公開日:2026年08月02日

「柔軟な運用」の裏側にあるもの・・・地域枠医師、板挟みの構図で今後はどうなる??【第15回医師養成過程検討会資料より】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

夏本番・・・お盆前の暑さでバテ気味の今井ですが、今日は少し今後の医師養成や地域枠の医師のための真面目な話をしたいと思います(^^♪

先日、厚生労働省の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」の最新資料(第15回、令和8年7月31日開催)を読んでいて、正直「これ、地域枠の若い先生たちはかなり大変な立場に置かれてるな・・・」と感じたので、今井なりに整理してみようと思います。

資料①:医学部の定員そのものが減っていく方向性!!

まず一つ目の資料は「医学部臨時定員の方針」について。令和9年度の医学部総定員はすでに削減方向で調整されていて、令和10年度以降も「我が国全体として削減を図る」というのが基本線になっています。

理由はシンプルで、18歳人口がこの先急激に減っていくから・・・大学進学者数の推計を見ると、2040年には現在より4割前後減るという試算まで出ています(今井としては、この数字を見るだけで背筋がひやっとしましたが皆さんもそう思いませんか?)

もちろん「必要な地域枠は確保する」とは書かれていますが、恒久定員(大学が本来持っている定員枠)の中に地域枠を作ることが強く推奨される流れになっていて、都道府県や大学の裁量・交渉力が今まで以上に問われる時代になりそうです(このあたり、実際に恒久定員内地域枠の設置が進んでいるのは医師多数県中心で、少数県はむしろ足踏み状態・・・というのが資料からも透けて見えます)。

資料②:地域枠の「柔軟な運用」の裏にあるもの!!

二つ目の資料は「今後の地域枠等の運用について」。育児・介護などのライフイベントへの配慮、キャリア形成プログラムの一時中断、高知県のように義務年限に15年もの猶予期間を設ける事例、自治医大卒業生同士の「結婚協定」など、一見すると医師にとって優しい制度改善が並んでいます。

ただ、今井が気になったのはここに出てくる数字です。令和5年度までの医師国家試験合格者7,950人のうち、義務履行中断者は588人(7.4%)。さらに、卒後の従事要件からの離脱率も6%程度あり、離脱時期のピークは卒後2〜3年目とのこと(統計としてはっきり出てしまっているんですよね・・・)。

つまり、制度を柔軟にしようとすればするほど、都道府県側は「この医師が本当に地域に戻ってくるのか」を長期にわたって追跡・管理する体制を強めざるを得ない、という構造になっているように読めます。

その結果がどうなっていくのでしょうか・・・どう思いますか??

今井の視点:地域枠の先生たちは「板挟み」になっていないか

定員そのものが減っていく中で、地域枠医師への期待と管理は今まで以上に重くなる・・・これはかなりの綱渡りだと今井は感じています。九州や東北など医師少数県では、そもそも一般枠の学生が卒業後に地元に残らない傾向が資料内のデータでもはっきり出ていて(地域枠以外の学生の地元定着率が2〜3割という県も複数)、結局「地域枠に頼らざるを得ない」構造がより濃くなっていく可能性が高いです。

在宅医療の現場に身を置く今井としては、将来的にこうした地域枠出身の先生たちが、義務年限を終えたあとどんなキャリアを選ぶのか・・・特に在宅医療のような分野に来てくれるのかどうかは、率直に言って在宅医療にとっては死活問題ですね(このあたり、正直今井の法人としても他人事ではありません。若干ポジショントーク入ってます(^^♪)。

岐阜県の県北西部地域医療センターの事例のように、義務年限後の医師も含めた広域ネットワークで支え合う仕組みが各地に広がれば、少しは希望が持てるのですが・・・・どうなりますかね??

読者のみなさんへの問いかけでーす

もし身近に地域枠で医学部に進学したお子さんやご家族、知り合いの若手医師がいらっしゃったら・・・その方は今、自分のキャリアをどんな気持ちで見つめているでしょうか。今井は、地域枠という制度そのものが悪いとは思っていません。ただ、制度設計の議論が「都道府県の負担」や「大学の裁量」の話に偏りがちで、当事者である若い医師本人の納得感の議論がまだまだ十分でなく、ほっぽかれている気がしています。

さて、8月最初の日曜日、札幌も油断できない暑さが続いています。水分補給、お忘れなく。今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!

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