公開日:2026年10月30日

その申請、医療や命より遅くてもいいんでしょうか?【末期がん・要介護認定の“待ち時間”と、待てない在宅緩和ケア】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

在宅緩和ケア領域でちょっと気になった記事を見かけましたのでシェアしたいと思います。

「介護保険を申請したのに、サービスを使う前に亡くなってしまった」

そんな方が、実はかなりの数いるということが、国の会議の資料ではっきり数字になりました。今井はこれを読んで、まぁ現場の感覚とあまり乖離していないなと。いや、思ってはいたけど、数字で見るとやっぱり重いですね。

法人全体として年間約200人の方をご自宅や施設など在宅でお看取りしている医療者としては、今日のこの記事は是非是非市民の皆さんにも、医療・介護の仲間たちにも、どちらにも読んでほしい話です!!

以下GEM MEDさんの10月27日の記事より↓

「介護認定審査会の簡素化」の拡充、「がん患者等の要介護認定の審査期間短縮」に向けた取り組みを進める—社保審・介護保険部会

 

10月26日の社会保障審議会・介護保険部会で厚労省が出した資料に、こんな数字がありました。

  • 〇亡くなる前の半年間に介護保険を使っていなかった方2万0807人のうち、23.3%(4,849人)は「申請したけど使えなかった」
  • 〇そのうちの49.8%(2,413人)は、「認定調査の前に亡くなった」
  • 〇そもそも「介護保険を知らなかった」方も7.5%(1,565人)

つまり、申請はしたけど間に合わなかった方が、半分近くいたということになりますよね。そこで厚労省は、末期がんなど病状が急に変わる方の認定を早くするため、次のような対策を示しました。

① 自治体ごとに「申請から認定まで何日かかっているか」を公表する

② どの自治体がどんな工夫をしているかを一覧にする

③ 効果のある工夫(即日や早期の認定調査、主治医意見書の簡素化、暫定ケアプラン、直近の審査会へのかけ方)を、あらためて自治体に促す

これで1~2週間ほど短くなる見込みだそうです。

 

末期がんの患者さんの時間は、本当に貴重な時間・・・

末期がんの方を在宅で担当していると、こんな場面によく出会います。

退院の日には歩いていた方が、1週間後にはベッドから起き上がれなくなる。その数日後には、食事もほとんどとれなくなる・・・

がんの終末期は、最後の数週間で体の状態が一気に変わることが多いんです。だから、「1か月待ち」は、この方たちにとっては普通の1か月ではありません。

しかも、申請したときは「要支援」くらいの状態でも、結果が出るころには「要介護5」相当になっている。そんなことも現場では珍しくありませんよね。(制度の「今」と、患者さんの「今」がずれてしまうんです・・・

 

でも、在宅医として以下のことは伝えておきたいと思いますよ(^^♪

市民の皆さんへ。そうなる前に今からできること・・・

ご家族が末期のがんと言われたら、今井からのお願いはこの5つです。

① 介護保険の申請は「今日」

40歳以上なら、末期のがんで2号被保険者として申請できます。「まだ元気だから」は、申請を後回しにする理由にはなりません。上述した通り審査にも時間はかかりますからね。

② 申請はご家族や地域包括支援センター、ケアマネジャーが代行も

札幌なら、お住まいの区役所か地域包括支援センターに相談してください。そのとき「末期がんで時間が・・・」と一言伝えれば、より事態の重みを理解してくれると思います。

③ 「暫定ケアプラン」ってありますよ!

介護保険は申請した日にさかのぼって使えるので、結果が出る前から介護ベッドなどを入れられます。これは意外と知られていませんが現場の感覚としては結構重要です。ただし、結果によっては自己負担が出ることもあるので、ケアマネジャーさんや訪問看護師、在宅医と相談しながら進めることが多いです。

④ 訪問診療と訪問看護は介護保険とは無関係です!

どちらも医療保険が使えます。末期がんの方の訪問看護は回数の制限もゆるくなっています。痛みや息苦しさを和らげる「在宅緩和ケア」は、介護保険の結果とは関係なく今日から利用可能です(^^♪

⑤ 入院中なら、退院が決まる前に病院の地域連携室(相談室)へ!

「家に帰りたい」と早めに伝えてください。その一言で、病院と在宅チームの準備が数日早くなります。MSWさんや退院調整看護師さんがあなたのために動いてくれますよ。「そろそろ家のことも考えようかな」と思った日が、いちばん動くべきタイミングです。

 

ようやく制度が変わりつつある・・・

今回のニュースで知ってほしいことをまとめておきますね(^^♪

〇 末期がんの方にとって、「待ち時間」はそのまま「人生の時間」です

〇 短くする仕組みはもうあるのに、まだ十分に使われていません

〇 訪問診療と訪問看護は、認定を待たずに今日から始められます

制度が速くなるのは大歓迎です。でも、それを待たずに動けるのが在宅医療の強みだと、今井は思っています。まぁ自分が在宅始めたときからの課題であった末期がん患者さんを取り巻く制度の問題、ようやく一歩一歩ですが前進してくれそうでよかったです。

 

 

さて今日は金曜日、ちょっと外業務で1日不在となります。外来の患者さんには迷惑おかけしますがご理解いただければと思います。

今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!!

 

 

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