訪問診療の保険請求~専門科に依頼した場合

届いたチンニングスタンドで診療所の男3人で筋トレ始めたんですが、クリニックの1部屋、ものすごく汗くさいです・・・・

 

こんにちは、6月もいよいよ最終日となりましたが皆さんはいかがお過ごしでしょうか。札幌は暑いですが本日も自分は朝から訪問頑張っていました。そんな中気になる利用者さんが一人、認知症がメインですが色々問題あり、家族の精神面や介護状況を考えると訪問看護が必要と判断、その必要性をケアマネさんに話をしたんですがもう何度も説明してもわかってもらえず・・・・ええもう諦めてしまいました。半年先、一年先まで考えて提案しているのに理解してくれないとしかたないですね。 (半年後に泣きついてきたってもう知りません、門前払いです・・) 

さて本日ですが在宅医療における専門科について話したいと思います。札幌では在宅では大多数の医師が総合診療医として診察していると思いますがその中でも専門家の需要、あるんです。そこは病院と大きく違いはないですよね。たとえば皮膚科、褥瘡の処置や治療方針、皮疹の診断や陥入爪の治療などなど本当にお世話になっています。 (学生実習の時サボってごめんなさいって深く今は反省しています。)他には眼科、耳鼻科さんなど本当に日頃からお世話になることが多いので助かっています。

そんなある日のことですが(今月です)当院で診療していた患者さんのレセプト返戻されてきました。社保いわく「皮膚科も当院も訪問診療料を算定しているのでそれは不可」とのこと・・・・・・ええ、訪問診療料って在宅医療は1科しか算定できないみたいです (5年も在宅やっていてようやく今知りました)そこでまずは確認ですが↓↓

在宅医療の点数:原則的に1つの医療機関しか算定できない(在医総管、訪問診療料、指導管理料など)これは在宅医は総合的な治療ができるのが当たり前なので他科の診療を依頼することがない、との考えが基準となっています。しかし上記のように皮膚科医や耳鼻科医が在宅の主治医にお願いされて診察に行った場合は?????どう保険請求したらいいのでしょうか。

実際には主治医科→訪問診療料、専門科(皮膚科など)→往診料の算定をしてください、との社保の答えでした。でも訪問診療=予定された訪問、往診=呼ばれて訪問する、といった定義があります。実際に皮膚科の先生が褥瘡の処置する時って・・・・ええ、予定して何回も何回も訪問します。社保はそれを往診料で算定してくださいって・・・・・・・・はっきり言って矛盾です・・・

 

 

 

今後在宅医療は病院医療と同様にある程度は専門性も問われるようになってくる時代になると思います。そこで他院に頼むことが保険請求上の問題を引き起こすことは現状では必須です。是非改善を要求したいですね。 (っていうかこんな理由で返戻されたら実務ができないんです) 皆さんはどう考えますか?

 

さて本日の医療ニュースですがこれです。自分としては人として生きる=他人とは同じように扱って欲しくない、っていう感情が誰にでもあることを理解することが大事だと思います。低下しつつあるADLの中でどうして自宅で生活したいのか、どうすれば自宅で一人でも生きていけるような社会を作っていくのかを追及することが本当の意味での個々の人生の豊かさを考えることになるのではないかなって思っています・・・・皆さんどうでしょうか。

独り暮らし高齢者が増加=欠かせない生活支援 http://www.jiji.com/jc/article?k=2016062900847&g=soc

2015年国勢調査の速報結果は、高齢化が一層進んだことを裏付けた。特に独り暮らしの高齢者は、5年前の前回調査と比べると約84万人増加。公共交通機関が発達していない地域に住んで車も運転できない場合、外出や買い物も不自由になってしまい、日々の生活を維持するのは難しくなる。それぞれの地域に合った高齢者の生活支援が欠かせない。

老後の備え「してない」が4割超=高齢社会白書

調査結果では、都道府県別に見て、65歳以上の高齢者人口が全体の25%以上を占めたのは41道府県に上った。5年前の前回調査では23県だったので、高齢化の波が全国どこでも押し寄せていることが分かる。また、高齢者人口約3342万人のうち、特別養護老人ホームなどの施設や病院ではなく、自宅で独りで暮らしている人は約563万人で、前回調査から約84万人増えた。割合で見ても16.8%と伸び続けている。
全国的に高齢化が進む中、住民が中心となった「地域運営組織」をつくり、地域に住む高齢者の生活を手助けする取り組みも目立つようになった。声掛けや見守り、外出や買い物の支援、交流促進などが主な内容だ。秋田県横手市では高齢者宅の屋根の雪下ろし、島根県雲南市では水道の検針業務と高齢者の見守りを組み合わせる活動に取り組んでいる。
総務省の調査では、こうした地域運営組織は全国に1680あるが、本当の普及はこれから。同省の担当者は「リーダーとして取りまとめる人や、実際に活動を担う人を見つけるのが難しいようだ」と、人材確保が課題と指摘した。

 

って戻ってきたレセプト、皮膚科のクリニックとどう請求するか要相談なんです・・・・

第一回在宅医療協議会総会に参加してきました

こんばんは、今は夜の19時すぎ・・・・ええ、在宅医療協議会の第一回総会に参加しています。

医師会館の下の案内↓↓↓、5階の大ホールで開催です

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坂本先生の会長挨拶です。いつも通りの歯切れのいい挨拶でした。

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配布された資料です。在宅医療に関わっている診療所やバックアップしてくれる病院などの詳細な情報が載っています。今回はこの総会に参加された医師を中心に配布とのことですが、どの地区にどの先生がどの程度のレベルの在宅医療を提供しているのかすごいよくわかる価値のある情報集だと思います。是非札幌市の居宅やステーション、一般の人にもみてもらいたいですね。

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↑↑↑写真下手でわからないかもしれませんが厚さ結構あるんですよ、138ページあります。

この後記念講演会、親睦会がありましたのでもちろん参加してきています。 (まだ名前と顔一致しない先生多いのは秘密です・・・・)

今回総会に参加してやはり今後この会が札幌市の在宅医療の基盤となると確信しましたが、当院がどのようにこの会で、また地域で貢献していくのか、改めてしっかり考えていかないと感じました。先が楽しみです。

 

会の途中に上記と書いていましたが実はこの後親睦会に出る前に往診に呼ばれて参加できませんでした。うーん、仕方ないですよね。明日もまた頑張りたいと思いますー。

今年の夏で全種類制覇!

