2018年の診療報酬改定の話~第12回経済財政諮問会議の内容から
札幌の天気は涼しくていいですねー・・・・・
こんにちは、今日は時間がちょびっとあるため医療政策の資料を少しみてみたいと思います。さて2018年の診療報酬改定の話ですが例年と比べると少し進捗状況が遅いのかなと思っています。
ちなみに2015年(2年前)の7月にはこんな事が話されていました。結構この時期に進んだ内容の事、話していますね。
中央社会保険医療協議会 総会(第300回)議事を読む① http://www.imai-hcc.com/archives/1617
中央社会保険医療協議会 総会(第300回)議事を読む② http://www.imai-hcc.com/archives/1626
中央社会保険医療協議会 総会(第300回)議事を読む③ http://www.imai-hcc.com/archives/1633
中央社会保険医療協議会 総会(第300回)議事を読む④ http://www.imai-hcc.com/archives/1648
今後の医療政策について① http://www.imai-hcc.com/archives/1666
今後の医療政策について② http://www.imai-hcc.com/archives/1670
とまあこんな感じでしたが2017年7月末現在、正直ここまで突っ込んだ議論はされていないように思います。ここまで話がされていない原因は皆さんはなんだと思いますか?やはり将来を見据えた医療政策と介護政策を調整する最後の機会ということで決めきれないのか、はたまた他に重要事項があってすすんでいないのか、それとも全く別な原因なのか・・・・・個人的には理由はさておき理解しておいた方がいいかなと思うことはここ数年より明らかに遅れている、という事実です。それだけこの改定が重要かつ調整が必要な、今後への決定的な道標となる可能性が高いということを示唆しているのではないかと思います。
さてそれでは現時点でどの程度話がすすんでいるのか公的資料を少しみてみましょうか。
7月18日の第12回経済財政諮問会議の内容から医療政策に関わりがありそうな部分を抜粋してみます。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/index.html#tab0718 より 議事要旨 http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0718/gijiyoushi.pdf から
P4~
(塩崎臨時議員)主に社会保障について申し上げたい。2020年やその先を考えると、団塊の世代全員が後期高齢者となる2025年以前においても、加齢による医療・介護費の増加、自己負担割合、高額医療費負担等の負担の変化の両面において、医療・介護給付は確実に増大していく見通しである。
このため、厚生労働省としては、来年度予算ではこれまでの「3年間で1.5兆円」という基調を継続するとともに、中長期的視点からは、個々人のQOL向上を基本に置いた予防、重症化予防・重度化防止による、医療・介護需要そのものの抑制の実現の方策にもこれまでにも増して重点を置いて取り組んでまいりたい。
制度創設以来初めて取り組むデータ活用を含めた審査支払の抜本的な改革を始めとするデータヘルス改革、そして、初めて本格的に取り組む保険者機能や都道府県のガバナンスの抜本強化等の取組は、全て医療・介護需要そのものの抑制に連なるものである。
データヘルス改革では、先日発表した支払基金改革における審査支払のコンピューター処理化、基金・国保連を通じた全国ベースでの統一化はもちろんのこと、例えば、虚弱防止のためのフレイル対策等生涯の健康確保に向けて、若年期からの検診や栄養指導等の内容を全面的に見直すことにも取り組んでまいりたい。
社会保障予算の枠組みを考える際には、以上のようにサービスの質の維持・向上を図りつつ、効率化を進めること、産業界、学校教育、生涯教育面での連携・協力が重要と考えるので、よろしくお願いしたい。
P6~
(榊原議員)・・・・・・・第三は財政健全化についてである。今回の中長期試算では、前回試算と比較して若干の改善は見られているが、依然として財政は厳しい状況にある。2020年のPB黒字化、債務残高対GDP比の安定的な引下げという目標達成に向けては、デフレ脱却・経済再生に向けた成長戦略と構造改革への取組を着実に進めるとともに、歳出改革への取組を一層強化していくべきだと考える。
このため、社会保障改革については、先ほど塩崎厚労大臣から来年度予算ではこれまでの「3年間で1.5兆円」の基調を継続するという話があったが、中期的には現在の目安である年5,000億円を前提とするのではなく、より一層抑制することも含めて検討していただきたい。
(新浪議員)今回の予算編成について申し上げたい。シーリングの枠の中において、効果の出ていない歳出を大幅にカットし、効果のある施策に配分すべきである。その結果として、国民全体のQOLが上がり、生産性が向上する。すなわち、見える化によってワイズ・スペンディングを目指し、その結果、経済成長につながるというようなシナリオに持っていく必要がある。とりわけ、社会保障関係費の伸びについて、年0.5兆円増が目途であるが、より一層チャレンジすべきである。一方で、先ほど塩崎厚労大臣がおっしゃったとおり、将来の投資を考え、予防に予算の一部を回すようなことも考えていく必要性があるのではないか。具体的に言えば、効果が上がる革新的な創薬に配分していく一方で、効果の低い先発薬や後発薬に関しては価格を下げていく。これはまさに諮問会議でお話した薬価改革である。
また、歳出カット面においては、言い古されているが、うがい薬も風邪薬と一緒に処方されると保険が適用される、といったところも直さなければいけないのではないか。保険収載の範囲を真剣に考えていかなくてはいけない。フランスのように、例えば効能に応じて保険給付率を変えるような制度を大胆に導入していくことが必要ではないか。また、当諮問会議でも何度も議論をしている、調剤報酬に院内・院外で格差ができていることについて、調剤技術料が本当にQOL向上につながっているのかどうかも検討する必要があるのではないか。このように、予算を減らす一方で、社会の生産性の向上に向けて、見える化をもって予算の組み替えを大胆に行っていかなくてはいけないのではないか。
