電子カルテは医療情報共有の基礎インフラとなるでしょうか?
さて今週も頑張って診療していきたいと思います・・・・
さて外来開始前に色々考えるところがあった電子カルテの件ですがようやく慣れてきつつあります。相変わらずモバカルとオルカの連携については微調整が必要ですし、院内処方への対応はちょびっとつらいところもありますがまあこれらは工夫しながら診療しています。ただ患者さんが今は多くないからいいですが、これが診療する人数が増えた時には結構時間がかかるような気がしますが・・・・・・モバカルは在宅診療や他職種連携にはとってもいいカルテなのですが、外来ではも少しうまく使えるようになるにはコツがいりそうです・・・・
と電子カルテのことについて色々考えていましたがその時にこちらの記事を見つけましたのでご紹介します。
前々から電子カルテは医療の基礎的なインフラとして、プラットフォームをきちんと国が決めて運用すべきと思っていましたが、まだ日本はその段階まで来ていないですね。基礎的な医療情報や診療内容は医療機関や国でも共有して利用できるようになるのが個人的にはいいかなと考えています。医療情報=きわめてプライベートな情報ですが、その情報を共有化できることによるコスト削減はすごい影響が大きいと思います。ためらっている時間は今の日本にはないような・・・・
地域包括ケアの中でも、在宅医療(在宅緩和ケア領域もそうですが)においても質の高い連携や情報共有が医療機関のみならず介護職種さんでもできるようになりますし・・・・多少のデメリットは目をつぶって今後は日本も電子カルテの基礎情報(個人の医療情報)は共有できるようにすべしと考えます。
実際今全国の地域で医療機関、多職種連携の名の元に色んな地域ネットワークができていますがおそらくこの先実働として10年後にいくつ残っているのかな・・・・お金だけかかり結局ローカルで使えないようなシステムにならなければいいですけれど、皆さんはどう考えますか?
ITトレンドより
電子カルテの海外事情
日本では、電子カルテの普及率が約30%であり、低コスト化を背景に普及速度は徐々に速度を増してきています。一方、海外では普及率が100%の国も珍しくなく、各国が独自のプロセスを歩みながら、ヘルスケアITの充実に取り組んでいます。今回は、海外の特に英語圏(アメリカ、カナダ、イギリス)でのヘルスケア事情をご紹介したいと思います。
医療情報を共有する
各国の電子カルテ普及率もさることながら、普及の目的であるデータの共有とネットワークによる情報交換が確立しているかが重要です。各国の医療ITの事情を概観するにあたって、3つの視点を提示します。
- 電子カルテ普及率:IT化の進捗
- データ共有:コストや規模
- ネットワーク構築:プラットフォームがどのように構築されているか
では、アメリカ、イギリス、カナダについて分析していきたいと思います。
- ■アメリカ
- アメリカは、普及率が病院の規模によってばらつきがあり、全体で約7割程度にとどまっています。
保健福祉省の調査によれば、やはりコストが導入の障害となっており、部分的な電子化は進んでいるが、完全に電子化をしている病院はやはり半数程度に留まっているとのことです。
オバマ政権での医療保険の拡充とともに、医療機関の合併が進み、部分的にデータセンターでの共有が進んでいきました。民間でのデータ共有なので、経営色の強いデータ共有が進み、分野ごとのサービス向上につながっています。
例えば、介護医療への取り組みなら、日本の介護施設を参考にしつつ、病院との連携を強化しています。小児向けクリニックであれば、入院している子供向けに勉強や家族と食事が取れるオーダサービスなどがあります。また、低所得者向けの医療サービスも現状の課題として注力されています。
このようにアメリカでは、部分的・個別的なITインフラ構築は進んでいますが、統一的な医療情報のプラットフォームは存在せず、政策的にも予算組み立てが難航しています。
ただし、一方でクラウド化による共有などベンチャー企業によるIoTが進んでいます。アメリカであり、日本ではそうしたアメリカのベンチャー発の技術が在宅医療などに応用され始めています。
