公開日:2026年08月04日

在宅医療をすることでみえてきた、老後に過ごしやすい家とは??

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

在宅医療の仕事をしていると、本当にたくさんのご自宅にお邪魔します。豪邸もあれば、昔ながらの一戸建ても、コンパクトなマンションも・・・十人十色、いや百軒百様と言ってもいいくらい、住まいの形は様々です。

そんな中で、何百軒と回っていると自然と見えてくるものがあるんですよね。「あ、このお宅は年をとってからも過ごしやすいだろうな」というお宅と、「これは将来ちょっと大変かもな・・・」というお宅、実ははっきり分かれます(^^♪)

今日はその「老後に過ごしやすい家」について、在宅医の視点から気づいたことをいくつか挙げてみようと思います。

まず段差・・・これに尽きます

やっぱり一番は段差です。玄関の上がり框、部屋と部屋の間のちょっとした段差、廊下と居室の境目・・・元気なうちは気にもならないこれらが、足腰が弱ってきた途端に大きな壁になります。特に玄関はいいんですが室内での結構な段差は・・・・できれば避けたいところですね。

転倒のリスクはもちろんですが、在宅医療の現場で困るのは、ベッドや車椅子、酸素濃縮器といった医療機器を運び込む時に、事前に家具の配置を変えたり室内をいじったりするときに段差ネックになるということ(これ、業者さんも搬入のたびに苦労しているのを見ますからね・・・)

バリアフリーのマンションや、段差をなくした平屋づくりのお宅は、いざという時の対応のしやすさが全然違います。

生活動線がワンフロアで完結するかどうか

トイレ・お風呂・寝室が同じフロアにまとまっているお宅は、本当に強いです。逆に、寝室は2階、お風呂は1階・・・というお宅だと、階段の上り下りがそのまま生活のハードルになってしまいます。

在宅医療をしていると、「もう2階には上がれなくなったので、1階のリビングに介護ベッドを入れました」というご家庭にたくさん出会います。それはそれで一つの解決策なんですが、もし最初から生活動線がワンフロアで完結する間取りだったら、住み替えやリフォームの負担もなく、もっとスムーズに過ごせただろうなと思うこと、ままあります。

廊下・出入り口の「幅」が地味に効いてくる

これ、住んでいる時はまず気にしない部分だと思うんですが、車椅子や歩行器を使うようになった途端に一気に効いてくるのが廊下やドアの幅なんですよね。昔ながらのご自宅だと、廊下がギリギリの幅で、車椅子だと曲がり角で切り返しができない・・・なんてお宅、実はそれなりに多いです(訪問看護師さんたちが「今日も苦労しました」ってぼやいているのをよく聞きます(^^♪)。

逆に、廊下が広め、ドアが引き戸になっているお宅は、介護が必要になってからの動線がまったく違います。

コンセントの位置と数、実は結構重要

これは今井も在宅医になってから気づいたことなんですが、医療機器を使うようになると、コンセントの位置と数が地味に、いや相当重要になります。酸素濃縮器、吸引器、電動ベッド・・・在宅で使う機器は思っている以上に多く、しかも同時に稼働させることも珍しくありません。

タコ足配線だらけの部屋を見るたびに、「もう少し部屋にコンセントがあれば」と感じることがよくあります。まぁでもこの項目はそこまで重要度は高くないですね(^^♪

エレベーターの有無、これも地味に大きい

マンションであればエレベーターの有無は本当に重要です。エレベーターがない、あるいは各階に止まらないタイプの物件だと、足腰が弱った時点で「外に出る」こと自体のハードルが一気に上がってしまいます。

外に出られなくなると、デイもいけない、社会との接点が減り、心身ともに一気に衰えが進む・・・なんてことが実際にあります。今日の別のブログでも触れましたが、仕事にしろ外出にしろ、「社会とつながっている感覚」は健康にとって本当に大事なんですよね。

「音」が届く間取りかどうか

もう一つ、地味だけど大事だなと感じるのが「音の届きやすさ」です。寝室とリビング、あるいは寝室とトイレが離れすぎている間取りだと、何かあった時に家族が異変に気づきにくいんですよね。実際、「物音がしたので見に行ったら倒れていた」という発見の早さが、そのまま予後を左右することもあります。

完全にワンフロアでなくても、せめて「声が届く」「気配が伝わる」距離感で家族の生活空間が設計されているお宅は、いざという時の対応が早い印象があります。

「将来を見据えて」選ぶ難しさ

って読んだとしてもこれは正直難しい問題ですよね。

60代、70代前半でお元気なうちは、段差も廊下の幅もコンセントの数も、まったく気にならないんですよね。「まだまだ大丈夫」と思っているうちに家を選んだり建てたりして、いざ介護や医療が必要になった時に「しまった・・・」となるケースを、今井は数えきれないほど見てきました。

家を選ぶタイミングというのは、今の元気な自分ではなく、10年後、20年後の自分を想像して選ぶ必要がある・・・まぁそれが考えられないならそもそも老後はADLや状態を鑑みて都度転居して生活することを前提にしておくことが大事なのかもしれませんね。

ちなみに今井の自宅は・・・段差ありまくりです(^^♪

まとめると

在宅医療の現場を通して見えてきた「老後に過ごしやすい家」のポイントは、

〇段差が少ない、またはない
〇トイレ・お風呂・寝室がワンフロアで完結する
〇車椅子や歩行器でも動きやすい廊下・出入り口の幅
〇医療機器にも対応できるコンセントの位置と数
〇エレベーターなど外出のしやすさが確保されている
〇家族の気配や物音が届きやすい間取り

このあたりに集約されるかなと思います。もちろん立地や日当たり、ご近所付き合いなど他にも大事な要素はたくさんありますし、そもそも個別の状況に完璧な家なんかないので、老後の住宅についてはどう考えるかは一人一人がよく考えておくべきことなんでしょうね。

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