公開日:2021年11月25日

地域医療構想における病院機能の統合、病床削減がいかに難しいか~室蘭のケースから考える。

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

現在国は地域毎に地域医療構想を立てて必要な病床数や病院機能をきちんと考え、それに沿って医療機関の整理をすることを推奨していますが、現実的には法的な強制力もないためかなり難航すると素人でも数年前から予想されていることでした。

これまでこのブログでは室蘭の病院統合について何度かとりあげることがありました。↓以下過去のブログ

●市立室蘭病院、製鉄記念室蘭病院、日鋼記念病院のたった3病院でも病院機能、病床再編の調整はできない現実!!【地域医療構想って本当に大丈夫?】

●地域医療構想における病院再編がいかに困難か~室蘭の3病院から考える~

 

室蘭って地域医療構想における病院機能統合という問題を考えるのに、本当に理想的なケースだと思っています。理由は以下の条件を満たすからです。

●人口減少、高齢化地域 札幌という大都市から適度な距離

●医療圏として2次救急まで地域内である程度完結

●赤字を抱える公的病院が一つと、似た機能をもつ民間総合病院が2つ存在。地域医療構想のプレイヤーが最小単位で揃っている。

。医療機能もバラバラでまとまっていない

●(正直)機能しているとは言い難い行政機関の存在

 

昨年、2020年1月のブログでは、これまでの経過は

①2018年の段階から2年経過したが状況に変化なし

②各病院はまずは自院の機能強化を第一として考えいる(これは当然っちゃ当然ですけど)

③経営基盤や状況が異なる病院の統合や再編はかなり苦労を伴う

③議論は完全非公開であり病院の再編という公共性の高い話のはずであるのに全く経過がわからない

かなと自分は捉えていました。正直絶対この病院機能統合は失敗するだろうなと個人的には確信していたのですが、今回やっぱりこの話がとん挫したよ、っていう記事を改めてネットで見つけました。以下11月25日の道新さんより

室蘭3総合病院の再編協議凍結へ 地域医療効率化に暗雲

「室蘭市が市内の3総合病院を統合するための「室蘭市地域医療連携・再編等推進協議会」を凍結したことで、地域医療の効率化、高度化への取り組みは棚上げされることになった。市立室蘭総合(549床)、日鋼記念(479床)、製鉄記念室蘭(347床)の3病院は当面、現状のまま独立運営を続ける。市は既に関係者に凍結方針を伝えた。市は近く市議会などに経緯を説明する。

 協議会は青山剛市長をはじめ、3病院の院長、市医師会長ら8人で構成。青山市長は3期目の選挙公約に「3病院の再編・統合による持続可能な医療提供体制の構築」を掲げたが、達成は難しくなった。・・・」

 

 

地域における病院の機能統合、医療機能の再編なんて絶対こうなりますよね。火をみるよりも明らかだと思います。もしこの話を本当に進めるのであれば

⓵基本的には市立病院は解体方向(本当に地域で公的医療機関が担うべき必須の機能のみ残すが規模大きく縮小)

②民間病院に市立病院の機能を委譲、医師など医療職も移動

③公的機能を保ってもらうかわりに市が補助金を出す

としないと絶対まとまらないと思います。ただ市側に長期的に地域を考えた場合にそこまで調整する能力と努力がないんでしょうね。実際そうなると一時的には医療職の反発は必須ですし住民からも苦情が殺到します。

ただ長期的には医療職が働きやすい環境をつくる種をまくことになるので地域の医療が10年後20年後には充実していくと思うのですが・・・・短期的な視野しかもたない場合はこの調整はできないでしょう。

 

以上の問題は道内のみならず日本全国で今後頻発する議論だと思います。本当に地域医療構想は進むのでしょうか?皆さんはどう考えますか?

 

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