未病についても諮問会議でも議論した。呉市の例が良かったのは、地域の医師会が参加し、民間のベンチャーが加わり、その結果として、重症化予防につながったことである。レセプト分析に約2,000万円が使われているが、非常に効果が出ている。このような事例を横展開することで、医療費、最終的には介護費の抑制にもつながっていく。見える化において横展開していくべきである。また、保険者に対して、腫瘍マーカーや乳がん等の健診項目を増やして、より早く、未病や、高血圧や糖尿病などの慢性疾患の重症化を防ぐ。こういったことを行うことによって、結果的に医療費・介護費が下がっていく。また、健診によってデータヘルスも進み、民間の投資も増えてくる。こういった具合に国民全体の生産性向上につなげていくべきではないか。
私自身が会長を務めている経済・財政一体改革推進委員会において、9月からは、EBPMを介護においても進めていく。和光・大分方式のような介護度改善を評価する仕組みを横展開して、まさにエビデンスに基づいた交付金の配分やインセンティブ改革を進めていくべきではないかと思う。また、介護の現場でデータをデータベース化することによって、AIやIoTが導入される。ビッグデータによってより介護の生産性を向上していくことが必要ではないかと思う。このような生産性向上は、国民のQOLを上げ、そして、生産労働人口が上がる。それが最終的に潜在成長率の向上にもつながっていくのではないか。こうした分析は、評価・分析ワーキング・グループで進め、歳出カットとともに、予算の組み替えを進める提案をしていきたい。
一方で、ワイズ・スペンディングに向けて、社会保障全般については厚労省が、特に予防については経産省も一緒になって財務省と打ち合わせをしながら、予算に反映させていただきたい。また、地方財政については、財務省と総務省、国土交通省を始め関係府省が連携して、ワイズ・スペンディングに向けて、ぜひ検討していただきたい。
p7~
(塩崎臨時議員)先ほど中長期の試算も示されたように、財政も大変厳しい中にあって、国民の社会保障に対する考え方というのは極めて大事な問題としているが、私どもとしても、この改革をやることについては、先ほど申し上げたとおりである。
色々御指摘をいただいているが、まず第一に、先ほど申し上げたように高齢化が進んで、団塊の世代の固まりが70歳を超える段階で、例えば自己負担割合が3割から2割になることは、給付費ベースでいくと増えてしまう格好になる。それから、高額医療費も現役並み所得者を除いて上限額が低くなるということで、上昇要因として人口構成が変わっていくことは、踏まえておかなければいけない事実である。
一方で、我々は中長期的に見て高齢化が進む中にあって、先ほどワイズ・スペンディングという話があったが、重症化予防・重度化防止、これは介護だが、これらを早くからやっていくということをしっかりやらなければいけない。例えば健診でも、よくメタボ健診と言うように、飽食の時代の健診というメニューになっている。しかし、今は多死社会あるいは超高齢社会に向けて、早いうちから健診として何をやるべきなのか。例えば今の健診項目の中で、骨密度というのは入っていない。そうすると、高齢者が骨折をしてから要介護度3とか、4とか、5などになってどうにもならない、家族も大変ということになるが、早くから骨密度を見ておけばそんなことにはならないで済む。しかし、今はそういうものが入っていない。栄養も同じである。栄養が過少なために筋力が落ちて、サルコペニアとかそういうものになって、結局弱くなる、要介護度が悪くなる。
それには、科学をきちっと導入して予防を長期的にもやっていこうということで、先ほどデータヘルスの話があったが、まさにそういうことをしっかりやっていくことによって、Evidence Based Policy Makingを実行すべきという、先ほどの御指摘に応え得るのではないか。それが結果として、ワイズ・スペンディングにもなるだろうと思っている。
一方で、単純に減らそうと思ったら減らせたにも関わらず、十分に減らしてこなかった中に先ほどの審査支払の問題があって、例えば国保連と基金という二頭立てになっていて、固定費は全部共通なので、結局これが医療費に乗っかって国民負担になっている。これを1つに何とかできないかということで、まずデータでこれからやろうとしている。
そのようなことで、ICTやAIも含めてフル活用し、医療の質を維持・向上させながら、効率化を進めるという難題に我々はしっかりと正面から取り組んでいかなければならない。
高齢化以外に大きいのは、先ほど御指摘があった薬価の分で、医療費は上がっている。これについては、既に薬価制度改革についてのメニューがあるので、それをどう具体化していくかということは、年内に必ず答えを出していく。医療費が無理に上がっていったりしないよう徹底してまいりたい。
p8~
(麻生議員)新浪議員の話の中にあったEBPM、Evidence Based Policy Makingは、事実に基づく政策立案ということだと思うが、見える化の徹底はすごく大きい。ワイズ・スペンディングを確保していくことによって、予算の質を更に高めていくことが最も重要である。平成30年度の予算の編成に当たっても、同じ予算額であっても政策効果がより発揮できるように、社会保障関係費を始め、各予算に関して、効率化にEvidence Basedを活用することは非常に大事だという御指摘だと思う。この点は、その方向で、きちんと図ってまいりたい。
ということが現段階で話されている社会保障に関しての内容です。「根本的にシステムを見直そう」という話をやっとしているのかなぁという印象ですがどこまで政策として反映されることになるのか・・・・強力なリーダーシップもしくは政治力が必要ですが加計問題や防衛相の問題などで少し陰りが見えている現総理がどこまで突っ走れるのか、少し気にしてみてみたいと思います。
ということで本日はこの辺で・・・・時間あれば夕にまた更新してみたいですが・・・あるかどうか・・・・