公開日:2026年06月06日

お金の問題を抱える患者さんの在宅緩和ケアの際に、ベテラン在宅医が考えていること

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です。

先日他の在宅クリニックのDrとの食事会の時に30代や40代のがん患者さんの在宅緩和ケアの時にはお金や制度の問題は避けては通れないですよね、っていう話題になりました。仕事を休んだり子育てであったり、また住宅のローンを抱えている方もいます。そんな時にはどう考えてサービスや在宅医療を組み立てていったらいいんだろう?との話になったので、他の先生に自分の考えを少しだけ伝えたのですが、在宅の経験が浅い先生から「そんなことまで考えるんですか?」って言われましたよ!(^^)!

皆さんも知ると面白いのかなと思いますので以下にその時に話したこと適当に書いていきたいと思います。ベテラン在宅医ってこんなこと考えて医療の提供しているだ・・と参考にして頂ければと思います。

 

具体的な症例であった方が理解しやすいと思うので、適当に設定した症例を挙げて退院時カンファスタートする感じでいきますね。

症例:42歳女性 

スキルス胃癌が見つかりケモ7か月継続。腫瘍制御が難しくなり肺、肝転移あり在宅緩和ケアのため当院紹介。夫と4歳のお子さんの3人家族。共働きであったが現在本人は休職中。住宅ローンもあり、月々の医療費の支払いについては懸念があるよう。

 

上記の患者さんを病院から相談されたときにカンファやその前後で確認していくことは(順不同で書いていきますね。)

①医療的な問題点と方向性、ACP、バックベットなど(医者ですからまずはこれしますよね!(^^)!)

②患者さんの職業:公的職業であれば結構休業中もある程度給与補償されていることあり。その場合少し金銭的には楽か?また短期間や短時間の復職希望あればその調整について

③高額療養費について:ケモの期間から多数該当にはなっているだろうからその区分。アイウエオのどれに該当するだろう?

④実際の金銭面での困り具合:本当にカツカツで複数医療機関、クリニックやステーション、に医療費を払うのすら厳しいのであれば、訪問看護ステーションではなくみなしの訪問看護にした方が払う金額が少なくて済むよな・・・(あとで高額療養費でバックされますがその期間のお金ショートする場合もあり得るので)

⑤訪問看護の入り方や選定:上記のようにみなしかステーションか・・・ステーションの場合自己負担2万円以上にならないと高額療養費の合算にならないから、この人の場合は看護基本療養費が・・・で管理療養費が・・・、厚生労働大臣が定める状態等だから加算が○○つくから・・・大体週2回以上入れば合算できる金額までいくな、などなど。場合により在がんにしてあげたほうがいいという選択肢も。

あと呼吸苦あるのであればPTさんによる緩和的なリハできるステーションかどうかも重要。患者さん宅からの距離も近いことが望ましい。

⑥クリニックの診療報酬について:訪問が月〇回、在医総管とって中心静脈管理料と加算とって・・・・このくらいの点数になるから患者さんの医療費の負担は〇万くらいになるな。

⑦介護保険:現状で必要性が高いサービスと今後の医療状況に併せて必要になりそうなことをケアマネさんにお伝え(申請していなければ介護保険の申請もこちらで)

⑧夜間休日の対応について:訪問看護ステーションは事業所により夜間休日祝日の出動1回につき5000円とか設定しているところもあります。なので土日もケアが必要な患者さんであれば、金銭面考えそういう設定のないところを選定してあげないとダメ。

⑨家族のケアについて:夫の相談やお子さんのケアなども誰がしていくのか、ご両親への対応などもどうしていくのか。そういうことにも積極的に関わってくれる事業所を選定。

⑩障害年金などのサービスについて:意外に見落としされていることあり。場合により身体障害者手帳の認定と申請も。

⑪薬局:無菌調剤の必要性、CADDの管理。土日の訪問の可否など。

 

大体上記のようなことを考えながら30分~1時間弱の退院時カンファレンスや初回の訪問を行っています。医者だから医療だけ、っていう訳じゃなくて色々考えるべき点は多いんですよね!(^^)!

なので在宅緩和ケアの患者さんに関しては、本当に患者さんの金銭面や制度まで考えた最適な医療、介護サービスの組み立ては経験豊富な在宅医しかできないと考えています。場面場面でのアドバイスや介入はケアマネさんやステーションの看護師さんでもできますが、変化する病状まで鑑みて上記のようなことを複合的に考えていくのハードル高いですよね。(ケアマネさんは医療面がちょっと弱いですし、看護師さんは他の職種の診療報酬や制度については弱いですから)

 

どうでしょうか?上記のように考えられるようになるまでは、やっぱ在宅医として最低でも2,3年くらいやらないと厳しいのかなと思います。

え?そこまで考えなくていいって?実際ここまで考えられる在宅医は札幌市内でも少ないと思います。が、自分は当院で勤務してくれる先生にはゆっくりでもいいのでこのレベルくらいまでなってほしいなと思いますよ!(^^)!

実際当院の勉強会はタンポポ先生の本使用し読み込んでいっているのですが、本にのっていないプラスアルファ、TIPSをできるだけ先生やスタッフには伝えるようにしています。

 

ということで今回は金銭体問題を抱える患者さんの在宅緩和ケアの提供の際に在宅医が考えていることを適当に書いてみました。上記読んだ大抵の人は何書いているかさっぱりわからないかもしれませんが、在宅医も医療だけじゃなくて色々考えているんだな、くらいで認識していおいてくーださい!(^^)!

 

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