地域包括ケアをグループ内で完結する医療機関は本当に地域に必要なのか?

こんにちは、札幌の在宅&在宅緩和ケア医@今井です。

地域包括ケアにおいて川上(入院医療)から川下(在宅医療や療養病床、住宅系施設)までグループ内で全て完結する医療機関が札幌ではありますが、本当にそのような医療機関は地域にとって必要でしょうか?

京都新聞からの記事です。(気になるところは赤文字で)

地域包括ケア、「垣根」どう克服 京都で全国大会、事例報告

高齢者が住み慣れた地域で療養生活を送ってもらう「地域包括ケア」推進へ、医療や介護、福祉の多職種連携を考えようと、医師と歯科医師、薬剤師でつくる「全国在宅医療医歯薬連合会」が5月下旬、京都市左京区の国立京都国際会館で全国大会を開いた。介護職や栄養士らも参加した大会では、京滋の医師が、全国有数の医療密集地と医療機関が一つしかない過疎地という対照的な事例を紹介しながら、在宅医療の現状や地域包括ケアの事例を紹介した。

■医療密集地では

京都市は人口10万人あたりの医師数が政令指定都市トップ(2016年厚生労働省調査)で、下京西部医師会の下京区、南区エリアは15病院、126診療所が集まる。藤田祝子副会長は、医療密集地ならではの二つの「垣根」を課題に挙げ、取り組みを紹介した。

医療間の垣根としては、大規模病院を核に在宅支援部門も持つ医療機関は地域包括ケアがグループ内で完結してしまうため、グループ外の開業医らにはケアの中身が見えず、「患者を診る上で不安がある」と問題提起した。その上で、病院の総合内科と地域の開業医がつながる場として、2カ月ごとの勉強会を4年間続けているとした。複数の医療機関を受診する患者の病歴や採血データ、内服薬の情報をインターネット上で共有する仕組みを導入したことも紹介した。

医療と介護、福祉の垣根については、各分野の関係者が介護保険制度の開始前から交流を重ね、「顔の見える関係づくり」を目指してきた。ただ、患者の退院後の支援を検討する会議に医師の出席が少ないなど、「まだ垣根は低くない」と指摘。「医師が『聞きに来てくれたら』という姿勢ではなく、もっと現場に行くべき」と訴え、多職種連携に医師からの歩み寄りが必要とした。

■高齢化進む村

南山城村の高齢化率は45%、高齢者に占める要介護認定者は22%と、ともに全国平均を大きく上回る。村内唯一の医療機関となる診療所を運営する相楽医師会の竹澤健理事は、「過疎地はサービスが行き渡りにくいと思われがちだが、『顔の見える関係』を大切に患者中心の地域包括ケアを実践している」と強調した。

週4日、地区の集会所を使った出張診察と、歩いて行けない人には自宅を訪問して診療する。2週間で一巡し、出張診察は50人、訪問診療は70人を診る。介護事業所はわずか3カ所だが「医療・介護スタッフが少人数な分、連携はしっかりしている。いち早く状態を把握する上で目を配り合う住民間のつながりも生きる」とした。

診療では「死」について話すよう心掛けているとして、「死の話をタブーにすべきではない」と訴えた。相楽医師会の調査では、どこで死にたいかや延命治療を望むかどうかについて、在宅療養患者の大半が明確な考えを持つにもかかわらず、家族と話し合った人は少なかったという。「家族と共有しないと希望通りにはなりにくい。医師として患者が口に出しやすい雰囲気づくりも大事」とした。

■先進地の取り組み

地域包括ケアの先進地として、東近江市など2市2町の東近江医療圏で活動するNPO法人「三方よし研究会」の小串輝男代表理事が事例発表した。「医師一人に頼る医療は終わった。医療・介護をはじめとした多職種が共同し、患者に切れ目なく寄り添うことが大切」と呼び掛けた。

月1回、症例について車座での意見交換を2007年から行っている。参加する職種は医師や看護師、歯科医師、保健師、薬剤師、理学療法士、ケアマネジャーら多岐にわたる。ここで築いた関係が、例えばリハビリ計画をつくり終えて患者の退院を待つといった好循環につながっていると説明した。

「地域全体を一つの医療機関」ととらえているという。病状に応じて介護やかかりつけ医などが役割分担することで、患者を病院だけに集中させず、医療体制を守ることにもなる。小串氏は「年をとっても認知症やがんになっても、地域で安心して住み続けられることを目指して地域包括ケアを進めれば、それがまちづくりにもなる」とした。

 

 

医療の密集地域では医療機関ごとの垣根が存在しているのでどうそれを克服するのか、また密集地域もそうでない地域も職種による垣根をどう越えて活動していけるのかが重要だ、この記事ではそう訴えていますね。

ここの中で自分が気になったのは「グループ内で地域包括ケアが完結してしまうことによるデメリット」です。

札幌では手稲区や東区である程度単独の医療法人による川上(中腹)から川下へのネットワークがグループないで完成しつつあるところもありますが、これは本当に地域にとっていいことなのでしょうか?

自分はそうは思いません。デメリットが大きいと感じます。

医療法人グループによる地域包括ケアの寡占化は以下のデメリットをもたらします。

○患者さんの転院や療養先の選択肢の減少

○受けられるケアや診療の質の低下

○地域の事業所との連携の欠如

○地域の他の事業所への経営上の悪影響

これらのデメリットを無視して1法人のみの利益を追求し地域包括ケアをグループ内で寡占化するような動きをとる医療機関があれば、それは地域のために医療活動をするという地域包括ケアの概念からは外れた行為になると個人的には確信しています。

皆さんのまわりではグループ内で地域包括ケアを完結させようとしている事業所はありませんか?本当にそのような事業所は必要でしょうか?

 

上記について皆さんのご意見よければ教えてくださいね。

 

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