- ■イギリス
- イギリスは電子カルテの普及率が100%近いと言われており、医療ITの先進国です。基本的にはデータセンターでの情報共有で、地域医療ネットワークなど、家庭医という窓口を通じた医療サービス(=プライマリ・ケア:日本では「かかりつけ医」がこれに該当し、些細な相談から緊急要件まで総合的にサポートする医療サービスのこと)が進んでいます。ヘルスケアサービスがメンタルからフィジカルまで幅広く行われており、Webサービス(FAQのような相談窓口)も充実しています。
イギリスでは、個人に寄り添い、あらゆる相談事に対応すべく、家庭医を窓口とし、病院各種・カウンセラー・介護・管理栄養士・スポーツインストラクターなど、あらゆるヘルスケアサービスを提供しようとする取り組みが、地域ごとに連携して行われています。
日本でも、地域医療での在宅医療のニーズが高まっている背景があり、イギリスをモデルとしてプライマリ・ケアを充実させるべく、IT化も含め、様々な取り組みが行われています。
- ■カナダ
- カナダは、電子カルテの普及率が、大規模病院では約8割、それ以外では約5割とばらつきがありますが、特にアメリカとは対照的で、政府主導のEHRシステム普及事業(CHI:Canada Health Infoway)が進められており、予算も組み立てられています。事業の目的を「住民全員の医療情報が政府のHERサーバに集められること」と掲げ、電子カルテ導入補助金を、導入コストの70%とし、共有の徹底がなされています。
日本では、マイナンバー制度が導入され、健康診断システムとのサーバ共有による健康状態の情報共有がこの先行われるとも言われていますが、カナダでは既にもっと細かな情報までを国として保有する取り組みが行われています。
個人情報であるため、共有ネットワークから「離脱」する権利は国民に与えられていますが、どの病院も自分の健康状態を把握しているなど、基本的にデメリットが少ないため、離脱率は極めて低いとのことです。
電子カルテ普及の先には…
最終的には、予防医療や健康状態の向上など、パブリックに広く医療情報の提供やヘルスケア支援を行うことが、医療ITそして電子カルテ導入の目的とされています。
カルテの情報を共有するには電子化が必要ですから、つまりは電子カルテシステムの導入が医療情報プラットフォームの基礎となるのです。
病院ができることは、基本は手術・処置・処方です。しかし病院は、食や運動、生活や仕事まで幅広くサポートできる可能性を秘めています。
マスメディアやネット広告、雑誌などには、医療・健康に関する情報に不確かな場合が多く、ヘルスケアという広いカテゴリーが、ある意味で人々の会話で敬遠されてきたという背景もあります。しかし、予防医療の観点からは、ヘルスケア情報を取得することが望ましいのです。医薬品の効能を公的に比較しているサイトなら、多くの人がアクセスすると思いませんか?
まとめ
電子カルテは、先進国を中心に地域医療システムの構築の基礎となり、国民の健康状態を分析できる大規模な情報インフラへと発展していくでしょう。これは、医療にとどまらずヘルスケアに関連する多くのビジネスとともに拡大する市場だと言えます。
ヘルスケア市場に関して、経済的な広い視点で言えば、医薬品の効果などの根拠は、人の欲求(痩せたいなど)に訴えかける医薬部外品など、1つの市場として大きいのは事実です。ある意味で、医療情報の確実性を担保されるのが、必ずしも経済的に良い影響を与えるとは限りません。しかし、健康に関する情報が不確実かどうかさえわからず、身体的・精神的なコンプレックスが生活の豊かさを奪ってしまうことも多くあります。
医療情報が社会的にプライベートな情報であるということを考えると、個人が幅広い情報を得られるプラットフォームは、多くの個人の悩みを解決することに役立つでしょう。電子カルテは、そのような広域医療システムの地盤となるツールでもあるのです。
ということで自分はカナダ、イギリスのいいとこどりできないかって考えますが・・・電子カルテ=地域包括ケアの礎となるような日本での医療情報のインフラつくり、難しいですかね?