あなたは思いやり差別をしていませんか?~海老原宏美さんを偲ぶ~
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
脊髄性筋萎縮症を患っていた海老原宏美さんという方が昨年12月にお亡くなりになったのを皆さんご存じでしょうか?障害を持ちながらも地域で生きていく、一人の人として生きていくことの意味、価値を自らの人生で示し続けてくれた方だと思っています。
元々お名前は存じていたのですが、たまたまとある記事にて昨年12月にお亡くなりになられたと知りました・・・皆さんも是非彼女が訴えていたことの意味をよく一人一人が考えてみるべきだと思います。
以下関連記事を載せますので興味ある方は是非一読してみてください。
静岡講演の翌日死去、海老原宏美さん インクルーシブ教育の先駆け “最後の肉声”公開
海老原宏美さんを偲ぶ
教育が変われば社会が変わる
最後の「教育が変われば社会が変わる」はご本人の投稿文です。とても興味をひかれた一文のみ抜き出してご紹介したいと思います。赤文字は今井が協調したい文章です。
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教育から「誰も排除しない社会」を作る
私は、日本が障害者権利条約を批准し、国内の法律が整備されて、障害に基づく差別や、障害の定義が明確になったことで、インクルーシブ教育を「権利」として進めていけるようになったと思いました。「どうしたいか」などの感情はさておき、「権利なのだから」誰が何を言おうと地域の学校を改革しながら、どんな子も、住んでいるその地域の学校に通えるようになると思っていたのです。しかし、上記のような様々な要因で、なかなか思ったようには進められないことも分かってきました。ある言語哲学者の話を聞いてハッと思ったことがあります。それは、「権利を主張しても効果がないのは、そもそも相手から、同じ人間だと思われていないから」という話です。「相手に人権として理解させるには、人権侵害されて辛い思いをしているこちらの立場に共感できる能力が相手に求められる。人権を発動させる前段階として、人々の共感能力を高めるための、感情教育が欠かせない」というのです。これには「そこから!?」と、ある種の衝撃を受けつつも納得しました。一方でひとつの懸念も頭に浮かびました。1970年に起きた、障害児殺人事件。障害のある我が子を殺した母親に対し、周囲の人たちがその母の苦労に「共感」して減刑嘆願運動が起きたのです。人権侵害を受けている辛さに共感する前に、人権侵害せざるを得なくなってしまっている加害者への共感が強くなったらどうしよう。そんな不安もあるのです。今後の活動を進める上では、権利意識と感情教育のバランスをしっかり取っていかなければならないのだろうと思います。
そして、そもそも「教育とは何か」を見つめ直す機会なのかもしれません。一斉授業で行われているのは、「インテグレーション」でしかないからです。私は、「特別支援教育」を全否定している訳ではありません。条約を批准した今こそ、特別支援学級の教員たちには、今まで蓄えた知識やスキルを地域の学校に還元してほしいと思うのです。
学校は社会の縮図です。社会がどうあるべきかを学校で実現できないうちは、社会の発展は何もないでしょう。インクルーシブ教育を語る時、それは教育のみを語ることではなく、社会を語ることなのです。子どもの処遇を語ることではなく、大人がどうあるべきかを語ることなのです。すべての人が自己肯定感をもち、自分らしく生きていける社会とは? 得意なこと、苦手なことを市民同士で補い合える社会とは? その原点は教育にあります。社会がどうあるべきか、私もひとりの市民として考え、行動していきたいと思っています。
一人一人がこの文章の意味をよく考えてみませんか?社会全体を変える、なんて大きな活動ではなくて手の届く範囲から行動してみませんか?
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