公開日:2021年05月06日
現状の医療提供体制は何が問題なのでしょうか??
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
現状ニュースなどではよく”医療崩壊だ”、”民間病院は患者より経営優先だ”、”診療所の医師は暇だから動員せよ”などと言ったことを良く聞きますが、現状の医療提供体制は何が問題なのでしょうか?
コロナ禍で明確になったことは、200床以下の中小病院が数多ある現状の医療提供体制は医療アクセスの確保、平時の医療の提供には優れてはいるが(平時の状態)、有事の対応の際にはそれが逆に足かせになる、ということかと思います。
これは医療提供体制の不備、というよりは、何を優先して医療提供体制を構築するかの問題と、あとは有事の際の政治力、指導力の問題ですよね・・・中小病院のスタッフ数や診療所レベルでコロナ対応を積極的にやっていくのは正直無理があるかなと感じますよ。
有事の状態を常に想定して普段から病院再編成を行っていくなら、地域医療構想を考えるなら、500床クラスのスタッフが充実した大病院を今よりかなり増加させなければいけません。そのかわりそうなれば医療へのアクセスは必ず今よりは悪くなると思われるので、かかりつけ医制度の普及などの政策の同時進行も避けられないでしょう。
そもそもこれまで政府は医療政策を中医協などでの診療報酬改定による点数づけ(つまりお金)で誘導してきた、という事実があります。医療機関は本来ならどこも患者さん最優先で診療していきたいと思っているはずですが、常に変化する診療報酬を第一に考えざるを得ない状況となっています・・・そろそろ医療提供体制の構造変化のための政策は診療報酬1本やりではなく他の方法を模索する時期ではないでしょうか?
国は今後の医療提供体制をどうしていきたいのか、明確に進路を指し示してほしいですね。