札幌は昨日に続き天気いいですね、あまりにも暑かったんで同行の看護師さんにどうしてもジェラート食べたいってお願いされたので診療の帰宅途中に食べに行ってしまいました (実は自分が一番食べたかったってのは内緒です。)

店名:indigo maruyama http://indigo-maruyama.com/index.html  場所は↓↓↓

キャプチャ

ジェラートです。 (食べてる途中で写真とってないのに気がつきました・・・)

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チョコ、トウモロコシ、トマト、ほうじ茶など種類も豊富ですし味ももちろん良かったです。近くきたら皆さん是非寄ってみてください。(看護師さんとは今年の夏で全種類制覇!って話になりました・・・・)雰囲気も好きですし今度診療所の打ち上げとかにも使ってみたいと思います。

 

最近ご自宅で看取りをする患者さん、少しずつですが増えてきている印象です。自宅に帰る人自体も診療報酬での誘導のせいなのか、それとも在宅医の地道な活動に理解がでてきてくれたのか、自宅に帰るという選択をする患者さんが増えてきてくれているのはいいことだと思います。ちなみに当院の統計調べてみたところ4,5,6、月で24人の方を看取っていました。(一人一人今でもよく思い出される患者さんばかりです。)このペースでいくと今年は100人近くの患者さん、当院で看取ることになりそうです。頑張らなければいけないですね・・・

また先日亡くなった患者さんの自宅をお悔み訪問しご家族と一緒に色々話してきました。病院から帰ってきてから行ったパチンコのこと、病院では過ごせなかったであろう夫との自宅でのゆっくりとした時間のこと、またケアしてくれた家族の方との会話など、自分達の診療時だけでは聞けなかったことをご家族からゆっくりお聞きしました。改めてやっぱり自宅に帰ってきてよかったねー、とご家族と話した次第です。聞けばこのご家族も転院か在宅か最後まで迷っていたとのこと、最後は本人の意思と、相談した長年みてくれていたケアマネさんの一言が在宅復帰につながったと思います。病院で勤めている看護師さんやSWさんには患者さん迷っている方いたら是非”自宅でに帰りましょう”って後押ししてあげてほしいですね・・・・

 

さて本日の気になるニュースですが以下の記事です。上記で自分が書いたことと関係していますが実はがん拠点病院のお医者さんの目線って独特です。”自宅か転院か”って聞いてくれる担当の先生はまだいい先生だと思います。8割の先生は最後の説明の時に”では当院での治療は終了したので緩和ケアの病院を探しましょう”ってなっているところ、多いと思います。緩和ケアの研修の受講率あげれば解決する問題ではないですが、現状よりはより良くなるでしょうね。いやなってくれないと・・・・・

CBニュースより

緩和ケア研修受講率、拠点病院では5割未満- 厚労省検討会、受講促進策で議論 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49074.html

がん診療連携拠点病院(拠点病院)における患者の主治医や担当医を対象にした緩和ケア研修会の受講率が、昨年9月1日時点で5割に満たないことが、厚生労働省が27日に開いた「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」で分かった。厚労省は、この日の会合で受講率の向上策を検討するよう提案。委員からは、専門的な技量を養う研修会と、多職種連携のための研修会の2本立てで実施すべきといった意見が出た。【松村秀士】
同研修会は、がん診療に携わる医師に対して基本的な緩和ケアに関する知識や技術を身に付けさせるもので、2008年から拠点病院などが開催している。

12年6月に閣議決定されたがん対策推進基本計画(基本計画)では、「5年以内に、がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得すること」や、「特に拠点病院では自施設のがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を修了すること」を目標に掲げた。これを踏まえ、厚労省は拠点病院に対し、17年6月までに9割以上の医師に研修を受講してもらうよう計画書の提出を求めるなどして、研修修了を後押ししている。

27日の会合で厚労省は、拠点病院における同研修会の受講率を公表した。昨年9月1日時点で、がん患者の主治医や担当医のうち、受講を修了した人は2万217人で、全体の48.1%だった。都道府県別では、山形や長野、三重の3県は受講率が70%以上だったのに対し、秋田や福島、栃木、東京、京都、山口、宮崎の7都府県は40%未満で、都道府県によって差があることも明らかにした。

厚労省は、拠点病院での現在の受講率は低いと見ており、この日の会合でがん診療に携わる医師の受講率を上げるための方策を検討するよう提案した。

■研修医への受講義務付けを求める意見も

意見交換で、三宅智委員(東京医科歯科大大学院教授)は、「主治医が緩和ケアチームにつなぐ多職種連携のための研修会と、チームとしての専門的な技量を養うための研修会の2本立てでやるべき」と指摘した。

山田佐登美委員(川崎医療福祉大特任教授)は、「看護師やそれ以外のメディカルスタッフも含めて学習することで、地域でチームが活動するような体制づくりが必要」とした。このほか、「研修医の2年間で緩和ケアの教育プログラムを修了することが最も重要」(細川豊史・京都府立医科大教授)とし、初期臨床研修に緩和ケアを必須項目として盛り込むよう求める意見も出た。緩和ケア研修について、次回以降の会合でも議論する予定。

 

ってアイス食べてたら体重なんて全然減らないんですね・・・

7月12日のケア連絡会で和田先生が発表します。

今日は訪問診療で患者さんの歩行リハビリを行いました。夫が育てたペチュニア?を一緒に鑑賞したんですが気持ちいい天気ですね。 (ペチュニアをつつじですかって聞いたのは内緒です・・)

