公開日:2018年01月07日

在宅緩和ケアで在宅医療をうまく導入する7つのポイント

毎日あっという間に時間がとんでいきますね・・・・

 

こんにんちは、外来×在宅医@今井です。さて突然ですが皆さん訪問診療ってどんな時に利用されるでしょうか?おそらくは最初はこんなルートで診療診療医を紹介されるのではないかと思います。

①体調変化して入院→退院後は通院が難しいor病状変化が予想されるので病院の退院調整看護師やMSWから紹介される

②自宅で過ごしていてそろそろ厳しくなってきたね、とケアマネや訪問看護師さんから紹介される

(まあ他にもご家族自ら動かれて訪問医を頑張って探している方もいらっしゃいますが・・・・)

今回のブログ、

在宅医療をうまく導入する7つのポイント

についてできる限り書いていくつもりですが、実際在宅の現場では色んなシチュエーションの患者さんがいるため、全ての場面にぴたっとくるようなアドバイスや文章は書けません。

でもある場面について少し詳しく知ることは、きっと他の状況でも充分兼ねる事に役に立つでしょう。ということで今回のブログでは在宅医療の中でも特に、在宅緩和ケアの部分での在宅医療の導入について書いていきたいと思います。

 

 

今回の内容としては以下の7点です。

在宅緩和ケアを受けるために

在宅医療をうまく導入するコツ

 

①大前提!!まずは頑張って自宅に帰ることを主張しよう
②導入は退院時が一番のポイント
③病棟の看護師さんやMSWを味方につけよう!
④迷ったらまずは訪問看護から
⑤いい訪問看護の選び方って?
⑥訪問医はどのタイミングでいれるべき?
⑦いい訪問医の選び方って?&こんな訪問医はやめましょう

 

ということでひとつひとつ話をしていきたいと思います。

 

 

①大前提!!まずは頑張って自宅に帰ることを主張しよう

まずはこれがないと在宅緩和も何も始まりませんが、

正直ここが一番ハードル高いです!!!

あれやこれや理由をつけて病院にいることを勧めてくる病院の主治医、緩和ケア病棟への転院を前提で話をしてくるMSW、医療処置があることを理由に「在宅は無理ですね」という受け持ち看護師などなど・・・・・皆さんが在宅緩和ケアを受けるためにはここに言われたことを全て突っぱねて

「絶対自宅に帰ります」

と声を大にして主張しなければいけません。(もちろんそんな医療者ばかりじゃないのは承知していますが・・概ねこういう風潮はあるっていうことです)

皆さんは言えますか??正直本来はそうではなくて、帰れるか帰れないか微妙な患者さんであっても医療職が「一緒に家族との時間を楽しんで来たら」とか「いつ帰ってきてもいいから」ってバックアップしてあげるべきなんですが、現実はまだそうではないことが多いです・・・

帰れない患者さんはいない!!

この言葉を胸に是非くじけないであきらめないでくださいね

 

してはいけないこと:医師や看護師に色々言われ自分の意見を曲げること

 

②導入は退院時が一番のポイント

在宅医療の導入は何かきっかけとなるターニングポイントが起きてから導入、となることが多いと思います。例えば自宅で過ごしていたら転倒してADL低下、とか、排便がうまくでないから看護導入、とか、インフルで通院が大変だった、とかになりますね。

在宅緩和ケアのための在宅医療の導入となるポイントはやっぱり8割は入院→退院の時だと思います。

皆さんが在宅緩和ケアを受けたい、自宅でなるべく過ごしたいと思うのなら

退院時には

絶対在宅医療を利用するんだ!!

って気持ちをもって医療者にその意思を伝えてください。

退院するタイミングが在宅緩和を導入する最高の機会

です。

退院時になにも(退院時カンファレンスなども)せずに退院することはあなたのQOLに大きく寄与します。人任せにせず意思をもって自分の人生を決定していきましょう。

 

してはいけないこと:退院時に何もせずに丸腰で自宅に帰ること

 

③病棟の看護師さんやMSWを味方につけよう!

