他国と比較し日本の終末期医療を考える~「英国における終末期ケア~近年の政策・制度の動向」から
こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。
国立国会図書館の資料でイギリスにおける終末期医療をめぐる状況や政策の変化について、とてもまとまっている資料を見つけました。他国の状況を理解することは、日本における政策や状況が将来的にどのような変遷をたどるのかを予測するのに役立ちます。10分程度あれば概要はつかめると思いますので興味ある方は是非一読してみてください。
英国における終末期ケア~近年の政策・制度の動向:レファレンス
まとめのみ提示します。
特に興味のあった部分はP35~
「(ⅱ)ホスピス・アット・ホーム
ホスピス・アット・ホーム(Hospice at Home: HAH)は、自宅でホスピスのケアを提供し、患者の選好に従い、自宅で死ぬことを可能にするものである。実際、在宅での終末期ケアによって、通常のケアに比べ自宅で死を迎える可能性が高くなるとのエビデンスが存在する(49)。イングランドにおける HAH を対象にした全国調査の結果によると、HAH のサービスは非常に多様であり(表 3)、グルーピングは困難であったが、HAH の成功要因としては、①地域看護師(50)や家庭医(General Practitioner: GP)との連携、②診療記録の関係者間での統合的利用、③スタッフのスキルと広範なサポート(遺族への死別ケアを含む。)、④患者の需要に対応可能な迅速・適時性、⑤財源等が挙げられる。しかし、24/7 サービスを提供している HAH は半数程度にとどまっている(51)。なお、HAH には大きな潜在需要があるが、その供給には偏り(非がん又は低い社会経済的地位の場合に少ない。)が見られるとの指摘がある(52)。」
赤字の部分は特に理解しておきたいところですね。今後日本での施策がどうなるのか、そしてその施策を理解した上で地域でどのような医療・介護体制をつくっていくのか・・・・自分は医師会や他の医療機関の存在は重要だと思いますが、このような体制をつくっていくのは地域の医療機関の合意形成を待っていたらとてつもなく時間がかかります。まずは自分達で、自分達の手の届く範囲を、少しずつでも変えていく努力を継続していきたいと思いますよ。
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