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こんにちは、今日は夕方に琴似ファミリークリニックの地域連携室のSWの吉田さんと鈴木さんが挨拶に来られました。在宅医療の現場にSWがどんどん出てきてくれるのは絶対いいことだと思います。今後お互いにきちんと連携して協力していきたい旨をお伝え致しました。良い関係ができるといいですね。

さて本日は当院からのご連絡です。7月12日に行われる中央区のケア連絡会ですが当院の和田先生が発表されることになりました。

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和田先生の発表絶対ためになると思います。お時間ある方は是非参加してください。参加された方には当院で初めて作成した記念パンフレット贈呈します。(本当ですよ)

って宣伝だけして今日は終了です。ええそうです、今日は短時間しかないのでこんな内容で勘弁してください。 (最近言い訳が多くなってきてるな、とかって言わないでくださいね。)

院外処方の是非

こんにちは、朝から気になるニュースがあったので是非一読を・・・・

院外処方せんのメリットに関しては確かに門前であればあまりないように患者さんが感じても現状では仕方ないかもしれません。薬剤師さんがその価値をはっかりと他職種に示すには在宅のフィールドにでるのが一番だと個人的には思いますが・・・・皆さんはどう考えますか?

 

薬事日報より

【関西医大総合医療センター】院外処方箋の全面発行中止‐門前中心分業に「メリット感じず」 http://www.yakuji.co.jp/entry51707.html

関西医科大学総合医療センター(守口市、477床)は5月6日の新本館開院に伴って、院外処方箋の全面発行を中止し、外来患者の調剤を原則院内で行う方針に改めた。患者の費用負担を軽減し、1カ所で薬を受け取れることで利便性を向上させて、病院の全体的な評価を高めることが目的だ。約16年間全面発行を続けてきたが、そのメリットを十分に感じられなかったという。ただ、方針の無理強いはせず、希望する患者らには院外発行を続ける。100%に近かった院外発行率は現在40%台半ばで推移している。

 

同センターは建物の老朽化に伴い、隣接する大学施設跡地を活用して新本館を開院すると共に、院外処方箋の全面発行を中止。関西医科大学附属滝井病院という名称も、現在の名称に改めた。本紙の取材に応じた同センター院長の岩坂壽二氏は、院内調剤に戻した理由について「まず、患者さんの費用面の負担を軽減したかった。また、外に行かなくても1カ所で薬をもらえることによって、患者さんの利便性は高まる」と語る。

院外処方箋の全面発行には「メリットを感じられなかったというのが16年ほどやった上での印象」。国の方針に沿って実施したものの「患者サービスが低下するということになれば、何をしているのか分からない」と話す。全面発行を続けるより院内に戻した方が患者サービスは向上すると見込み、それによって病院の評価を高めたいという。

在宅での治療方針の意思決定について

今日だけで患者さん二人から「先生体でかくなったね」っていわれたんです・・・・・

 

こんにちは、土日ですが看取りの患者さんなどいたために診療していたため更新できなかったんです(決してさぼっていたためではありませんので・・・・って自己弁護になっていますね。) 

さて本日は認知症の方や独居の方など今後の治療方針についてどうしていったらいいんだろうと悩む患者さんが結構いました。なので本日は在宅での治療方針の意思決定について、どのような点が病院と違うのか少し述べてみたいと思います。

まずは在宅医療での意思決定で決定的に病院と違う点は・・・・「治療のゴールの設定が明瞭ではないこと」が一番ではないでしょうか。

病院では①診察→②検査→③説明→④治療(投薬もしくは手術など)→⑤効果確認→⑥治療について相談→⑦再治療もしくは終了、といったプロセスになることが殆どだと思います。③から④にかけては選択肢はいくつかあることが通常ですが、治療方針についての意思決定はその場で(もしくは多少の時間差をもって)決断されます。ここがあいまいになることはそう多くはないですよね。そして治療の目標についても適宜修正されることはありますがきちんと設定されます。

一方在宅の場合は①から⑦までのプロセス自体は大きくはかわりないですが、①治療の目標自体が治癒を目標としたものではなく、患者さん自身の価値観を尊重した生活をすることが目標であることから、病院のような具体的な項目の設定はし難いこと②意思決定者が本人でないことがままあること③治療の方向性や目標の設定が医師と患者さんとの関係のみではなく、多職種が関係していくこと、などが特徴でしょうか。

なので在宅療養の方向性の設定ができないままの患者さん、病院だと少ないんですが在宅だと結構いるんです。そんな患者さんが急変した時によく病院に検査や治療依頼するんですが、そういう時っよく病院の先生は「普段から診療しているのに療養の方向性も決めきれないんですか?」って言われることもあります・・・・・(フィールドが違うと病院では当たり前のことが在宅ではできないこともあるっていうことを病院の医師もわかってくれるといいんですが・・・そんな理解ある先生は少ないです)

そんな感じで毎日意思決定の支援は患者さんとの会話の中で意識して自分はするようにしていますが、在宅は基本的には多職種が関わるので、医師のパターナリズムが患者さんや他の連携職種の方などにも影響しないように注意していかないといけませんね。ってぐだぐだ書きましたが大体在宅医はこんなこと考えながら診療しているんです・・・・(急な患者さん依頼したときの言い訳書いている訳ではありませんので・・・)

 

さて本日の医療記事ですがMRICより以下の記事です。日本と比べアメリカでは慢性疼痛への麻薬処方は一般化していますがそれに関しての考察の記事です。読みながらCNNでのニュースも確かに似たようなの最近みたなと思って探したらありましたので気になる方はそちらもみてみてくださいね。(翻訳は自力でお願いしまーす)

CNNの記事 Opioid Prescriptions Drop for First Time in Two Decades http://www.nytimes.com/2016/05/21/health/opioid-prescriptions-drop-for-first-time-in-two-decades.html?_r=0