病棟の看護師さんや連携室のMSWさんは基本的には安全策を提案します。ただあなたが②のような意思をきちんと持っていると把握すると対応が変わってきます。「どうしたらこの患者さんの希望に添えるかな」「何をしたいのかな」って考えてくれます。

得てして一番最後の抵抗者は医師なんですが、あなたが看護師やMSWを味方にしていると話の流れがスムーズに退院の方向に流れます。

例え看護師さんやMSWさんが施設やホスピスの話をしたとしても、彼らにきちんと自分の意思を表明していきましょう。彼らはあなたの意思がゆるぎないものだと理解すればあなたを強力にバックアップしてくれるでしょう。医療者を積極的に自分の仲間にしていってください。

 

してはいけないこと:治療の方針や療養の方針についてどの医療職にもきちんと患者さんや家族の意思を伝えないこと

 

④迷ったらまずは訪問看護から

さて実際の退院時カンファレンスではどうやってあなたの生活を支援するか、っていう話がでると思います。その時に一番自宅で役に立つ人って・・・えぇそれは言うまでもなく

訪問看護

です。

在宅緩和ケア、在宅で生活するのにどうしたらいいかわからないって患者さん、迷ったらまずは看護師は必須と思ってください。

訪問看護>>>訪問診療

の図式は公式として覚えておいてください。

訪問医はどうしても医療面からのアプローチで対応しますが、看護師さんは実際患者さんに触れ、患者さんの肉体的な声を聴きながらケアをしてくれます。熟練した訪問看護師は在宅医に勝る、これは紛れもない事実です。

 

してはいけないこと:訪問看護の相談をせずに訪問医を決めてしまうこと

 

⑤いい訪問看護の選び方って?

ではいい訪問看護師さんの選び方ってあるでしょうか。これは難しいですが敢えて言うなら以下でしょうか

看取りの経験が豊富

病棟看護師さんからの信頼がある

病状やケアの予測をして諸々提案してくれる

医療費や高額療養費の説明ができる

在宅医の知り合いがいる

自宅の近くに看護師さんが住んでいる

これらのポイントが多ければ多いほどいいでしょう。

 

してはいけないこと:病院から紹介された訪問看護師を無条件に受け入れてしまうこと、在宅緩和ケアは上記の条件をなるべく多く満たし、かつ緩和ケアに慣れた訪問看護師がベストです!!

 

⑥訪問医はどのタイミングでいれるべき?

訪問医の導入のタイミングはまちまちですが大抵はまずは訪問看護の導入、その次は 訪問医、といった順番になります。

訪問医の導入のタイミングは早ければ早いほどいいことにはかわりはありませんが、自分の実感としては

病状が大きく変化して退院する時

療養方針を決めた時

上記2点のときにこそ訪問医を入れるタイミングと理解してもらえればと思います。いかがでしょうか??

病院の医師からはあまり在宅医の話はでないかも知れません。可能であればよくケアマネや訪問看護師と相談していくことがベストでしょう。繰り返しますがまずは間違いのない訪問看護師を導入し、その看護師さんとしっかり相談すること、そうすれば在宅医導入のタイミングを逸することは少なくなるでしょう。

 

してはいけないこと:在宅緩和ケアを通院先の外来の主治医がメインとなって受けることで訪問医を入れるタイミングを逸すること。在宅をしない医師では決して最高の在宅緩和ケアは受けられません。

 

⑦いい訪問医の選び方って?&こんな訪問医はやめましょう

自分が考えるいい訪問医の条件ですが

初退院時カンファでも患者さんと同じ目線できちんと話ができる

他職種への理解がある

複数医医師体制をとっている

患者さんの近くにクリニックがある

居宅での看取りをきちんと行っている

施設訪問はあまりしていない

医療制度についてきちんと理解して説明できる

訪問看護の制度について理解している

何より患者さんを励まして療養させてくれる

などが最低条件としてあるかと思います。クリニックは近ければ近いほどいいですね。緊急時の対応も大丈夫ですし・・・そういえば自分も昔は手稲とか北区の奥地まで訪問していましたが、最近はそっち方面もきちんと診てくれる先生が増えたためもう訪問はしなくなってきましたね。依頼があっても「近くの○○先生がいいですよ」って紹介することが増えてきました。



逆に以下のような訪問医の先生はやめた方がいいでしょう

在宅の医療制度について説明できない

在宅療養の不安をとるような言葉を言ってくれない

クリニックがすごい遠い

一人であまりにも多くの患者さんを診察している

施設メイン

フィーリングがあわない

 

してはいけないこと:上記の条件を満たさない医師の診療を受けてしまうこと。結局は最期はあなたが困るのですよ。

 

どうでしょうか。少しは参考になったでしょうか。

この文章を読んで少しでも皆さんが在宅緩和ケアにうまく在宅医や訪問看護師を活用してもらえたら幸いです。

 

何か相談あれば個別相談でもいつでも受け付けますので当院にご連絡くださいねー。宮の森や円山などの中央区、西区の緩和ケアの患者さんは断らずに診療していきますので・・・

 

悔いのない選択をし、いい人生を過ごしていきましょう!!

 

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