往診依頼がありますが・・・・・
昨日は山側は雪が積もっていましたね・・・・・冬の足音が聞こえてきています・・・
こんにちは、ようやくブログ更新ができそうな環境となってきたため久しぶりに更新してみたいと思います。
さて先日から外来開始していますが1日1件~2件くらいはコンスタントに往診の依頼がきています。往診対応に関してですが、白石や手稲などからも問い合わせは来ていますが原則は中央区もしくは西区、北区の一部など診療所から比較的短距離で移動できる所に限定しています。申し訳ないですがご了承ください。またホテルなどの宿泊施設からの往診依頼は原則保険適応とはなりません。自費でもどうしても、という場合は病状により相談ですがやはり普通は外来に行ってもらうのがいいでしょう。
さてその往診ですが大抵かかってくる電話では「在宅やっている先生に聞いても難しいって話でした」「契約しないとできないって言われました。」とか言われることが多いです。確かに普通の在宅医の先生、ポッとかかってきた電話で初診の患者さん往診ってあんまりしません。
その理由ですがいくつかあるので述べてみたいと思います。一つ目の理由は「時間がかかること」です。初診での往診依頼ってこれまでの経験からも言えるのですが大抵は1時間くらい時間がかかります。単純に外来をそれだけ空けるのが難しいってこともありますし、さらにその割にはもらえる診療報酬が外来患者さん2人分くらいとあんまり変わりません。正直割にはあいません。二つ目は「調整業務がおおいため」です。往診して診療した場合諸々自宅ですごす条件が整っていないとすぐに調整していかなければいけません。ベット、食事、介護、ケアマネ、看護などなど・・・・その調整と対応って医師一人だけでは正直すごい時間とられます。なのでサポートしてくれるスタッフがいない環境ではなかなか難しいのかなと思います。3つめは「医師自身にも在宅医療の経験がいること」です。初診で体調不良の患者さん宅に行きそのまま治療できるのか病院に送った方がいいのか、患者さんが入院を拒否した場合どこまでその意思を尊重するのか、家族の意向はどうなのか、あとはもし治療するなら一緒にみてくれるケアマネや看護師は地域にいるのかなどなど・・正直在宅の経験のない医師がいっても患者さんへのベストな治療をその場で提供するのは難しいでしょうね。
そんな諸々の事情があって単発の往診依頼って断られること多いんです・・・・・・え?なんで当院はそんな面倒なことしているのかって?それはやっぱり地域ででた困っている患者さん、ほっとけないじゃないですか?高齢者って前日まで元気だった人があっという間に2,3日で動けなくなるような、そんな変化をきたすフレイル状態の方結構いますよね。自分の住んでいる地域が、そんな突発的に困った人も支援していける、安心して生活できる地域になればいいなって単純ですが思っています。できる限りずっと往診頑張っていきたいと思います・・・
さて本日の気になる医療ニュースはこちらです。MRICから医師のキャリアについての記事です。とっても面白いので是非ご一読ください。
MRICより http://medg.jp/mt/?p=7898
Vol.216 厚労省による医師管理の厳格化は正しい道か ~これは研修医奴隷制度ではないのか~
つくば市 坂根Mクリニック
坂根みち子
2017年10月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
医療界は厚労省も認める日本最大のブラック業界である。医師は余るといわれ続け多くの医師が永年にわたり滅私奉公で無報酬残業を続けた結果、現在の医師数は交代制勤務など夢のまた夢の状態で、研修医も奪い合いが続く。
地方の医師不足を補うために、各自治体は、地域枠を設けて奨学金を出し、医学生を入学させている。卒後決められた年限、その地域で指定の医療機関で働けば、奨学金の返済は免除されるというものである。医学部バブルの現在、地域医療に捧げたいとその制度を利用して入学するというよりは、少しでも入り易い方法として選んでいるというのが実態ではないだろうか。詳細を知らずに入った学生は場合によってはとても苦労する事になる。
まず、卒後のお礼奉公の年限が、借りた期間の1.5倍から2倍に設定されている事が多い。つまり、卒後9年から12年程は働く場所や地域が決まっている。最初の2年間の初期研修はカウントされない自治体もある。医師として使えるようになってから戻って来なさいということであろう。
奨学金を返還して自由の身になろうとすると、一括返還を求められる。例えば北海道の場合、奨学金合計は1200万円以上になるが、これを一括で返還しなければならず、遅れた場合には、年10−15%もの延滞利息がつく。
このように、もともと結構な制限がかかっている制度である。
ところが、これに加えて、本年7月30日厚労省から以下のような通知が出された(1)。
