公開日:2015年06月13日

改めて地域包括ケアにむけての現状把握~高齢社会白書を読んで

内閣府から高齢社会白書が発表されました。高齢社会白書とは”高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年政府が国会に提出している年次報告書であり、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、また、高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について明らかにしている”文とのことですので今後の地域包括ケアシステムがどうなるのか予測するのに役立つと思われます。

今井が確認した内容を簡単に記載していきたいと思います。
興味のある方は原文みてみてください。
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2015/gaiyou/27pdf_indexg.html

平成27年版高齢社会白書の内容
第1章 高齢化の状況
第1節 高齢化の現状について
①高齢化の現状
・我が国の総人口は平成26(2014)年10月1 日現在、1億2,708万人
・65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,300万人(前年3,190万人)
・65歳以上を男女別にみると、男性は1,423 万人、女性は1,877万人で、性比(女性人口100 人に対する男性人口)は75.8
総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は26.0%(前年25.1%)
・「65~74歳人口」(前期高齢者)は1,708万人、総人口に占める割合は13.4%
・「75歳以上人口」(後期高齢者)は1,592万人、総人口に占める割合は12.5%
平成72(2060)年には、2.5人に1 人が65 歳以上、4人に1人が75 歳以上
・総人口が減少するなかで、高齢化率は上昇
・高齢者人口は、いわゆる「団塊の世代」(昭和22(1947)~24(1949)年に生まれた人)が65歳以上となる平成27(2015)年には3,395 万人となり、その後も増加。54(2042)年に3,878万人でピークを迎え、その後は減少に転じるが高齢化率は上昇。
平成72(2060)年には高齢化率は39.9%に達し、2.5人に1 人が65歳以上
・平成72(2060)年には75歳以上人口が総人口の26.9%となり4 人に1 人が75歳以上。
○現役世代1.3 人で1人の高齢者を支える社会の到来
・平成26(2014)年には、高齢者1 人に対して現役世代(15~64 歳)2.4人
平成72(2060)年には、高齢者1 人に対して現役世代(15~64 歳)1.3人

第2節<高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向>、第3節<一人暮らし高齢者に関する意識>は細かくあげるときりがないのでここに抜粋はしませんが現状把握のための良い資料かなと思いますので見てみてください。

第2章 高齢社会対策の実施の状況
第1 節 高齢社会対策の基本的枠組み
○我が国の高齢社会対策の基本的枠組みは、「高齢社会対策基本法」(平成7 年法律第129号)に基づいている。
○高齢社会対策会議は、内閣総理大臣を会長とし、委員には全閣僚が任命されており、高齢社会対策の大綱の案の作成、高齢社会対策について必要な関係行政機関相互の調整並びに高齢社会対策に関する重要事項の審議及び対策の実施の推進が行われている。
○高齢社会対策大綱は、高齢社会対策基本法によって政府に作成が義務付けられているものであり、政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針となるものである。
○平成8 年7 月に最初の高齢社会対策大綱が策定されてから5年が経過した平成13年12月28日、2度目となる高齢社会対策大綱が閣議決定された。それから10年が経過したことから、24年9月7日、高齢社会対策会議における案の作成を経て、3 度目となる高齢社会対策大綱が閣議決定された。
○高齢社会対策基本法の基本理念に基づく施策の総合的推進のため、
・「高齢者」の捉え方の意識改革
・老後の安心を確保するための社会保障制度の確立
・高齢者の意欲と能力の活用
・地域力の強化と安定的な地域社会の実現
・安全・安心な生活環境の実現
・若年期からの「人生90年時代」への備えと世代循環の実現
の6 つの基本的考え方に則り、高齢社会対策を推進することとしている。
○社会保障制度改革国民会議(会長:清家篤慶應義塾長。以下「国民会議」という。)は、社会保障制度改革推進法(平成24 年法律第64 号。)に規定された社会保障制度改革の基本的な考え方や基本方針に基づき、平成24年11月から25 年8月まで20回にわたり議論が行われ、同年8月6日に報告書がとりまとめられた。
○国民会議の報告書等を踏まえ、社会保障制度改革の全体像や進め方を明示した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(平成25年法律第112号。以下「社会保障制度改革プログラム法」という。)が平成25年12月5 日に成立した。
マイナンバー制度については、平成25年5月に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)が成立し、今後、平成27年10月から住民票を有するすべての住民に対して個人番号(マイナンバー)が付番・通知され、平成28年1 月から社会保障、税、災害対策の分野の行政手続におけるマイナンバーの利用及び住民に対する個人番号カードの交付が開始される。

