次世代への投資ー英国の場合

どこの国でもやはり世代間格差は大きな問題となっているようです。特に日本ではそうですが若年世代への投資、というか社会保障制度がかなり不満が強いのではないかと思います。実際自分も3人の子供を育ててみるときちんとした社会生活を夫婦がしっかりとしていくことはかなり難しいと感じてしまいます。皆さんはどう考えますか・

学生への援助はどうでしょうか。イギリスからの記事ですが(他の記事も面白いので皆さんみてみてください)他国の問題を知ることもとても興味深いですね。未来への投資はだれが負担するのか、その上で高齢者などへの社会保障をどうしていくのか、全員が納得するすべはないわけで、自分たちできちんと考えなければいけない時期にきていると思います。

 

 

木村正人のロンドンでつぶやいたろう

http://blog.livedoor.jp/tsubuyaitaro_2014/archives/1020413410.html より引用

英国の学生ローン回収不能 34年後に兆6500億円

総選挙の争点になる大学授業料

焦げ付き額がどんどん膨らんでいく学生ローンをどう扱うかが5月に行われる英国総選挙の大きな争点になってきた。

英国の大学授業料は一昔前までは税金で賄われ、すべて無償だった。

しかし、高等教育の拡充に伴い、新たな財源が必要になったため、ブレア労働党政権下の1998年に初めて有償化され、年間授業料は最大で1千ポンドに。

2006年に年間最大3千ポンドに、12年から9千ポンド(約164万5千円)に引き上げられた。英国の大学は3年間で卒業するので計2万7千ポンドが必要になる。

10年の総選挙で「大学授業料無償化」を唱えた自由民主党が政権入りしたとたん、手のひら返しで「授業料3倍に引き上げ」に応じたため、支持率急落の引き金になった。

世界金融危機で家計の実質収入は下がり、子供の大学授業料は大きな負担になっている。多くの場合、英国の子供世代は自分で学生ローンを組んで学費や生活費を支払っている。

急増する学生ローンの焦げ付き

しかし、学生ローンの焦げ付きが当初見積もりを大きく上回ることが確実になってきた。ローンの返還は、貸与学生の年収が2万1千ポンドを超えた時点で収入の9%が返済に充てられる。

コンサルタント会社の教育部門Redstartの試算によると――。

フルタイムの学生で年1万5千ポンド、3年間で4万5千ポンドを借りた場合、年収2万9千ポンドをもらえる卒業生は30年間にわたって計6万2272ポンドを返済することになる。政府見積もりは3万3346ポンドだ。

初任給が3万8千ポンドの場合は10万146ポンドを返済。政府見積もりは5万5千ポンド。実際は、学生の負担は政府の見積もりより2倍近く重くなっている。だから焦げ付きも雪だるま式に増える。

英民間企業・技術革新・技能省は今年、回収不能になった学生ローンを補填するため21億ポンド(約3800億円)を計上する。同省や予算責任局によると2010年に32%だった返済不能率は45%に上昇しているという。

若年失業率が16.7%と再び増え始め、収入の安定や昇給が昔ほど見込めなくなったことが背景にある。

予算責任局は現在の学生ローンのシステムでは2048年度までに回収不能の総額は年間200億ポンド(約3兆6500億円)、国内総生産(GDP)の0.25%に達すると警鐘を鳴らしている。

世代間の公平な負担とは

労働党が政権についた暁には、現在のキャメロン政権が引き上げた大学授業料を9千ポンドから6千ポンドに減らすという。年間10億~20億ポンドの財源が必要になるため、年金課税の減免率を引き下げるとみられている。

先進国はどこもカネがない。次世代の高等教育にはカネがかかるが、国際競争力に直結する重要な問題だ。

大学授業料を政府が面倒をみるのか、それとも家計が負担するのか、親が支払うのか、子供が学生ローンを組むのか――。世代間の負担の割合が総選挙の争点になるのは避けられない。

大学授業料を引き上げて学生ローンで賄うシステムを作ってはみたものの結局、焦げ付けば政府が税金で負担しなければならない。大学授業料を引き下げると、お年寄り世代の負担を増やすことになる。

結局、おじいちゃん、おばあちゃん世代、親世代、子供世代の誰が国の未来を負担するのかということだ。

高い日本の国公立大学授業料

経済協力開発機構(OECD)の「図表でみる教育2014年版」をみてみる。日本の国公立大学の授業料は韓国やチリと同じぐらい高い。しかし、学生支援制度はそれほど充実していない。

日本の国公立高等教育機関の年間学費は平均で5019ドルなのに、公的な貸付や奨学金、給与補助の恩恵を受けている学生は40%。

英国は年平均 1万70ドルを貸与する所得連動型ローンを含め、学生の 71%が高い学費と生活費を賄える学生支援制度の恩恵に預かっている。
OECDデータより筆者作成

上のグラフは大学授業料が縦軸、学生支援制度を受けている学生の割合を横軸にとったものである。

大学授業料が高い米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドでは学生支援制度の恩恵を受けている学生の割合が増えていることが一目瞭然だ。

国公立大学の年間平均授業料(2011年)は

(1)チリ 5885ドル

(2)米国 5402ドル

(3)韓国 5395ドル

(4)日本 5019ドル

(5)英国 4980ドル

(6)カナダ 4288ドル

文部科学省の調査では、2012年度に大学、短大、高等専門学校を中途退学した人の総数は全学生数の2.65%(07年度比 0.24 ポイント増)の7万9311 人。

中途退学者の原因は「経済的理由」が最も多く20.4%(同 6.4 ポイント増)の1万6181人。授業料滞納者数は学生数(中途退学者、休学者を除く)284万4608 人の0.4%(同)の1万1361人。

この結果を受けて、文科省は15年度予算で、大学等奨学金事業(無利子) 育英資金貸付金を676 億円から748 億円に増額。無利子奨学金については過去最大の新規貸与枠を含め1.9 万人を拡充した。

また、経済的理由によって授業料納付が困難になった学業優秀者らへの授業料減免枠を294 億円から307 億円に拡大した。

日本も、未来の国際競争力に直結する大学授業料をどの世代が負担すべきなのか、一から議論し直す時期が来ている。

(おわり)