を刑事事件の被告に追い込むような対応をする病院もあるため、安心して診療ができない。また逆に指導医の立場からすると他の施設からローテートしてきた後期研修医が、どこまで任せられる医師であるかがわからない。そのため後期研修医に対しても二重主治医制をとらざるを得ず、医師不足に拍車がかかる。

5.柔軟なキャリア形成を阻害する。
誰がどのような根拠で決めたかわからないが、19の基本領域のいずれかを選ぶように決められて、プログラム制なので途中で進路を変更することが困難になる。従来は、脳外科をやっていて途中から救急医になるとか、整形外科からリハビリ医になるとか、神経内科医から神経病理医になるというキャリアを積む医師が少なくなかった。医師としての経験を積む中で、自分の興味と適性がわかってくる場合があるのである。また、そのような柔軟な進路をとる医師がその領域の幅を広げ、医療を進歩させてきた。進路変更がなければ山中伸弥教授のiPS細胞は生まれなかったかもしれない。
硬直化した基本領域―subspecialty構造を持つ新専門医制度が始まると、時代の流れによる医療ニーズの変化に合わせた柔軟な対応が取りにくくなる。

6.担当した患者に責任を持って診る態度が涵養されない。
従来は後期研修医の年代は、ある程度責任を持って担当した患者を診る時期であった。地域医療の一端を担って目の前にやってきた患者に対応し、わからないことは調べ先輩に聞いて、飛躍的に医師としての実戦的能力が伸びる時期である。やってきた患者に全力で対応するのを繰り返して、気が付けば3、4年間で多くの経験を積むことになる。そして卒後6年目に専門医試験を受けることで、自分の経験の足りない領域に気づき、それを補うために勉強して、専門医資格を取ることで専門医として出発点に立つのがこれまでの制度であった。新専門医制度で予定されている施設移動を伴う短期ローテートの方式では、責任を持った診療をする態度は涵養されない。
新専門医制度になると、内科の場合は70疾患群200症例の主担当医となることを目標とする(終了認定には56疾患群160症例以上)とされているため、「なるべく多くの疾患群を集めるために、一度診た疾患はもう診なくてもよい」、「要領よく疾患群を集めたい」という動機が生じる可能性がある。極端な場合には、外来でフォローできる患者を、後期研修医のために無理やり短期入院させて受け待たせなければならない施設もでてくるかもしれない。地域医療を担う医師のあるべき姿勢を身に着けるのに、新専門医制度はふさわしくない。

これらの制度欠陥を考えると、研修を受ける当事者にデメリットが極めて大きい。ほとんど絶望的ですらある。立ち止まって考えるようにと、制度開始が1年間延期されたが、大きな問題点は何ら解決されていない。多くの医療現場の指導医は、この制度の欠陥に気づいている。そして一部の心ある医師達は反対の声を上げているが、それが専門医機構や学会を大きく動かすまでに至っていない。新専門医制度を設計している人達は、現場感覚が薄れている人達が多いのかもしれない。
私は指導医として、経済的な不安や医療紛争に巻き込まれる心配をできるだけ払拭して、研修医がよい臨床経験を積むことに専念できるような環境を提供したいと思う。しかし新専門医制度により今後はそのようなよい研修環境を提供することが著しく困難になる可能性が高い。若い医師がよい医者に育たないと、日本の医療の未来は暗い。
医療の未来は若い医師達の前に開かれているべきである。若い医師達の未来を硬直化した制度で縛るべきではない。当事者の学生、研修医達が、このとんでもない制度の情報を集め、考え、議論して、声をあげるべきである。「私たちは医師として、こういうキャリアを積んでいきたいので、新専門医制度には乗りません」と。かつての学園紛争の時代には、学生達が国家試験をボイコットしてインターン制を廃止に追い込んだ。この絶望的な制度を頓挫させるには、当事者の若者達が声をあげ、行動するしかないと思う。

 