MRICの記事

Vol.146 アメリカでの安全なオピオイド処方に向けて http://medg.jp/mt/?p=6816

ワシントン大学医学部内科
トーマス・シシェルスキー

2016年6月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

アメリカでは現在、オピオイド中毒や過量投与の蔓延が問題になっている。そのため、オピオイド中毒や依存が起こるリスク因子とは何かを理解することが重要になっている。麻薬類(Opiates)はアヘンから自然誘導されたもので、コデインやモルヒネのような薬剤も含まれる。半合成麻薬類は自然物と合成化合物の組み合わせで、ジアセチルモルヒネやオキシコドンのような薬剤が含まれる。そして、合成麻薬類とは全てが合成された化合物でメタドンやフェンタニルのような薬剤 であり、オピオイド(opioid、モルヒネ様物質)はこれら全ての総称である。アメリカでのオピオイド中毒危機の現状認識のためには、オピオイドがどのように処方されてきたのか、その経緯をまず理解することが肝要である。1996年より前は、オピオイドはがん性疼痛にのみ処方されていた。そして、全ての慢性疼痛において、その治療のためにオピオイドを処方することは適正な実地医療であるということを、1996年に疼痛関連の二つの学会が示した。それと同時に、オキシコンチンが発売され、慢性の非がん性疼痛に対する処方が大々的にマーケティングされるようになった。

この当時、「疼痛」はアメリカでは重要な臨床徴候の5番目に位置すると考えられており、積極的な疼痛治療が一つのゴールになっていた。その結果、図に示すように、アメリカでのオピオイド処方は指数関数的な上昇を見せた。特徴的なのは、処方数の増加と共に、一処方あたりのオピオイド量も増加したことである。

残念ながら、しかし予想通りではあるが、オピオイド関連の過量投与による死亡数がアメリカでは顕著に増加し始めた。オピオイド関連の過量投与に伴って、毎年1万8千人以上が死亡し、このような中毒と過量投与の蔓延により1999年以降16万5千人以上の累積死亡が起こっている。

オピオイドの使用をめぐっては多くの課題があり、オピオイド中毒、誤使用、オピオイドの医学的理由以外での使用や流用といったものが挙げられる。オピオイドの流用とは、当該薬剤の処方を受けていない他人にそれら薬剤を渡してしまうことを指す。とりわけ、流用されるオピオイドのほとんどは、家族や友人からのものであり、しかもそれらオピオイドは一人の医師のみから通常入手されている。

オピオイド中毒の蔓延は、社会的経済的な各層の全てに影響を与えるものであり、ミュージシャンや役者なども例外ではない。例えば、有名ミュージシャンのプリンスが2016年に死亡したのは、おそらく過量投与によると考えられている。また、有名俳優であるヒース・レジャーは処方薬により2008年に死亡した。アカデミー賞受賞者のフィリップ・シーモア・ホフマンはオピオイド処方の服薬を繰り返した後、ヘロインの過量投与により2014年に死亡した。

さらに、オピオイド中毒の蔓延は感染症にも大きな影響を与えており、インディアナ州では注射用オピオイド薬のオキシモルフォンに関連し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のアウトブレイクが現在発生している。

現在、アメリカでは食品医薬品局(Food and Drug Administration)と麻薬取締局(Drug Enforcement Agency)がオピオイド処方の規制を行っている。しかし、適切な免許を所持している医師でさえあれば、処方は誰でも行うことが可能であり、それらの処方箋もがん性疼痛に限定されるものではない。そこで、多くの州でこれら処方の規制強化の取り組みが始まっている。例えば、ミズーリ州を除く全ての州で、処方医師と薬局の数を監視する処方監視プログラムが実施されており、誤った使用の防止に目標が置かれている。注目すべきことは、オピオイド処方の大部分を行っているのは、家庭医と内科医だということだろう。

我々は、オピオイド中毒や依存に陥るリスクを評価するために、リスク因子予測モデルを開発する研究に現在取り組んでいる。私はオピオイド中毒や依存に陥るリスクを研究するために65万人のデータベースを構築した。そして、薬局へのアクセスや地理的な状況も含めた人口統計学的、臨床的、行動学的な一連のリスク因子の評価を行っているところである。

これまでのところ判明しているオピオイド中毒の予測因子として、若年者、恒常的な使用、そして精神疾患の既往、薬物中毒や飲酒が挙げられる。

アメリカ疾病予防管理センター(Center for Disease Control)が、オピオイド使用を減らすためのガイドラインを最近発表したのは朗報と言える。オピオイドは疼痛管理において、最優先でもないし好ましくもない。使用するにしても、最も低い用量で、最短期間での使用とされるべきだろう。さらに言えば、処方に際しては安全な処方のためのリスク因子評価も実施されるべきだ。処方権の付与に先立って、オピオイド処方者が追加のトレーニングを受ける必要があるかどうかの問題も残っている。このように、慢性疼痛を効果的に治療するためには、さらに多くの研究が必要となるだろう。

 

ってようやく疲れて帰ってきたらまた診療依頼でした。疲れたからキットカット食べて夜間往診に出発です、行ってきまーす。 (だから体重減らないんです・・・・)

 

振り返りカンファ

今日は新しくきたスタッフの歓迎会なんですよ・・・・

 

こんにちは、昨日の記事の追加ですがついにイギリスのEU離脱が可決されましたね。実際にはまだ先の話ですがスコットランドやアイルランドのイギリスからの独立も議論の俎上に上がってくることは間違いなさそうです。シティの金融不安が起きた場合、全世界的に不況が本当にくるんでしょうか?日本でも本日だけで株価あっというまに10%近く低下していますし・・・・・自分は株式やFXなんて興味ないんでやっていないんですが、これだけ市場が荒れてくると実経済への影響はまず避けられないでしょうね(だれかきちんと今後の世界の行く末予想できる人いたら教えてください。)

色々個人的には歴史の流れについて思うところはありますが、それは置いておいてと・・・・・さて本日は訪問看護師さんと看取った患者さんの振り返りカンファレンスをしてきました。当院ではその調整はSWさんがしてくれます。詳しい病歴はここでは述べませんが、やはり一番今回の患者さんの振り返りで気にかかっていたことは、この患者さんが週末の当番の先生の時に看取りとなったことで患者さん家族からは「主治医の先生に看取ってほしかった」と少し残念であったとのこと話があったとのことでした。自分達もできる限り癌末期の患者さんの診察は土日も主治医がある程度はするようにしていますが、それを絶対にできるとは限りません。当院は基本1患者1主治医の制度を採用していますが土日や夜間の待機はチームで回していますので・・・・・

