公開日:2026年08月19日

Beyond the Operating Room.【脳外科から在宅医療へのキャリアチェンジについて】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今回のブログではちょっとだけ自分自身の過去の話を書こうと思います。普段は在宅医療の話や、法人運営の話、医療政策への意見なんかを書いていますが、そもそも「なぜ今井は脳外科医から在宅医療の医師になったのか」という話、実はちゃんと書いたことがなかったなと。(あったかもしれませんが、過去のブログ内容なんてもう覚えていないので(^^♪)

・・・・というわけで、今日はその原点の話です。

僕はもともと脳外科医でした。一人で手術ができる&結果がクリアカットにすぐにわかる、誰にも頼らず一人のプロのドクターとして専門性を高めて独立して生きていきたいと考えて消化器や心臓血管外科ではなく脳外科を専攻しましたよ。

札幌医大を卒業、その後は研修期間も含めてできる限りの時間を手術室の中で過ごしました。開頭、血管縫合、腫瘤摘出、閉じる。うまくいけば患者さんは命を取り戻す。(これは間違いなく尊い、素晴らしい仕事で、今でもそう思っています。)しかも個人的にもとてもチャレンジングで楽しい。

でも、大学院での研究のために手術から少し離れた時、自分のキャリアを振り返って少し違和感を感じました。

手術がうまくいって、命が助かる。それは「点」としては大成功です。でもその後、患者さんとご家族がどういう生活を送っていくのか、今井はほとんど知る機会がなかったんですよね・・・退院した後の暮らし、後遺症とどう付き合っていくか、ご家族が何を悩み、何に苦しむのか・・・そこには関わらない。関わる仕組みそのものがなかった、というのが正確かもしれません。

手術室という場所は、ある意味とても「閉じた」空間です。命を救うことに特化しているぶん、その人の人生の続きとは切り離されている。

「これで本当に、その人やその家族にとって必要とされる医師になれているんだろうか?」

「これが医者になるってことだろうか?」

そう思うようになったのが、キャリアチェンジの一番大きなきっかけでした。

手術は素晴らしいし絶対に患者さんにとっては必須だ、けれど医師として人と向き合うことはできているんだろうか?家族が本当に必要としているのは、手術という一点の技術だけじゃなくて、生活の中で、人生そのものに寄り添ってくれる存在なんじゃないか。病気になってからではなく、病気と一緒に生きていく過程の中で、そばにいてくれる医師なんじゃないか。

そう考えたときに、脳外科でのキャリアを磨き続けることの意味が揺らいできました。全人的に人に関わる医師になるには・・・ちょうどその時色々調べる中で”在宅医療”という選択肢が浮かび上がってきました。

在宅医療は、手術のような一発の派手さはありません。でも、患者さんの家に上がらせてもらって、生活の匂いがする空間で、ご家族の顔色を見ながら話をする。「今日は調子どうですか」から始まる何気ない会話の中に、本当に必要とされている医療のヒントがあるのでは??

ということで即行動、2011年4月、ひとまず在宅医療の経験を自分でするためにごう在宅クリニックさんでの研修を開始しましたよ(^^♪

その後宮の森で独立してクリニックを開いたときは、正直不安もたくさんありました。脳外科という専門性を手放すことへの迷いも、当然途中でそれなりにありました。

でも今、法人全体で1000人近いの在宅患者さんと関わらせてもらって、年間それなりに多くの方の在宅での最期に立ち会わせてもらう中で、あの時の選択は間違っていなかったと、はっきり思えます。

手術室では治せなかった「人生そのもの」に、在宅医療なら関われる。これが今井が脳外科から在宅医療に転身した一番大きな理由です。

何かしら参考になったでしょうか?(^^♪さて今日は外来&病棟&訪問の1日です。スケジュールはびっしり、結構忙しめな1日ですがコツコツと頑張っていきたいと思います。今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!!

 

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