メディウオッチより http://www.medwatch.jp/?p=11678

専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構

 日本専門医機構は16日に社員総会を開催し、専門医の「新整備指針」を了承しました。すでに9日の理事会で概ねの了承を得ており、今般、社員総会の議を経て、最終決定となったものです(若干の文言修正は残っている)た後、制度の骨格となる基本理念に、「医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮する」ことを盛り込んでいます。

今後、指針に沿って各学会・基本領域で「運用細則」や「整備基準」を定め、これに則って研修プログラムの策定(4-5月頃)、専攻医の募集開始(6月頃)が行われることになります。

研修プログラムの認定、事前に都道府県協議会との協議を行う

専門医新整備指針は、新たな専門医制度の憲法にも位置づけられるものです。その序文では、▼新たな専門医の仕組みは、機構と各基領域学会が連携して構築する▼仕組みを柔軟に運用する▼各領域学会は、学術的な観点から責任をもってプログラムを構築する▼機構は、そのプログラムを検証・調整し、標準化を図る―ことといった具合に、「機構と学会が役割分担しながら、連携を図っていく」ことが強調されています。

また、専門医制度確立の基本理念について、これまで▽専門医の質を保証できる▽患者に信頼され、受診の良い指標となる▽専門医が公の資格として国民に広く認知される▽医師が、プロフェッショナルとしての誇りと患者への責任を基盤として、自律的に運営する―制度としていたものを、次のように改めました。

(1)プロフェッショナルオートノミーに基づいた専門医の質を保証・維持できる

(2)国民に信頼され、受診にあたり良い指標となる

(3)専門医の資格が国民に広く認知される

(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮する

このうち(4)は、日本医師会や病院団体などが強く要望していたもので、「新専門医制度の全面スタート1年延期」の引き金となった点です。この点を具体化するために、新整備指針では、随所で「地域医療への配慮」に触れており、例えば次のような配慮を行うことを明確にしています。

▼専門医制度は医療提供体制に深く関わっており、地域医療の重要性から基本領域学会専門医の運用においては、地域における医師偏在を解消することに努める

▼「大学病院以外の医療施設も、研修施設群の基幹施設となれる」基準を設ける

▼機構は、基本領域学会と協同して、研修プログラム制による専攻医登録をする際に医師の都市部への偏在助長を回避することに努める

▼専門研修プログラムを形成する研修施設群は、原則として単一の専門研修基幹施設と複数の専門研修連携施設から構成される。地域による特殊性を基本領域学会において配慮する

▼専攻医の集中する都市部の都府県に基幹施設がある研修プログラムの定員等については、都市部への集中を防ぐため、運用細則で別途定める

▼地域医療を維持するために必要な施設において常勤の専門研修指導医を置くことが困難な場合、研修連携施設に準ずる施設を基幹施設の承認のもと研修プログラムに組み入れ、これらの施設での研修も各領域が定める期間、指導医が不在であっても研修として認めるように基幹施設の責任において配慮する

▼従来の学会認定制度において専門医を養成していた医療機関が、専攻医の受入れを希望する場合は、専門医育成のため質の低下をきたさない範囲で基幹施設の承認のもと基幹施設の責任で連携施設となれるものとする

▼専門研修プログラムの認定に際しては、地域分布に配慮を行うため、機構は、各領域の研修プログラムを承認するに際して、行政、医師会、大学、病院団体からなる各都道府県協議会と事前に協議し決定する

このほか、▽基本領域学会専門医の研修では、原則として「研修プログラム制」(到達目標を、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行い、専門医を養成するもので、基幹施設と連携施設で研修施設群を作り循環型の研修を行う)による研修を行う▽サブスペシャルティ学会専門医では、研修プログラム制、研修カリキュラム制のいずれも可能とする―といった事項なども明確にしています。

 

 

 

今年の秋からの外来診療では総合診療とともに脳晨鶏外科の専門外来もできたらいいなって思っています。認知症や慢性期のフォロー、頭部外傷の対応などの少しは外科っぽいこともするつもりでーす!!