ただそうだとしてももっと看取った後の行動でできることはなかったのかなど検討できることはありました。またステーションとクリニックと、事業所が違えばお互い連絡しあうのも躊躇してしまうということが会議の中で出てきました。今後の密な連携方法についてどうしていくかなど、次の患者さんにむけて有意義なカンファレンスができたと思います。

↓↓↓カンファレンスの写真(奥が自分、真ん中SWの川村さん、右が加藤先生です、手前側が訪問看護師さん)

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さて本日の医療ニュースですが時事ネタで・・イギリス離脱が製薬業界に与える影響です。事前に軽く読んでいたんですが、製薬業務や医薬品承認プロセスのフローがEU内でどうなっていくんでしょうね。世界や、そして日本にもどのような影響があるんでしょうか。まさかないわけないですよね・・・・・

 

「Brexit」の影、製薬業界にも…EFPIAが残留訴え 英国のEU離脱で業界に何が起こる? https://answers.ten-navi.com/pharmanews/6446/

英国のEU(欧州連合)離脱問題、いわゆる「Brexit(ブレグジット)」が、製薬業界にも影を落としています。欧州製薬団体連合会は、英国のEU離脱が製薬業界に与える影響を懸念し、残留を訴える声明を発表しました。

 

英国が離脱を選択すれば、その波紋は世界中の製薬企業のビジネスに幅広く及ぶと予想されます。拠点の配置を含め、ビジネスの見直しを迫られるかもしれません。

 

「残留が最善の利益」

「英国がEUに残留することが、英国と欧州の製薬産業の最善の利益であると信じている」

 

英国のキャメロン首相がEU離脱の是非を問う国民投票を6月に行うと表明したことを受け、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は2月下旬、英国のEU残留を訴える声明を発表しました。

 

EFPIAは声明で「英国のEU離脱の可能性をめぐり、欧州の製薬企業は著しい不確実性に直面している」と指摘。欧州医薬品庁(EMA)の立場や規制、資金調達、雇用などに影響を及ぼすと懸念を示しています。

 

EMAが移転?規制枠組みに影響?

英国のEU離脱をめぐり、製薬業界が大きな関心を寄せているのがEMAの行方。承認審査をはじめ、EU圏の薬事規制を統括するEMAは、本部をロンドンに置いています。仮に離脱が現実のものとなれば、EMAは別のEU加盟国に移転せざるをえません。

 

EU圏の薬事規制は、EMAを中心に加盟各国の連携によって成り立っています。英国がEUから離脱した場合、欧州の薬事規制の枠組み自体も変化を迫られる可能性があります。

 

EUでは、EMAが販売承認の審査を一括して行い、承認を取得すればEUの全加盟国で販売が可能となるのが一般的。これとは別に、ある加盟国での承認をほかの加盟国に適用できる仕組みもあります。

 

EMAは承認審査以外にも、市販後の医薬品の安全性評価やオーファンドラッグの指定、各種ガイダンスの策定といった役割も担っています。副作用報告や臨床試験の監督、メーカーへの査察などは、加盟各国間で情報交換をしながら連携して行っています。

 

規制枠組みには留まる可能性も

英国がEUからの離脱を選択すれば、こうしたEUの薬事規制の枠組みからも離脱する可能性があります。日米欧の3極を中心に薬事規制の調和を図るICH(医薬品規制調和国際会議)にも影響が出るかもしれません。

 

離脱後に英国が独自の薬事規制を敷くことになれば、製薬企業はEMAとは別に、英国当局と個別に対応する必要が出てきます。申請に求められる臨床試験やデータなどにも違いが出てくる可能性があり、製薬企業の負担は増します。

 

ただ、EUからの離脱が即、薬事規制からの離脱につながるとも限りません。

 

現在のEUの薬事規制には、EU加盟国にアイスランドとリヒテンシュタイン、ノルウェーを加えた欧州経済領域(EEA)の31カ国が参加しています。英国も貿易協定の枠組みなどを通じて、EUの薬事規制に留まる可能性もあります。

 

欧州事業拠点の配置見直し?

 

日本の製薬企業の中には、武田薬品工業やアステラス製薬、エーザイなど、欧州ビジネスの統括拠点を英国に置いている企業が少なくありません。英国のEU離脱が現実味を帯びてくれば、事業拠点の見直しを迫られることになるかもしれません。

 

EMA移転で薄れる英国拠点の意義

製薬企業が英国に欧州事業の拠点を置く最大のメリットは、規制当局への対応にあります。規制当局との密なコミュニケーションは、スムーズな承認取得に欠かせません。このため、多くの企業がEMAの本部がある英国に欧州事業の拠点を置いています。

 

しかし、英国がEUから離脱すれば、英国を欧州ビジネスの拠点とする意義は薄れます。EMAがほかのEU加盟国に移転することになるからです。地理的特性や言語、政治的安定性などビジネスを行う上でプラス面も多い英国ですが、EMAの移転に合わせて各社が拠点の見直しに動く可能性があります。

 

国民投票は6月23日

「英国がEUに残留することが、英国や欧州の自然科学分野にとって最善の利益であると確信している」。EFPIAは2月に出した声明で、離脱の是非は英国民の判断としながらも、残留を強く呼びかけました。

 

英国が離脱を選択すれば、英国やEUだけでなく、グローバルで製薬産業に影響を与えるでしょう。注目の国民投票は、6月23日に行われます。

 

 

って書いてる途中から歓迎会参加していましたので記事のアップは翌日になりましたとさ・・・

民泊の話~宮の森の事情

トレーニング用にチンニングスタンド買ってみました・・・・

 

こんばんは、ようやく診療が終わって自宅に帰ってきました。イギリスのEU離脱がどうなるかの国民投票が始まっていますがどうなるでしょうか?これによっては今後の経済動向が全く変わってくるので本当に明日の朝までは目が離せませんね。おそらくEU離脱が決定すると円が買われてドル安、株安などにつながり今後のオリンピックを控えた日本国内の景気動向に大きな影響を及ぼすと思います。(個人的な考えです。違ったらごめんなさい、専門家ではありません・・・・)

オリンピックといえばそれのためにホテル建設の推進や容積率の緩和など不動産市場の活性化につながっていると思いますが、最近だと民泊の可否とかも大きな影響を市場や地域社会に与えそうですよね。だって民泊ってもしかしたら自分の隣の家に見知らぬ不特定の人が出入りするようになるんですよ?保守的な自分としてはコミュニティに与える影響を考えると民泊には否定的な考えです。利便性の向上?一時のお金や対応のために根本的な価値観や地域社会の大事なところは変えるべきではないと思いますが皆さんはどう考えますか?