1 臨床研修病院は、医師臨床研修マッチングの希望順位登録前に研修希望者の臨床研 修期間中の地域医療への従事要件等(以下「従事要件等」という。)を必ず確認すること。 2 従事要件等が課されている研修希望者は、選考過程において臨床研修病院にその旨を申し出るものであること。 3 臨床研修病院は、研修希望者に従事要件等が課されている場合、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がないことを確認した上で医師臨床研修マッチングの希望順位登録を行うこと。 なお、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がある場合には、希望順位登録を行わないこと。 4 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者の氏名、大学名及び従事要件等を記載したリストを作成し、厚生労働省を経由して、臨床研修病院に情報提供すること。つまり、研修のマッチングの過程において、地域枠の学生名簿を作成し、それを配布して地域枠の対象者から地域枠外の医療機関への申請があっても認めないように厳重な管理を始めたのである。来年からは、いかなる事情があろうとも、たとえ上記のように奨学金を返還しようとも他の地域で働きたいという研修医を一切認めなくなったという事である。
さらに締め付けは続く。
地域枠の対象者を研修医として選んだ地域指定枠以外の病院には補助金削減と言う罰を与える事にしたのである。
9月27日のCB newsより抜粋する
厚生労働省は27日、臨床研修病院が従事要件に“違反”する研修医を採用しているケースについて、該当する病院の臨床研修費補助金を減額する案を医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に示し、大筋で了承された(2)。ここまでの強制は法的に許されているものであろうか?年10−15%にもなる延滞利息付きの一括返還、地域枠対象者の名簿の作成とマッチング医療機関への配布、有無を言わせぬ選考前選別、指定外での地域枠対象者採用病院への補助金の削減。
驚くべきなりふり構わぬ締め付けである。たとえば、茨城県の場合は、年10%の利息を入学時にさかのぼって付加しての一括返還を課しており、これなど明らかに違法であろう。
これが、これから医師として人生を輝かせていこうとする者たちへの扱いとして適しているものなのだろうか。まるで奴隷制度のようである。ここには、次世代の若者をエンカレッジして育てようという意識がまるでない。
例えば、結婚等で指定地域を離れたい時、働きながら出産や子育てをするために親の近くへ行かざる得ない時、もしくは親の介護が発生した時、どうしても研修を受けたい場所が出来た時等々。医学部を卒業し人生が大きく動く時に、18歳の頃の決定に少しの変更も許さないシステムというのはいかがなものだろうか。
厚労省がやるべきことは、医師の強制配置ではなく、永きにわたり放置されてきた過労死レベルの勤務環境を改善させ、指導医にゆとりを持たせ、研修医の指導にかける時間を捻出させる事ではないのか。医師も人間である。当たり前に結婚し、子供を持ち、家族との時間を大切にする。厚労省は、その当たり前な人生が大きく損なわれている現状を少しでも改善するようサポートすべきではないのか。そして、残念な事に、この医師強制配置、厳重管理体制は、初期研修に続く専門医制度でも踏襲されていくのである。
参考
(1)臨床研修病院が研修医の募集及び採用を行う際の留意事項等について 厚生労働省医政局医事課長 H29年7月31日
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(2)臨床研修医採用、従事要件“違反”は補助金減額
厚労省案、医師臨床研修部会が大筋了承
CB news 2017年09月27日 https://www.cbnews.jp/news/entry/20170927192055
地域枠募集についての各自治体のHP
北海道
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/syugakusikin.htm
青森県
https://inomori-aomori.info/highschool/p03
宮城県
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/641355.pdf
茨城県
http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/jinzai/ishikakuho/isei/ishikakuho/hstsudent/11081601/documents/30kennai.pdf
埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0709/ishiikusei-shougakukin/index.html