経済・財政一体改革推進委員会 社会保障ワーキンググループの報告について

経済・財政一体改革推進委員会の社会保障ワーキンググループが8月28日に議論した議事内容が発表されています。(原文については http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/index.html にあります)

内容としては医療についてもKPI(key performance indicator:簡単に説明すると、ある数値目標を設定してそれが達成できたかどうかを定量的に評価する指標)を導入し健康管理に関して保険者や被保険者にインセンティブを導入することを全面的に検討していきましょうとのことでした。

ただ診療報酬とリンクさせることとなるとどうなるのか、健康に興味のある人は安くなるようならそれでいいのですが、興味のない人は逆に高コストとなるのであったりすれば逆に医療機関から足が遠のく結果となるのではないかと思いますがいかがでしょうか。そうなると全体でみると、より重症化してからの受診行動となるかもしれないので総医療費としては逆に増加する可能性も・・・・・KPIをどう設定するのか難しいですね。まあ皆さんも全文をみて確認してください。

 

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/summary_1st.pdf より

第1回 社会保障ワーキング・グループ 議事要旨
1. 開催日時:2015年8月28日(金) 15:00~16:30
2. 場 所:中央合同庁舎第8号館 8階特別大会議室
3. 出席委員等
主査 榊原定征 東レ株式会社相談役最高顧問
委員 伊藤元重 東京大学大学院経済学研究科教授
同 伊藤由希子 東京学芸大学人文社会科学系経済学分野准教授
同 鈴木 準 株式会社大和総研主席研究員
同 古井祐司 東京大学政策ビジョン研究センター特任助教
同 松田晋哉 産業医科大学医学部教授
同 山田大介 株式会社みずほ銀行常務執行役員 (オブザーバー参加)
西村康稔 内閣府副大臣(経済財政政策)
(概要)
(1) 検討項目及び検討の進め方について
事務局より説明、以下主な意見。
・工程表の整理は、公正な負担や給付等に係る制度改正、医療・介護等の関係者の協力を得て効率化していくもの、インセンティブ改革、加えて来年度の予算編成に係るものといった観点で進めるとよい。実施時期まで書ければベストであるが、少なくとも関係者の間で検討すべき時期などを書き込んだプログラム的な工程表が必要。
・3年の間にできないもの、検討も難しいものは、その理由を明らかにしていくことが重要。
・健康意識が高くない人が自然に健康づくりに乗ってしまう、受診行動が変わるような仕掛けが重要。そのためには、本人を取り巻く自治体、企業、保険者などが参画しやすいインセンティブやそれを動かすインフラの整備及び運営の具体イメージまで示すことが不可欠。
・各項目の相互の関連性を整理することが必要。さらに、各項目について誰がこれに関連し、何をするか丁寧に見ていくことが必要である。
・ナショナルデータベースや介護のデータに基づく現状を把握できるデータが、具体的な工程表を作成する上で必要。
・基本は全項目についてやるという前提で、何をやれるか、どういう制約があるか、といった観点からの議論が必要。成果については、KPI だけではなく、財政的なインパクトなども含めて把握しながら議論することが重要。
・KPI については、わかりやすく、納得感があって、早期のモニタリングが可能なものである必要。自治体等が自分で努力し、自らコントロールできるものであることが重要。
・痛みを伴う改革についても、メスを入れ、しっかり議論していくことが重要。
・担当省庁ヒアリングに先立ち、各項目について、一層の深掘りが必要なもの、実施時期のスピードアップが必要なもの等の評価を行うべき。
・諮問会議の民間議員4名は当然すべてに関与するが、有識者4名の委員の方で手分けして、工程表、KPI の案の作成作業を指導監督していただきたい。
(2) KPI について
事務局より説明、以下主な意見。
・診療報酬がインセンティブとして活きている部分があるかと思う。過去の診療報酬改定でどのようなことをやってどのような結果が出てきたか、というのは成果指標としても比較的測りやすい。インセンティブ改革に関するKPIに入れ込んでいくとよい。
・KPI はできるだけ能動的に取り組みやすいものが望ましい。
・医療費の地域差改善の観点からは、外来医療費に視野を広げていくことも重要な検討課題。
・ナショナルデータベースの活用状況、課題、可能性等を把握できれば、KPIの設定に関して示唆が得られるのではないか。
・財政健全化の観点からは、それぞれのインセンティブ改革などで得た成果は他の施策の財源に回さないことを原則とすることが必要。
・KPI の設定に関しては、トータルの目標とそれを達成するためのマイルストーンとなる評価指標を構造的に設計することが重要。
・病態のメカニズムが明確で予防効果が高いメタボ・特定健診に加え、健康寿命や生産性の向上の観点からKPI の設定を考えていくことが重要。その際、意識の高い人だけでなく、国民の多くが通る生活動線を意識することが重要。
・KPI を推進する担い手・責任者を明確にすることが重要。モニタリングにより自分の位置がわかるようにすることが必要。また、やらないとマイナスになるという逆インセンティブも仕掛けとして必要。
・インセンティブ付けについては、金銭的なものだけでなく、そうすることが正しい、という規範的な部分に働きかけることも重要。
・KPI の設定に当たっては改革の推進主体を特定することが重要。成果が上がっていないところにプレッシャーになるような形を模索していくことが必要。
・DPC 制度では、各病院の平均在院日数を実名で公開することで、かなりの平均在院日数の短縮が実現された。また、評価指標として後発医薬品の使用率が高い病院は支払が有利になる仕組みを入れたことにより、後発医薬品の使用が進んだ例もある。今あるデータを使ってかなりのことを実証できると思うので、実例を検証し、構造化を行っていくことが必要。
・情報公開と診療報酬の組み合わせにより、インセンティブとしては十分な効果が期待できるのではないかと思う。
・具体的な課題にブレークダウンし、具体的課題に対して誰の責任で何をいつまでにやるのかということが本当の意味のKPI。今回の場合、どこの省・部局が責任をもっていつまでに課題を達成するといった意識を持ってKPI を設定することが重要。チャレンジングなKPI を設定していくことが重要。