さてこのブログでそんな内容をとりあげたのは以下の記事が気になったから。実は春ころから宮の森にすむ住民さんからはちょくちょく話を聞いていたのですが・・・・・この話、地域に与える影響大きいと思うんです。皆さんの地域で同じ話、でていませんか?(ちなみに建築や住民説明会をやった建築の会社ってこの地区でたくさん実需の家を建てている会社です。依頼されたとはいえ地域社会の価値観を変える可能性のある建築物をつくるのに躊躇はなかったんでしょうか・・・・企業としての倫理観は???)

(興味のある方↓↓是非元のサイトみてください。写真つきですよー)

 

リアルエコノミーから

札幌・宮の森で「民泊反対」 「海潤」相手に住民が調停申し立て http://hre-net.com/syakai/syakaibunka/19368/

中国系不動産会社、海潤(ハイルン)が札幌市中央区宮の森で建設中の4物件に対して地域住民らで作る「宮の森の環境を考える会」は6月中旬、同社を相手として札幌簡易裁判所に調停の申し立てを行った。4物件のうちすでに3物件の建設が進んでおり、今年9月にも1号物件が完成する。調停の動向によっては海潤と住民の対立が深まりそうだ

海潤が建設中または建設予定の4物件は、宮の森4条12丁目の「宮の森雅殿1」と「同2」、宮の森4条13丁目の「コンセプトハウス」それに宮の森2条11丁目の管理事務所。

「雅殿1」は、先行して建設が進んでおり9月には3階建て5戸の建物が完成する。「雅殿2」も3階建て5戸で、傾斜地のため現在は土地造成工事が始まった段階。「コンセプトハウス」は、宮の森4条13丁目の一戸建て建物で海潤会長の別荘となり販売する建物のモデルルームを兼ねるが、未着工。さらに宮の森2条11丁目にはこれらの建物の管理をする管理事務所の建設が進行中。

海潤がこれら4つのプロジェクトを今年2月に示して以降、近隣住民らは「分譲マンションではなく民泊用にも使われる施設になるのではないか」と疑問を持つようになり3月初めには海潤と住民、建設業者を交えて住民説明会が開かれた。
住民ら約90人が出席した説明会で、海潤側はいずれの建物も購入者が居住するものだと説明し宿泊施設として利用されることがないことを示した。

この説明会で住民側は、「雅殿1」に計画されている露天風呂は近隣の環境を阻害するとして中止を求めたほか管理規約の原案開示なども求めた。海潤側は露天風呂の設置中止を購入者と協議検討することや管理規約の原案を必要な範囲で開示することを検討すると答えた。

その後、住民は約50人で組織する「宮の森の環境を考える会」を発足させ海潤側に居住目的で販売することを再確認するとともに、居住者の責任で旅行者には利用させないことなどを明確にした協定書原案を送付、回答を求めたが4月末の期限までに回答がなかった。
このため「考える会」は、弁護士に委任して露天風呂設置中止が実現したのかどうかを含めて5月末までに文書回答を求めたが、こちらの回答もなかった。

「考える会」の要請中もこれら施設の建設が進んでいることから、同会は札幌簡裁に調停を申し立て、3月初旬の住民説明会で海潤が行った説明の結果がどうなったか、約束した管理規約原案の開示などの履行を求めることにした。住民説明会から3ヵ月が過ぎ、海潤と「考える会」の「民泊論争」は裁判所が関わる新たな段階に入った。

 

って今回は地域で起きているコミュニティの変化のお報せでした・・・・(全然医学に関係ないじゃん、なんて言わないでくださいね)

遺影の写真

夜中に往診して今日は少し寝不足気味なんです・・・・・・

 

こんにちは、今日も夜中から往診、朝から定期の診察ぐるぐるとこなしています。明日の加藤先生とリハビリの桑原君の歓迎会を目前にして体調崩すのも残念なので、ちょびっと診療のペースダウン・・・・昼はいつもより少しゆっくり休憩をとります。(他の診療所はよくわかりませんが、一人で訪問診療始めた5年前から昼の休憩は大体出先でとることが多かったです。最近は先生増えて少し休めるようになっているのはありがたいです)

↑この段階まで午前中に書いていましたが昼には看取った患者さんのご家族が来院されその対応、さらに少し午後は時間あったので訪問の間に最近看取った患者さんお二人のご自宅に訪問してきました。3家族とも患者さんの疾患は認知症と癌と違うものの、最後まで自宅で過ごしたい、過ごさせてあげたいとご家族の方が考えたことには違いはありません。その家族達の話をゆっくりと聞いてきました。遺影の写真も自分達が知っている患者さんとは少し違い、元気でいい表情をされていました。来週にでも今度は訪問看護と振り返りカンファを行いたいと思います。(ということで記事に書くこと最近少し困っていましたが来週は振り返りカンファの記事を主体にしたいと思います)

あと”認知症の方の尊厳と家族の思いと・・・ http://www.imai-hcc.com/archives/3057 ”の記事で書いた当院で診療している認知症の患者さん、結局自宅で過ごすことは難しくなりそうな感じです。本人と家族→現状のまま自宅で住んでいるのがベストと思っている、ケアマネとヘルパーさん→外からカギをかけると指定取り消しになるかも・・・・との意見、結局は患者さんが居住場所を変えることになるんですね・・・・地域包括ケアとは地域で誰もが過ごしていくこと、過ごしていけるようにコミュニティを作っていくこととと個人的には思っていたのですが、実際今回のケースでは国はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような、地域包括ケアの構築に真逆な事をしている印象です。今後さらに同様なケースがでてくるのでしょうか・・・・・どうなるでしょうね・・・

