公開日:2022年01月16日

リフィル処方せんは”現状では”高齢者医療には不向きだと感じています。

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

次回2022年の診療報酬改定でリフィル処方せんの導入が決定したのを皆さんご存じでしょうか?朝日新聞さんより

「おくすり受診」不要に 繰り返し使える「リフィル処方箋」来春導入

「来年春に診療報酬が改定されるのに伴い、調剤薬局で繰り返し使える「リフィル処方箋(せん)」の導入が決まった。現在、薬の処方には毎回医師の診察がセットになっているが、リフィル処方箋では一定の期間内なら再診がなくとも薬の処方を受けられるようになる。

処方箋の期限や対象となる症状は今後詰めるが、厚生労働省は「長期疾患で症状が安定している場合」を想定。高血圧の慢性疾患といった通院のたびに同じ処方箋をもらうことの多い症状が対象になりそうだ。

現在は調剤薬局で薬の処方を受けるには、医師の診察を受けたうえで処方箋を出してもらう必要がある。薬がなくなり、追加でほしいときは医師の再診が必要になる。新薬などを除き処方日数の上限はないが、医師の裁量で処方日数が決められていることが多い。

一方、リフィル処方箋では一定期間内であれば処方箋が薬局で繰り返し利用でき、処方箋をもらうために医療機関に通う必要はなくなる。患者の手間が省け、受診負担が減るなどの利点がある。たとえば、普段から服用している常用薬の処方箋をもらうための「おくすり受診」が不要になる。

リフィル制度は英国や米国…」

 

 

よく「海外ではリフィルは当たり前だから日本も早々に導入すべし・・・」っていう議論をみかけますが、現状の医療、介護制度であれば、高齢者を文字通りかかりつけ医として診療している医師の大多数はリフィル処方せんは高齢者には不向きだと考えるのではないでしょうか?もちろん若年者に関してはメリットはあるでしょうからケースバイケースでしょうが・・・高齢者に関して以下にデメリット挙げます。(一応当院は在宅一歩手前の患者さん診療しているのでその層の患者さんについてです。)

①月1の診療でもフレイルな状態にある高齢者を全人的に診ていくのは難しい

②現状ではかかりつけ医が日々の変化を見なければ、介護保険利用に関しての医療的なアドバイスは誰がするの??ケアマネさんは医学的な部分は弱い。

③日々の診療を通してこそ信頼関係が作れるのに、3か月に1度では正直かかりつけ医とは医師側も思えない

④薬剤師さんサイドが医療と介護の広範囲で全人的に高齢者を把握していくことができるか?と言われれば、現状では医師よりさらに難しい。

 

ということで当院はリフィル処方せんが制度として導入されたとしても、要介護状態の高齢かかりつけ患者さんに使うことはほぼないと思います。当院に通院している患者さんもリフィル処方せん使うより当院に来院してきちんと話をして診察してもらいたい、介入してもらいたいと思う方が9割以上いるかなと思いますよ。

制度が変わったりした場合はまた別ですが、少なくとも3か月処方で診ていける高齢患者さんって・・・・在宅医療を知って多職種のチーム動かす在宅医が要介護状態の患者さんを外来診療していても難しいと思うので、ほとんどの場合はリフィルで通院間隔があくことで提供できる医療の質、介護保険の調整の質が下がるのではないでしょうか???それともリフィル導入によりそれらの質が逆に上がるでしょうか?皆さんはどう考えますか?

今後制度としてどういう紆余曲折を辿るのか・・・リフィル処方せん制度の行く末には注視していきたいと思っています。

 

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