マーライオンな話
ブログ書かなかったらそれに慣れてしまいそうなんです・・・
こんにちは、今日もいい天気ですね。
当院でお世話になっている税理士事務所さんの担当交代があるとのことで、昨日は前任の担当者の方と後任の方と打ち合わせも兼ねた食事に行ってきました。前任の方は当院がよちよち歩きで始まった駆け出しの時から見て頂いており非常にお世話になったのでそのお礼をお伝えしました。またその当時の話を振り返ったり、また今後の方針をどうするかっていうところも他業種からみた意見もきけて大変ためになりました。同世代のフィールドが異なる方と話するのってやっぱり重要ですね。
ただ19時から始まった意見交換と称した食事会、えぇ・・・・気が付いたらすでに23時回っていました。男3人でワイン何本あけたかわかりませんがひとまずそこで会はお開き、自分はその後運動もかねて町から自宅まで歩いて帰りました。 (でも昨日使ったレストラン、しばらく行けません・・・・理由は察してください、○野さん昨日はみたいでしたが今日は生きてるでしょうか・・・・)
さて本日の記事ですが以下のものを紹介します。がん拠点病院での苦痛のスクリーニングが義務化されていたのって恥ずかしながら知りませんでした。ただその効果については記事にあるように、医療者の負担を増やしたのみで実際の臨床面での反映はされていないってのが実情なのでしょうね。早期からのケアに関してはきちんとまずは患者さんの気持ちを吐露できる場所をつくるとか、話だけでも医療者が時間を割いて聞いてあげる体制ができればそれだけでもだいぶ違うと思うんですがどうでしょうか・・・今の病院の体制ではどの医療者も患者さんに対しての対応はone of themの対応となってしまうので、それでは本当の意味でのケアは難しい気がしますが皆さんはどう考えますか?
MRICより
早期の緩和ケアは本当にいま必要なのか? http://medg.jp/mt/?p=6851
川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 緩和ケア内科
小杉和博
2016年7月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
私は、緩和ケア内科で、終末期のがん患者さんなどの診療を行う医師だ。緩和ケアに専門的に従事するようになってまだ一年だが、政府が進めている緩和ケア事業と、現場で実際に求められている緩和ケアには解離を感じることがある。「緩和ケア病棟への紹介が遅い」、2003年に行われた緩和ケア病棟で亡くなられた患者の遺族調査で約半数(49%)がこう答えた。1) その要因として、終末期の話し合いが行われていなかったことが挙げられている。さらにその理由としては、患者、家族のみならず医療者も、「まだその時期ではない」と話し合いを避けていることが指摘された。緩和ケアは「命を脅かす病に関連する問題を早期に同定し対処する取り組み」であるとWHOが2002年に定義している。しかし、この結果は、患者のみならず医療者からも「緩和ケアは最後の医療」と捉えられていることを如実に物語っている。日本では2006年にがん対策基本法が制定され、それにもとづき厚生労働省が策定したがん対策推進基本計画では、「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」が重点的に取り組むべき課題として挙げられた。2) 2007年に行われた同様の遺族調査では、3) 緩和ケアチームが介入した患者・家族では、「遅い」とする割合が減る可能性が示された。しかし、まだ約半数(47%)の人が遅いと答え、2003年と比べて改善は得られなかった。この「緩和ケアチーム」とは、がんの治療を担当する主治医とは別に、患者家族を中心に医師、看護師、薬剤師、栄養士などが構成するチームにより、患者の苦痛にケアしていくことを目的とするものだ。もともと、緩和ケアはひとりの医師で対応するよりもチーム医療が有効であることが研究で示されており、がん拠点病院では整備が義務付けられている。主に主治医からの依頼で介入が始まることが多いが、これでは「緩和ケアは最後の医療」というイメージを持つ主治医からの紹介は遅くなってしまう。そこで、がん患者を対象に苦痛のスクリーニングを行い、それが陽性となった場合は緩和ケアチームが介入する、といった方法が国内外の病院で行われるようになった。当院でも3年前から実施しており、介入がスムーズに進む場合もあれば、患者本人や主治医から介入を拒否されたりと難航することもある。
