公開日:2026年10月02日

2030年、地域の医療は今と全然違う景色に・・・・【京都市立病院機構の経営悪化深刻、市がテコ入れへ 3年連続赤字で債務超過、『危機的な経営状況』】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今日は医療系の記事でこんな記事が目に留まりましたので皆さんにシェアします。CB NEWSさんの9月29日の記事です。

「京都市立病院機構の経営悪化深刻、市がテコ入れへ 3年連続赤字で債務超過、『危機的な経営状況』」

京都だけの話ではない

京都市立病院機構が3年連続赤字で債務超過、「危機的な経営状況」——これを読んで今井が最初に思ったのは(皆さんも理解するかと思いますが)「また出たか」ということ・・・・

数日前にこのブログでも取り上げた↓

市立札幌病院、令和7年度は赤字縮小・・・しかし必要な構造改革はできるのか??【令和7年度 札幌市病院事業会計決算書より】

市立札幌病院の経営悪化。そして今回の京都。全国の主要都市の公的病院で、同じような問題が次々と表面化しています。これは偶然ではありません。構造的な問題ですよね。第2、第3の市立室蘭病院が全国見られるようになってきつつあります。

なぜ公的病院は経営が悪化するのか

公的病院の経営悪化には、いくつかの共通した要因があります。

〇 人件費の高騰 最低賃金の上昇、医師・看護師の待遇改善——これらは必要なことですが、診療報酬の伸びを大幅に上回るスピードで人件費が上がっています。特に公的病院は民間よりも人が多くその余波を受けやすいです。

〇 患者数の伸び悩み 少子高齢化が進む中、外来患者数は全体として減少傾向にあります。「患者が増えれば収益が増える」という時代は終わりつつある。

〇 高度医療・急性期への特化のジレンマ 公的病院は「地域の最後の砦」として高度医療・救急を担っています。でも高度医療は設備投資がかさみ、かつ採算が取りにくい。使命感と経営効率の間で引き裂かれている。

〇 補助金・交付金への依存体質 長年にわたって補助金で赤字を埋め続けてきた結果、「自力で黒字を出す」という経営規律が育ちにくかった。

〇 コロナ禍の後遺症 コロナ対応で多額の公費支援が入った時期が終わり、その反動が今、経営悪化として表れているケースも多い・・・

「公的病院だから潰れない」は通用しない

以前は「公的病院は自治体が支えるから大丈夫」という空気がありました。

でも今は明確にそれは違いますと言える時代ですね。

自治体の財政も厳しい。「債務超過になった病院を、税金で永遠に支え続ける」ことへの市民の目も厳しくなっています。というか無理になってきています。

今回の京都の記事でも「市がテコ入れへ」とありますが、それがいつまでも続くわけではない。再編・統合・機能縮小——これらが現実のものとして迫ってきています。余力がある中で構造改革ができるのか、そしてそれを今後継続して10年20年スパンで続けていけるのか、この1点につきますね。

2030年、医療提供体制は大きく変わる

今井が医療者の皆さんに一番伝えたいのはここです。

2030年には、地域の医療提供体制が今とは大きく違っている可能性が高い。

というかほぼ間違いなく今とは見える景色が全く違っているでしょう。

国は2025年問題(団塊世代の全員が75歳以上になる年)を経て、2030年に向けた医療・介護の再編を本格的に進めています。本来なら2020年代前半にすべきだった構造改革がコロナの影響でできなかったため2020年代後半は一気呵成にそれらをする必要があります。

具体的に起きうることとして——

〇 急性期病床の削減と集約化

〇 公的病院の統廃合・機能縮小が加速

〇 在宅医療・外来医療の役割がさらに拡大

〇 病院完結型から地域完結型の医療へのシフトが加速

〇 「入院して治す」から「地域で支える」への転換が本格化

つまり、今まで公的病院が担っていた機能の一部が、地域の診療所・在宅医療機関・訪問看護ステーションに移ってくる流れは、さらに加速します。一部在宅でも急性期医療っていうのが2030年には普通になっていくでしょう。(在宅急性期、在宅救急とかってやつです)

公的病院の役割を全面的に見直す時期

全国の自治体で問われていること、それは今こそ「公的病院は何のためにあるのか」を全面的に見直す時期だということだと今井は考えています。

高度急性期・救命救急・感染症対策・災害医療——民間では担いにくい機能に特化し、それ以外の機能は地域の医療機関に移管していく。

「なんでもやる大きな病院」から「必要な機能のみに特化した病院」へ——この転換なしに、公的病院の経営悪化は解決しません。

そしてその転換が進むとき、地域の診療所・在宅医療機関、民間の病院の役割は今より大きくなります。当法人もその流れの中で、地域にとって必要な機能を担い続けられる体制を作っていかなければなりません。

医療者の皆さんへ

繰り返しますが、今勤めている病院が、5年後・10年後に今と同じ形で存在しているとは限りません。というかその方がレアだと思っていた方がリスクマネジメントの観点からは健全だと思います。

再編される、機能が縮小される、統合される——こういったことが、全国のどこでも起きうる時代です。

「自分が働いている地域の医療提供体制が2030年にどうなるか」を、今から意識しておくこと、医療者として、そして人生プランとしてもとても大事だと思っています。

医療者としてのキャリアを考えるとき、「どの病院に入るか」だけでなく「その病院が2030年に存在しているか」「地域の未来はどうなっているのか」という視点も、持っておいてほしいと思いますよ(^^♪

公的病院の経営悪化ニュースを「他人事」と思わずに、地域医療の変化として捉えていく——これが今の医療者に必要な視点ですよね。皆さんは上記についてどう考えますか?

 

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