第2節 分野別の施策の実施の状況
就業・年金
○年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組
「労働契約法」(平成19年法律第128号)第18条に基づき、同一の使用者との間で5年を超えて有期労働契約を反復更新した場合に、労働者の申込みにより無期労働契約に転換できるルールが導入されている。このルールに関し、定年後引き続いて雇用される高齢者について、高齢者の特性に応じた雇用管理が図られる場合に、その引き続き雇用される期間は、無期転換申込権が発生しないこととする特例を設けること等を規定した「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が、第187 回国会にて成立した。
○持続可能で安定的な公的年金制度の確立
平成24 年に成立した「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」(平成24年法律第99 号)や「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成24 年法律第62号)に基づき、消費税率8%への引き上げによって確保した安定財源をもとに、基礎年金国庫負担割合2分の1を恒久化した。
○働き方やライフコースの選択に中立的な年金制度の構築
国民会議の報告書や社会保障制度改革プログラム法において短時間労働者への被用保険の適用拡大が検討課題として挙げられ、平成26年6月24 日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」では、働き方に中立的な社会保障制度としていく方策として、被用者保険の適用拡大の検討を進めることとされた。これを踏まえ、この問題をさらに一歩前に進めるための方策について、社会保障審議会年金部会等で議論を行った
健康・介護・医療
○認知症高齢者支援施策の推進
平成27(2015)年1月に「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」を関係省庁と共同して策定した。総合戦略は、いわゆる団塊の世代が75 歳以上となる平成37 年を目指し、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現に向けて、7 つの柱に沿って、認知症施策を総合的に推進していくもので、平成29 年度末等を当面の目標年度として、施策ごとの具体的な数値目標などを定めている。
○高齢者医療制度の推進
社会保障制度改革プログラム法に基づき、低所得者に対する後期高齢者医療の保険料の軽減措置について、平成26年4 月から、軽減の対象世帯に係る所得基準額を引き上げることにより、2割軽減、5割軽減の対象世帯を拡大し、低所得者の負担軽減の拡大を行った。また、世代間の公平を図る観点から、予算措置により1割負担に凍結されてきた70歳から74歳までの患者負担を、平成26年4月以降に新たに70 歳になる者(69歳までは3 割であった者)から法律上の負担割合である2割とした。
○地域における包括的かつ持続的な在宅医療・介護の提供
平成26年6月に公布された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(平成26 年法律第83 号)により、各都道府県に地域医療介護総合確保基金を創設し、在宅医療の充実等の事業に対して支援を行った。


以下他分野につき省略

 

文章を読んで感じたこと、考えたこと

①現状の医療、介護保険制度、年金制度は2025年までに抜本的に変わる必要がある。変えなければ制度として成り立たなくなる。(自明の理ですが数字で再確認しました)

②施策として各々が住み慣れた地域で生活できることを目標にしているのは理解できるが、現実的には田舎の人がそこで暮らすのは人口減の社会の中で医療、介護力のみならず産業や社会インフラ面からみても不可能になるのではないかと考えます。必ず一極集中化してしまうと考えますが皆さんはどう考えるでしょうか。(北海道なら札幌、旭川、帯広、釧路に人口が集中すると思います。)

③マイナンバー制度の導入ですが地域包括ケアの中でどうかかわってくるのか非常に興味がでました。今後も注意して経過見ていきたいと思います。

以上本当に簡単ですが自分の感想です。地域包括ケアの方針がどうなるのか興味ある方、面白いので読んでみてくださいね。