公開日:2022年02月19日

これから在宅医として開業する医師が考えておくべき4つのポイント

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

2022年の診療報酬の改定も大体出そろい形が9割5分見えてきましたね。2011年に開業してから医療制度をずっと注視してきましたが、在宅医療に関して、また在宅医療を取り巻く環境に関して、ゆっくりですが大きな変動が起きているのを実感しています。

さて今回は表題のごとく「これから在宅医として開業しようかな」と考えている先生へのアドバイスを勝手にしてみたいと思っています。現時点で4つにポイントを絞って、この点だけは考えておかないと後々困るぞ、という点を挙げてみたいと思います。開業を考えている先生是非参考にしてみてください。

①他の在宅の診療所との差別化はどの点か、病院が在宅医療に出てきたときどう対応するのかを理解しておくこと

これはあんまり意識していない先生が多いですが、自院の強みは何なのかをきちんと理解しておくことは重要です。24時間対応を質が高くできるのか、多職種連携がうまいのか、緩和ケアや認知症に特化しているのか、複数医師体制にもっていくのか、外来診療を組み合わせるのか・・・よくよく理解しておくべきです。

なんとなく自分が開業したら大丈夫だろう、なーんて甘い考えでは絶対ダメですね。差別化できていないと短期的にはよくても中長期的には絶対失敗します。というか失敗しなくても成功しないと思いますよ。(自分としては成功しない=失敗です)

診療所と比較して差別化できていなければ、病院が本格的に在宅医療に参入してきたときにどう対応できるのでしょうか?入院できる、ベットをもつ病院が例えば自分みたいな在宅医療に特化した医師を雇用した場合、対応できますか?

これは強力に意識しておくべきポイントだと思いますよ。病院が在宅医療なんてそんなことないよ、なんてことは120%ないです。絶対病院が本格的に在宅医療に取り組む時代があと5年程度ででてくると今井は考えています。(今回の地域包括ケア病床の診療報酬改定を見ると、将来的にそれを選択する病院は絶対増えると思います。)

②経営方針を明確にし、それに向かって突き進むこと

①と似通っていますが、どの方向性に診療所をもっていくのかを明確にして、それに向かって万難を排して突き進むことが重要です。

1人在宅医として活動するのか、複数医師体制をとるのか、みなしの訪問看護や訪問看護ステーションを併設するのか、かかりつけ医として外来診療をするのか・・・ビジョンがないと正直厳しいです。

自分はたった1人で開業した10年前に、複数医師体制にすること、訪問看護を自院でできるようにすること、外来診療をすること、は絶対すると心に決めていました。

③診療報酬の改定や医療制度の方向性を理解しようと努力すること

正直最近開業する先生の話を聞いていると、とても近視眼的な視点しかないように感じます・・・提供する医療は基本的には”医療”という点ではかわりないですが、国の制度が変われば”提供の方法”は大きく変わります。

医療制度や診療報酬の制度の方向性が理解できていないと、大きく変わる時代の変化についていけなくなると考えています。医療制度って必ず公的な資料を読み込んでいけば5年先、10年先はかなりの精度で予測できるんで、これから在宅の分野で開業する医師は必ず知っておくことが大事だと思っています。なぜって在宅の分野ってこれからさらに条件などがかわっていくでしょうから・・・

一例を挙げてみると、例えばですが制度として機能強化型在宅療養支援診療所は将来はかなり算定が厳しくなると自分は考えています。地域の患者さんの往診の応需、HPへの緊急連絡先の掲載、緩和ケアや緊急往診の件数の厳格化、他診療所の在宅医療のバックアップ、などなど・・・これを満たしていかなければ単価の高い診療報酬はもらえなくなる、となると結構厳しいですよね。でも現実はなると自分は考えていて、それにどう対応するのかも今から考えて準備していますよ。皆さんもこれから開業するときは上記が要件となったらどうするか、を考えておくべきですね。

④最悪どうなったら開業医をやめるのかも決めておくこと

在宅医療を取り巻く環境はこれからさらに厳しくなります。在宅医の増加、診療報酬制度の改定、算定要件の厳格化、さらには少子高齢化による働き手の不足、オンライン診療の本格導入、特定看護師の参入、などなど・・・この状況の中で開業するときに「どうなったら撤退するか」も考えておくこと、損切ラインを設定しておくことは絶対考えておくべきことと思います。

 

以上2022年度の現在、これから在宅医として開業することを考えている先生へのアドバイスでした。参考になれば幸いです。何か相談あれば気軽にご連絡ください。今井でよければもっと個別に詳しいアドバイスやお手伝いできるかもしれません。

 

 

 

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