在宅医療者はこういうケースにどう対応すべき??【在宅介護でみとった母、肺炎は見逃されたのか 訪問診療の過失問う娘】
こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

日経新聞の記事で気になる記事を見つけましたのでシェアします。9月4日の記事です。
在宅介護でみとった母、肺炎は見逃されたのか訪問診療の過失問う娘
概要をまとめると以下のようになります。
-
91歳、要介護5。嚥下機能が低下し、体重24kg未満まで衰弱していたお母様を娘さんが在宅介護。
-
訪問診療医の誤嚥性肺炎の診断・治療が不十分だったとして、娘さんが提訴。
-
医師は死亡当日に往診(採血、補液、抗菌薬を指示)。その後状態が悪化し、救急搬送先で死亡確認。
-
裁判所の判断:死亡との直接的な因果関係は認めなかったものの、「往診時点で肺炎を疑い、積極的治療を検討すべき義務があった」「適切な措置があれば生きていた可能性があった」として、医療法人側に約220万円の賠償を命じた。
朝から1回の食事に5時間かけて食べさせていたという報道もあり、娘さんの深い愛情と献身的な介護の様子がうかがえますが・・・1人の在宅医としてこの記事を読み、頭に浮かんだことを率直に書き出してみます。
〇日常臨床で「よくあるケース」であることへの危機感
決して他人事ではなく、現場ではよく経験するケースです。この事例から何を学び、当法人の医師たちにどうフィードバックしていくべきか、考えさせられました。
〇「患者本位の医療」と「リスクマネジメント」の線引き
在宅医療は今後さらに医療裁判のリスクに晒されていくでしょう。患者さんやご家族にできる限り寄り添うことと、訴訟リスクから身を守ることのバランスをどう取るのか、非常に難しい課題だなと改めて認識しましたよ。
〇高齢者のACP(アドバンス・ケア・プランニング)の難しさ
超高齢で著しく衰弱している場合、医学的に見れば「老衰→誤嚥→肺炎」は医療者としてはごく自然な経過と言えます。しかし、それをどこまで「自然なこと」としてご家族と共有できるか、改めてACPのあり方が問われているなと。
〇診療萎縮への懸念
このような判例が積み重なるほど、防衛医療や診療の萎縮が進むのは避けられないですよね。本来であれば、国が明確な指針を出して現場の医療を守るべきなんでしょうが・・・社会全体として適切で効率的な医療の提供が困難になってしまうのではないかと危惧しています。
今井自身も、実際にこれまで似たようなケースを複数経験してきました。 深い愛情ゆえに医療への期待が非常に高くなっているご家族に対して、今井が臨床面で実践している基本的なリスクマネジメントは以下の3点です。
① 意思決定はご家族に委ね、絶対に誘導しない
医学的な情報は丁寧に、繰り返し何度でも提供しお伝えしますが、最終的な方針決定はできる限りご家族にしていただいています。本来であれば、専門家である医師が総合的に判断して「こうしましょう」とある程度方針を提示するのが親切かもしれません。しかし、強い思い入れがあるご家族の場合、それは在宅医療での臨床上「禁忌」に近しいかなと思っています。後から「先生に言われたからそうしたのに」ってならないよう、あくまで納得いくまで情報提供し、決断を待ち、そしてご家族が選択した、という形をとることが基本です。(かなり時間はかかりますが頑張りましょう!(^^♪)
② ACPの話は一人でせず、必ず訪問看護師に同席してもらう
重要な方針の話し合いは、医師とご家族の1対1で行うことは極力避けます。必ず訪問看護師さんやケアマネさんなどに同席してもらい、客観的な証人がいる状況を作り、かつ彼らの意見もご家族の前で必ず聞くようにしています。チームで対応していくことが何より大事かなと今井は考えています。
③ とにかく時間をかける
焦らず、じっくりと時間をかけて対話を重ね、ご家族の思いを傾聴しながら少しずつ現実的な着地点を探ります。言葉で言うのは簡単ですが、1回1回の診療が毎回1時間を超えることもあります。でもそれが患者さんや家族によりそうことなんじゃないかなと今井は考えています。
納得できるまでよりそい一緒に考える・・・どんなに大変な状況でもそういうマインドは大事にしたいなと。
まれにですが、ご家族の愛情が強すぎるあまり、客観的に見ると患者さんへの負担が大きく、過剰介護など「虐待に近い状態」に陥っているケースもあります。 そのような場合は抱え込まず、早めに保健師さんや地域包括支援センターへ情報提供します。「医療者から見ても少し危ない状況です」とアラートを鳴らし、外部の目を入れて介入してもらう前提で動くことが非常に重要かなとこれまでの経験では考えています。
在宅医療に携わる皆さんも、似たようなケースで対応に苦慮された経験があるのではないでしょうか? 今回挙げた①〜③の対応や、包括・保健師さんとの連携は、在宅の医療側が自らを守るために必須のスキルになってきているんじゃないかなと今井は思いますが、少しでも皆さんの参考になれば幸いです(^^♪
今後、こうした裁判が増えていくと、日本の在宅医療の現場はどう変わっていくのでしょうか。皆さんはどうお考えですか? ぜひご意見聞かせてくださいね!
-
↓入職や見学の問い合わせ先はこちらから↓担当:人事部 栄浪
連絡先:011-215-8098 メール:nakayama-asa@imai-hcc.com
書類送付先:〒063-0803 札幌市西区二十四軒3条7丁目1-24
医療法人社団青葉 法人本部管理課 栄浪、中山宛
-
-
-
-
-
-
-
時間ある方は以下の項目をチェック!!
-
-
-
-
-
- 法人のこれまでのこと、これからのことを確認したい人はこちら↓
いまいホームケアクリニックの診療実績はこちらです↓
2026年6月に地域の医療機関、多職種の事業所さんに連携業務についてアンケートをお願いしました。その結果を確認したい方はこちら↓
【アンケート結果はこちらで全公開】いまいホームケアクリニック、さっぽろみなみホームケアクリニックの連携業務へのアンケートのご協力、ありがとうございました!
在宅クリニック、有床診療所、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所・・・なぜ当法人がそれらを運営しているのかを知りたい方はこちら↓
3診療所で随時医師募集しています。内容確認の上是非ご連絡ください↓
看護師、MSW、リハスタッフ、ケアマネさんなど募集中。一同じマインドをもつスタッフと一緒に働きませんか?↓
アクティブに活動する医療法人でクリニック運営、人事部、広報活動などを情熱をもって一緒にやっていきませんか↓
事務長、事務次長候補も募集しています!こちらをどうぞ↓
-
-
-