 

さて本日の気になる医療ニュースですが以下の記事を読んでください。こんな形の寄付でも運営していけるホスピスが札幌でもできるといいですね、そうおもいませんか?

yomiuri onlineより  https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160530-OYTET50051/

小児の緩和ケア医として子どもを診る立場から 多田羅竜平

さよならを言う前に~終末期の医療とケアを語りあう~

テーマ「現状と課題」 子どもたちのための緩和ケア‐社会は子どもたちのために何ができるだろうか‐

私はもともと新生児医療を中心に働く小児科医でした。新生児医療はこの30年ほどの間に大きく進歩し、その結果、それまで助からなかった多くの赤ちゃんが助かるようになりました。そして目標はただ救命するだけでなく、”Intact Survival(後遺症なき生存)”が新生児医療に携わる者たちの合言葉でした。新生児医療だけでなく、小児がんなど様々な病気の子どもたちも同じようにたくさん助かるようになりました。

それでもなお、残念ながら救命できない、完治できない子どもたちがいます。多くの子どもたちが後遺症なく生きられるようになってくると、逆にそれが達成できなかった時の医療者の敗北感はより一層強くなりがちです。そして、医療が進歩しても治療のすべのない病気の子どもたちがいます。病気を治すために大きなエネルギーを注ぎ込むことが求められる環境においては、治せない病気の子どもを前にした時の無力感はより大きなものとなります。

私自身も多くの子どもたちの死に関わってきましたが、なかでも深く印象に残っている患者さんの例を紹介します。「先天性表皮水疱症(最重症型)」という難病で生まれた赤ちゃんがいました。この病気はちょっとした刺激で全身に水ぶくれができて、ただれます。口の中のただれのために、口からのみ込む時には激しい痛みを伴います。気道のただれのために呼吸困難( あえ ぎ)を生じます。全身皮膚のただれは激しい痛みで着衣もままならず、夜もろくに眠れません。しばしば感染によって発熱、消耗も伴います。

根治的な治療方法はなく、治療は対症療法が基本になります。最重症型は一般的に生後数か月以内に死亡します。その子も生後数か月で亡くなりました。当時の私にはうまく症状を緩和するための知識も経験もなく、苦しみを和らげてあげることができないまま 看取みと らざるを得ませんでした。

わが子を生まれて数か月で看取らなければならなかった母親から「この子は何のために生まれてきたのでしょうか。生まれてからずっと苦しいことばかりで、何か一つでも生まれてよかったと思うことはあったのでしょうか」と問われ、この頃の私には返す言葉が見つかりませんでした。

イギリスで「子どものホスピス」に出会う

このような敗北感、無力感が小児科医としての私の心に巣食うようになっていたころ、イギリスには「子どものホスピス」という施設が40施設近くあることを知りました。まだ日本では「子どものホスピス」という言葉すら、全く知られていないころです。何はともあれ、子どものホスピスを見てみたいと思いイギリスを訪れました。2005年夏のことです。

訪問させていただいた世界で最初の子どものホスピス「ヘレンハウス」は、家庭的な温かい雰囲気に包まれ、子どもたちが楽しむための様々な工夫を凝らした部屋、きれいな中庭、たくさんの遊具、広いリビングなどがあり、子どもたちの個室にはベッド、勉強机、ソファ、トイレ、浴室など一式が整っています。食事はダイニングルームで利用者もスタッフも皆一緒に大きなテーブルを囲んでとります。

亡くなった子どもたちの名前が記帳された本や写真が飾られているなど、亡くなった子どもたちが大切にされているのも子どものホスピスならではの光景です。家族滞在用のスイートルームもあり、亡くなった子どもとゆっくりと一緒にいられる部屋もあります。スタッフはマンツーマンで子どものケアにあたります。全てが新鮮な驚きでいっぱいだったのですが、何より驚くべきは、子どものホスピスの活動が地域からの寄付によって成り立っており、医療・福祉制度から独立した運営形態だということです(このような運営形態をフリー・スタンディングといいます)。地域全体で重い病気の子どもと家族を支えるという、社会全体を包む精神の美しさに何よりも心を打たれました。

「生まれてきてくれてありがとう。一緒に過ごせてとても幸せだったよ」。そんな言葉が家族から自然と出てくる世界を経験した私は、イギリスで小児緩和ケアの勉強をしようと決心しました。当時、わが国では誰も足を踏み入れたことのない領域だけに、将来の具体的な計画はおろか、帰るところもない中で、とにかく何の役に立つかはわからないけれど、小児緩和ケアの専門家というものを目指してみようということだけを決めて、イギリスの小児緩和ケアチームの門をたたきました。

イギリスでは、小児緩和ケアという領域が小児医療の中で確立していていることを目の当たりにしました。様々な職種のたくさんの人たちがいろんな場所で生命を脅かす病気の子どもたちのために取り組んでおり、そこにはやるべき医療やケアが、学ぶべき専門的な知識や技術がたくさんあること、そして小児医療とは、子どもの「死」に立ち向かうだけではなく、たった一度の大切な短い人生の「よりよい生そして死」を支える実践でもあることを実感しました。一例をあげると、イギリス全体で小児進行がんの在宅死亡率は80%近くに及びます。当然、いろんな人たちが力を併せて自宅での看とりを支えなければこのような数字を実現することはできません。

「代われるものなら代わってあげたい」家族のサポートも大切

また、小児緩和ケアは子どもだけでなく家族のサポートが大切なのは言を待ちません。子どもを看取るという経験は、およそ人間が経験しうる最も辛い出来事といっても過言ではないでしょう。このような状況におかれた親がしばしば口にするのは「代われるものなら代わってあげたい」という言葉です。この言葉には、自分の命よりも大切なものを失うことの無念さが表れています。イギリスでは、こうした困難のさなかにある家族(死別後も含めて)へのケアが多様かつ重層的に取り組まれていることにも驚かされました。

