公開日:2026年07月18日

子どもの医療費無償化、本当に子どものためになっていますか?【子どもの医療費無償化のスピルアップ効果】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今井は基本的には「子どもの医療費無償化」には賛成はしかねる立場です。今日はその理由と最近公表された興味深い研究を合わせて紹介しながら、皆さんと一緒に考えてみたいと思いますよ。

ということで目についた研究がこちら↓

子どもの医療費無償化のスピルアップ効果

PDFはこちらです。

慶應義塾大学・中室牧子氏らによる青森県のデータを使った実証研究で、医療費無償化が何に影響を与えるかを分析したものです。26年の7月、なので直近で公開された資料ですよ(^^♪

研究のまとめは以下です

〇子どもの医療費無償化は子どもの健康・医療アクセスには有意な影響を与えなかった

〇一方で親の心理的負担を軽減する効果は確認された

〇ただしその効果は主に所得上位50%の世帯で確認された

〇給食費無償化と比較すると、親の心理的負担軽減という点では医療費無償化の方が費用対効果が高い可能性がある

今井が注目した部分

「子どもの健康に影響なし」——これは重要な発見です

医療費を無償にしても、子どもの健康は改善しなかった。

これは今井がずっと感じてきた「無償化すると不必要な受診が増えるだけ」という懸念と一致します。受診は増えても健康が変わらないなら、増えた受診の多くは必要なかったということになりませんか??

社会保障費、医療資源には限りがあります。不必要な受診が増えれば、本当に必要な医療が提供できなくなり、医療者の疲弊につながる。コストも増大する。

「恩恵を受けているのは中間層以上」——これも重要です

子どもの医療費無償化の政策的な正当性は、本来「低所得家庭の子どもが経済的理由で受診できない」という問題を解消することにあるはずです。

ところがこの研究では、恩恵を受けているのは所得上位50%の世帯。つまりもともとお金に困っていない層が「安心感」を得ているだけ、という解釈ができてしまう。

本当に支援が必要な低所得層への効果がより強く出るなら政策的意義は高いですが、そうではないとすれば・・・・巨額の財政コストを誰のために使っているの??っていう疑問は当然出てくるべきですよね。

今井が反対する理由

改めて今井が子どもの医療費無償化に反対している理由を整理すると——

過剰医療・不必要な受診が増える 無償だから「念のため」で連れて行く。これが積み重なると医療資源が無駄になる。

子どもが医療に対して間違った認識を持つ 「医療はタダ」という感覚のまま育った子どもが、大人になったときに医療費の重さを理解できるか。医療は誰かのコストで成り立っているという認識が育ちにくくなる。

本当に必要な層への集中ができなくなる 限られた財源を全員に薄く配るより、本当に困っている低所得層に厚く配る方が政策的に合理的ではないか。

健康アウトカムへの影響がないなら政策的根拠が薄い 今回の研究がまさにこれを実証しています。

ただし「親の安心感」は否定しない

一方で「親の心理的負担が軽減される」という効果は、完全に無視できるものではありません。

子育て中の親が精神的に安定していることは、子どもの育ちにとって大切です。その点での価値はある。でも今井が問いたいのは「そんなら同じ財政コストでもっと直接的かつ効果的な使い方があるのでは??」ということです。

たとえば低所得層への直接的な経済支援、予防医療・健診の充実、産後ケアの強化——これらの方が、子どもと親の健康に対してより直接的な効果をもたらす可能性があります。

皆さんはどう考えますか?

「子どもの医療費は無償にすべき」という意見は、感情的には理解できます。でも政策は感情だけで決めるものではない。

「誰のために・何のために・どんな効果があるか」——データで考えることが大事だと今井は思っています。

今回の研究は、そのための一つの材料です。ぜひ読んで、一人一人が小児の医療費無償化の是非について考えてみてください(^^♪

現場からは以上でした。また気になる資料見つけたら紹介しますね。

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