公開日:2021年04月16日

今後の社会保障制度改革の方向性~財政制度等審議会資料から考える~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

4月15日に開催された財政制度等審議会・財政制度分科会において、社会保障制度の今後の方向性についてのまとめが資料として公開されていました。興味ある方は是非ご確認ください。

財政制度等審議会・財政制度分科会 資料 から とりあえず目次だけ出しますね

 

内容で気になった部分を少し書き出します。P31~の効率的で質の高い医療提供体制の整備(今後の課題)、の部分です。

○ 病院数・病床数の多さに比して医療従事者が少ないという状況(医療資源の散在)や病院に勤務する医師・看護師の長時間労働の是正を進める必
要。医療機関相互の役割分担の徹底や連携体制の構築が必要である一方、現役世代(担い手)が急減する我が国では、医療従事者の更なる増加と
いう選択肢には限界がある。
手薄な人材配置による疲弊から医療現場を守る働き方改革の観点からも、医療機関の再編・統合を含む地域医療構想の実現、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策の三位一体での推進が重要であり、時計の針を戻すのではなく、進めることが求められている。
○ 病院数の8割・病床数の7割を民間医療機関が占めることからすれば民間医療機関の対応が重要。地域医療構想の推進については、新型コロナの感染拡大のもと、公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証の期限について、厚生労働省において改めて整理することとされている。
○ しかし、人口減少や高齢化という構造的課題は待ってはくれず、医療需要の質・量の変化とサービス提供人口の減少も不可避である。
○ 国が技術的・財政的支援を集中的に行う重点支援区域の指定も進められており、新興感染症等の感染拡大時に必要な対策がより機動的に講じられるよう、医療計画の記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療」を追加するなど必要な対応を講じつつ、地域医療構想の取組は遅滞なく進める必要。
○ 医療の質の確保と効率性の両立を確保する観点から①医療費適正化計画上も必須事項として位置付けることを含め、地域医療構想の法制上の位置づけを強化すること、②地域医療構想調整会議の実効性を高めるための環境整備を行い、地域医療構想のPDCAサイクルを強化すること、③改正感染症法等を参考に平時における医療法の都道府県の責務・都道府県知事の権限の強化を検討すること、④精神病床について、1年以上の入院患者数等の目標を定める障害福祉計画に沿った取組に加え、効率的で質の高い医療提供体制への改革の一環として、地域医療構想と一層連携して改革を推進することが必要。今般、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療への転換の嚆矢となる取組として、大病院と中小病院等の外来における機能を明確化し、機能分を進めるための定額負担を拡大することとされたが、更に取組を進めるべき。
○ 具体的には、複数の慢性疾患を抱える患者が増加する超高齢化社会において、患者がその状態に合った医療を受けるためにも、有事を含め国民が必要な時に必要な医療にアクセスできるようにするためにも、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の推進は不可欠である。
○ このため、既に日本医師会等において「かかりつけ医」の定義が明らかにされていること、薬剤師・薬局については、かかりつけ薬剤師・薬局の推進に向けて、法制上の対応が進んでいることを踏まえ、診療所における「かかりつけ医」機能を法制上明確化(制度化)するとともに、機能分化を進めるためのメリハリをつけた方策を推進すべきである

民間医療機関の対応が鍵を握るからこそ、民間の経営原理に働きかけることができる診療報酬の役割が舵取り役として極めて重要。
○ しかし、これまで診療報酬改定により旧7対1入院基本料の算定病床の急増が生じ、その後これに相当する「急性期一般入院料1」の算定病床の適正化も進んでいないなど、診療報酬改定の医療提供体制改革への寄与は十分なものとはいえない。医療資源が散在する「低密度医療」の現状の改革につながらなければ、財政資源としても散財となりかねないことから、あり方の真摯な見直しが必要。
○ とりわけ消費税増収分を活用して診療報酬に充てる場合には、診療報酬増が保険料負担・患者負担の増加をもたらすことを踏まえれば、改革を通じてその効果が国民に還元されるものでなければならない。新型コロナの感染拡大により医療提供体制の課題が浮き彫りとなって迎える令和4年度診療報酬改定においては、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」と考えるべき。

 

財政面からみた社会保障制度改革の論点がよくわかる資料ですね。自分が抜き出した以外でも介護や障害サービス、年金についてもまとまっていますので是非本文お読みくださいね。

 

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