イギリスから帰国した当初、小児緩和ケアを始動するのは簡単ではありませんでしたが、おりしも緩和ケアが政策的な課題になったこともあり、小児医療においても少しずつ緩和ケアの大切さが理解されるようになってきました。第2期がん対策推進基本計画では、小児がん拠点病院に小児緩和ケアの実践が義務づけられたり、小児緩和ケアの研修会が国の事業として展開されるなど、この10年の間に小児緩和ケアも少しずつ前進してきたことを感じています。

しかし、今のところ、小児緩和ケアの実践は入院中の子どもへのサポートが中心に進められています。ただ、それだけでは生命を脅かす病気と共に生きる子どもたちとその家族の日々の暮らしは困難から解放され得ません。子どもは、家庭の中で暮らし、学び、遊びなど様々な経験、成長を得ることが大切ですが、病気の子どもは常に制限を余儀なくされます。親は介護に追われ、きょうだいはいろいろな我慢を強いられ、家族が安らげる時間も場所もありません。このように、まだまだ社会全体で支えていくべき課題がたくさんあることが分かります。

そんな中、大阪鶴見緑地公園内に「TSURUMIこどもホスピス(TCH)」がこの4月にオープンしました。わが国で初めてのフリー・スタンディングの小児専用ホスピス施設として、社会からの寄付による運営に挑戦していますが、今後の発展には多くの人たちの支えが不可欠です。

しかしながら、生命を脅かす病気と共に生きる子どもは今や極めてまれなこともあり、一般の人たちにとって身近な問題として考えるのは難しいのが現状だと思います。このような状況において、TCHをはじめ、生命を脅かす病気と共に生きる子どもたちとその家族のための様々な活動が、社会的な認知度(public awareness)を高め、必要な人材、場所(子どものホスピスなどを含めて)、そしてなにより財源を確保し、発展していくためには、社会としてどのようなことに取り組むことができるでしょうか? 皆さんと一緒に考えてみたいと思っています。

 

さて今日はまだまだ診療あります、頑張りましょうか・・・

在宅医療の記念日

この暑さ、昨日暖房消した患者さん心配です・・・・

 

こんにちは、今日は皆さん何の日か知っているでしょうか?そう6月22日は”らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日”です。(知っている人少ないですよね・・・自分も今朝医療ニュースぱらぱら見ているときに知りました。)厚生労働省のHPによると(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000047444.html 参照)「平成21年度から、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律の施行日である6月22日を「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」と定め、厚生労働省主催による追悼、慰霊及び名誉回復の行事を行うこととしております。」とのこと。患者さんやその家族にとっては国が誤りを認めた喜ばしい日だと思います。

ちなみに喜ばしいと言えば在宅医にとって喜ばしいことってなんでしょうか?人によっては色々あるんだと思いますが自分はやっぱり「他の先生以外の人にはみてほしくない」とか「看取ってもらうなら先生がいい」とかって言われるのが単純ですが一番うれしいですね。こういう関係をつくるため、またはこういう関係があるからこそ深夜や土日、真夏や真冬でも訪問頑張れるんですよね。

ちょびっと脱線しましたが、そこで自在宅医療に関する記念日って何かないか調べてみました・・・・がそんなのないんですねー。<今日は訪問看護さんの日!!>とか<全国の在宅医療に関わる医療者の記念日>とかってあっても淡々と診療するよりは面白いんじゃないでしょうか・・・・皆さんはどう考えますか?

ということで僭越ながら自分が勝手にローカルな記念日作ってもいいでしょうか?っていうことで札幌の在宅医療記念日は<6月29日>に決めちゃいます!!(ええ、もちろん在宅医療協議会の第一回総会の日です・・・・)札幌の在宅医や訪問看護師さん、これから毎年6月29日には何か記念の講演なりなんなりしていきましょう!!もちろん自分は出しゃばらず縁の下で支えますよー、ってことで誰か来年から企画お願いできませんか?

↓↓↓”お願いします”の図です・・・・

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さて本日の気になる医療ニュースですが以下に一つ、薬事日報です。

病院の薬剤師さんが地域で果たす役割についてどうしていくか考えたい、とのことですが答えはもう明らかではないかなと個人的には思っています。それは「他職種と同じフィールドにでて、そして働くこと」・・・具体的には在宅での総合的な薬剤管理や副作用判定を行い、24時間体制で訪問診療医や訪問看護師と一緒に患者さんのケアを行うことができれば、必ず他職種から必要とされるようになると思います。それが難しければ・・・在宅医療の現場では必要とされなくなるのではないでしょうか。皆さんはどう考えますか?

薬事日報より

【日病薬】地域包括ケア、病院薬剤師の役割検討‐同時改定のデータ収集も必要 http://www.yakuji.co.jp/entry51581.html

日本病院薬剤師会は18日、通常総会を開き、2月の臨時総会で次期会長候補者に選出されていた木平健治副会長を新会長に選任した。木平新会長は、総会終了後の会見で、地域医療への取り組みの重要性を強調。2025年をメドに構築される地域包括ケアシステムの中で、病院薬剤師としてどう活躍できるかについて、早急に検討したい考えを示した。また、「他団体との関係構築も進め、病院薬剤師の存在を訴えていきたい」とし、日本薬剤師会だけでなく、複数の病院関係団体などとも緊密に連携していく方向性も示した。

木平氏は、これからの病院薬剤師を考える上で、地域医療が重要なテーマになると指摘。キーワードとして、地域包括ケアシステムや地域包括ケア病棟、療養病棟などを挙げ、「この辺りで薬剤師がどう活躍できるかについて、川上純一副会長を中心に考えたい」とし、病院薬剤師が地域の中で「力を発揮でき、それに対する評価も得られるようなシステムを構築したい」との考えを示した。

 

ってあっという間に6月も終わりそうですね・・・