公開日:2026年09月01日

「少し考えておいてください」——考える時間を先に渡すことの重要性【在宅医療の現場から】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今日は在宅医療の現場で今井がちょっとだけ意識してやっていること、でもあまり表に出てこないことを書いてみようと思いますよ。在宅飛び込んだばかりの医療者さんの参考になるのかなぁ。

「全部一気に話す」は、逆効果

在宅医療の現場では、患者さんやご家族に「これからどうなるか」「どんな医療を受けたいか」を話し合う場面が必ずあります。いわゆるACP(アドバンス・ケア・プランニング)、人生会議ってやつです。

でも今井がこれまでの経験から肌感覚で理解しているのは、一度に全部話してもうまくいかないよっていうことです。

「今後病状が悪化したとき、どうしたいです?」「最期はどこで迎えたいです?」「延命治療についてのお考えは?」——こういった重いテーマを初対面や初期の段階で一気に出しても、患者さんもご家族も頭が真っ白になってしまう可能性大・・・むしろ決めてもらうどころか、「もうそんな話をしないといけないのか」と不安を大きくさせてしまって、ご自身のマインドをうまく伝えられない、まとめられないことだってありますよね。

「小出し」が在宅医療のコツ

っていうことで今井がコツコツとやっているのは「タイミングをみて小出しに情報を渡す」というアプローチです。

最初の訪問では「過去のこと」と「今の状態」の把握についてが主。次回は「これから起こりうること」をきちんと伝え、その次の訪問で「前回話したことについて、何か考えましたか?」と聞いてみる・・・少し状態が変わったタイミングで「以前お話しした〇〇について、そろそろ少し具体的に考えてみませんか」と持ち出す。

一度の訪問で全部決めようとしないで、情報を少しずつ少しずつ渡しながら、患者さんとご家族が「自分たちのペースで」考えられる時間を作る。

これが在宅医療の現場での「ACPのある程度うまくいく今井なりのやり方」だと経験上考えていますよ(^^♪

なぜ「小出しでも早め」が大事なのか

ここが今日の一番伝えたいことです。小出しでいい。でも早めに出すことが大事なんじゃないでしょうか?

患者さんの状態が急に悪化したとき、救急車を呼ぶかどうか、入院するかどうか、心臓マッサージをするかどうか——起こりうることは千差万別ですが、それらをその場で初めて判断しなければならない状況になると、家族は極度のパニックの中で判断を迫られますよね。

「いつ何がはわからないけれど、医療上大事な選択をしなければいけない状況になることがある」「そのときどうするか」を、たとえ漠然とでも事前に話しておくだけで、いざというときの判断が全然違ってきます。

「前に先生がそういうことがあるって言ってたよね」「本人は入院はもういいって言ってたよね」——この一言が、家族を救うことがあります。(もちろん本人も、です)

「考える時間」を先に渡す

もうひとつ大事なことがあります。人は、突然「どうしますか?」と聞かれても答えられません。でも「こういうことが起きるかもしれません。急いで決めなくていいので、少し考えておいてください」と言われると、じわじわと考え始めます。皆さんもそうじゃないですか?(^^♪

在宅医療のいいところは、定期的に訪問しながら長い時間をかけて関わることができること。その時間を「考える余白」として使ってもらえるように働きかけることが、在宅医の大事な役割のひとつだと思っています。

「次に来たときでいいんで、少しだけ教えてくださいね」——この一言で、患者さんやご家族が家族会議を開くことがある。そういう小さなきっかけを作ることが、積み重なって「自分らしい最期」につながっていくんじゃないか。今井はそう考えています。

日常生活でも同じ??

上記については在宅医療だけの話じゃないと今井は思っています。

仕事でも、家庭でも——大事な決断が必要なとき、いきなり「どうする?」と迫るより「こういう状況になりそうだよ、少し考えておこう」と事前に情報と時間を渡しておく方が、はるかにいい答えが返ってくることが多い。

「考える時間」は「決断の質」を上げます。

小出しでいい。でも早めに。——これ、在宅医療の現場から学んだ、人生の知恵かもしれません(^^♪

と、今回は在宅医療を始めたばかりの医療者さん対象に今井の経験を書いてみました。上記はあくまで個人の意見・・・皆さんが違うやり方があるのならそれはそれでとってもいいと思いますよ。

さて今日は火曜日。病棟&訪問の1日です。コツコツと頑張っていきましょう。今日が皆さんにとって素敵な1日となりますように!!

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