公開日:2026年08月20日

Bottom-Up Has a Ceiling【在宅医療の情報連携、そろそろ「国」の出番では?】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今日は在宅医療の中でもこれから俄然注目を集める多職種連携、最近では法人内でも度々話題になっている「バイタルリンク」の話を中心にしてみたいと思います。ちょっとだけマクロの視点の話です。

バイタルリンク、便利なんです!!

在宅患者さんのバイタルや状態を、訪問看護師・ケアマネ・薬剤師・そして今井たち医師とでリアルタイムに近い形で共有できるバイタルリンク。法人としても地域の多職種連携ツールとしてどんどん活用を進めていますし、これからも推進していく方針は変わりません。情報が「見える化」されることで、急変の芽を早く拾えたり、無駄な電話連絡が減ったりと、現場の実感としてもメリットは大きいです。

・・・なのですが・・・

訪問看護ステーションごとに使い方がバラバラすぎる問題

これが地味に大きな課題でして・・・。ステーションAでは細かくバイタルを入力してくれるのに、ステーションBでは最低限の記載のみ。入力するタイミングも項目の解釈も、担当者の裁量に委ねられている部分が大きく、情報の「粒度」が揃わない。結果として、同じツールを使っていても、医師側が受け取る情報の質にムラが出てしまうんですね(これ、地域の在宅医療に関わる先生方なら「あるある」と頷いていただけるんじゃないでしょうか)。

各事業所が善意で工夫しながら運用してくれているのは間違いないんです。でも「現場ごとの工夫」の積み重ねだけでは、どうしても標準化には限界があるのかな・・・というのが正直な実感です。まぁ本格運用が始まったばかりっていうのは差っ引いて考えるべきでしょうが。

ボトムアップ型医療情報整備の限界

これはバイタルリンクに限った話ではなく、日本の医療情報連携全体が抱える構造的な課題だと今井は思っています。各医療機関・各事業所が、それぞれ良かれと思って個別最適なツールや運用ルールを積み上げていく・・・その結果、地域ごと、施設ごとに情報の形式も粒度も違う「サイロ」がたくさんできてしまう。ボトムアップの努力は尊いのですが、努力の総和が必ずしも「全体の最適化」にはならない、というのが医療情報の世界の難しいところです。

○ 現場の工夫は素晴らしいが、標準化には限界がある

○ ツールが同じでも「運用ルール」が揃わなければ情報の質は揃わない

○ 情報のムラは、医師の判断の質にそのまま跳ね返ってくるし、地域跨ぎの広域の医療対応にはならない

だからこそ、トップダウンの出番では?

国も動いてはいます。電子カルテ情報共有サービスは2026年度冬ごろの全国展開を目指しており、全国医療情報プラットフォーム構想のもとで医療DXが進められている最中です。ただ、今のところの中心は「病院・診療所間の診療情報提供書や検査値の共有」であって、在宅医療の現場で日々やり取りされているバイタルサインや生活状況といった、もっと粒度の細かい情報の標準化までは、正直まだ道半ばという印象です。

在宅医療は、患者さんから離れた場所で多職種が情報をやり取りしながら支える医療です。だからこそ、情報連携の「型」がバラバラなことのダメージが一番大きく出る領域でもあります。今井としては、まさにこの在宅分野にこそ、国が主導して「入力項目・粒度・タイミング」まで含めた統一フォーマットを早めに整備すべきではないかと考えています。ボトムアップの現場努力を否定するわけでは全くなく、むしろその努力が正しく積み上がるための「土台」を、トップダウンで先に敷いてほしい・・・というイメージです。

「守・破・離」なんて言葉がありますが、まずはやっぱり定型のものがあってこその発展だと思うんですよね・・・皆さんもそう思いませんか??

なーんてことを、バイタルリンクの画面を眺めながら考えていた今日この頃です(^^♪

札幌はここ数日、日中はまだ蒸し暑さが残りますが、朝晩はだいぶ過ごしやすくなってきました。皆さんの地域の多職種連携ツール、運用ルールは揃っていますか?もし「うちも似たような悩みがある」という方がいらっしゃったら、ぜひ情報交換させてくーださい。

今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!

 

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