この苦痛のスクリーニングが2015年より全国のがん拠点病院では指定要件となり、がんと診断時に外来または病棟で行うことが必須となった。しかし、大きな問題は、この要件の導入が、まだ実施可能性や効果が検証されないまま始められてしまい、現場に混乱を来していることだ。導入から1年経過し作成された事例集によると、4) まずスクリーニングが陽性となっても、60%の施設ではその後どのような経過を辿ったかフォローアップができる体制ができておらず、23%の施設では問題に対応できる部署が用意されていなかった。つまり緩和ケアチームへ紹介されないまま、ただ苦痛の有無を聞いただけで終わってしまっているのである。
また、緩和ケアチームの介入が必要となった患者の割合は、外来では1%以下、入院でも3.0-17%であった。がん患者が増え、スクリーニングの対象患者は増えているにもかかわらず、その結果緩和ケアチームが介入できないのであれば、あまりに益が少ないのではないか。実際、当院ではこのスクリーニングを緩和ケアチーム担当看護師がたったひとりで担当している。患者数も増え、相当な業務負担となっており、本来の業務である緩和ケアそのものに支障を来しかねない状況が生じている。
診断時からの早期の緩和ケアを充実させようという政策自体は悪いことではないだろうが、なぜこのような臨床現場の実情との解離が出てしまうのだろうか。それは、現在の日本では、がんで亡くなる方が増え緩和ケアのニーズが著しく上昇しているにもかかわらず、専門的緩和ケアを提供できる人的医療資源が極端に不足しているためだ。実際、その中核を担うことを期待される緩和医療専門医は2016年4月現在、全国でわずか136名に過ぎない。日本専門医制評価・認定機構に加盟している学会の専門医数が数千人単位なのと比較すると圧倒的に少ない。5) 緩和医療学会理事を務められる先生の話では目標は1000人とのことで、全く十分ではないと言えよう。
このことは、冒頭で触れたように、緩和ケア病棟への紹介が遅くなってしまうことの原因にもなっている。紹介する側だけではなく、紹介される側にも問題があるのだ。厚生労働省の調査によると、がん診療連携拠点病院における緩和ケア病棟に入院した患者について、申込みから入院するまでの平均待機期間に2週間以上要する病院が3割を超えている。これは2009年から2013年の4年間で35%から31%とほとんど変わっていない。6),7) 緩和ケア病床数はこの4年で4042床から5795床と増え続けているにも関わらず、である。7) つまり、緩和ケアで最も大きな問題となっているのは、入院までに長期の待ち時間が必要になってしまっている点なのだ。
当院でも紹介された時点での全身状態に応じて調整は行っているが、待ち時間は概ね1−2ヶ月程度かかってしまっている。この状態では、折角紹介頂いたとしても、残念ながら緩和ケア病棟への入院の遅れにより、専門的な緩和ケアを受ける前にお亡くなりになってしまうことになる。実際、この1年間で私が担当するはずだった他院からの紹介患者さんが、外来を受診される前に何人も亡くなってしまった。緩和ケアを希望しながら、その恩恵を受けられずに亡くなる方の無念を思うといたたまれない。
診断時からの早期の緩和ケアを普及させることも重要だ。しかし、がん拠点病院で政府から義務付けられた苦痛のスクリーニングは、実際の効果はまだ未知であり、むしろ現場には混乱をきたしている。それよりも、積極的に緩和ケアを必要としている終末期の患者へのアクセス改善を促す施策を優先すべきだ、と私は考える。現在の日本では、高齢化に伴うがん患者の増加、緩和ケアの需要増加があるにも関わらず、それを供給できる人的資源は非常に限られている。ひとりでも多くの方に緩和ケアを提供できるように、医療資源をより有効に利用する方法を考えるべきだろう。
さて今日はたまった書類の整理や作成頑張りまーす・・・・