公開日:2026年08月30日

「9月の給与が払えない」の衝撃~公立病院の病床整理と役割見直し、待ったなし~【日野市立病院「9月の給与払えない」財政難に連休も影響、市が支援へ】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

昨日ちょっと医療関係、病院運営に関しての気になるニュースが流れてきましたので皆さんにもシェアしたいと思います。

8月29日のヤフーニュースさんより

日野市立病院「9月の給与払えない」財政難に連休も影響、市が支援へ

東京都日野市の市立病院が資金繰りに窮し、医師・看護師・職員あわせて約700人分の給与が9月に払えなくなる恐れがある、とのこと・・・市が急きょ1億円を貸し付けることを決めたそうですが、今年度はこの1億円とは別にすでに10億円の支援方針も決まっているというから、事態はかなり深刻かなと。

昨年度もすでに市から10億円を借りていたそうで、今回が初めての危機ではないようですね。担当者の言葉を借りれば「半ば自転車操業」の状態が続いているとのことでした。

スタッフの給与は組織にとって何よりもまず最優先すべき項目・・・それすらこのレベルとはちょっと驚愕ですね。

まず、日野市立病院という病院についてざっくりと

日野市立病院は300床規模の総合病院で、地域医療支援病院として南多摩医療圏における急性期医療の中核を担っておられるよう・・・病院自身が公開している資料を確認すると(皆さんも確認してみてください。)、令和6年度の病床利用率は65.3%。前年度より3.4ポイント改善したとはいえ、コロナ禍前の80%近い水準には遠く及ばない状態が続いています。

近隣の総合病院との競合、そして人件費の上昇が財政難の主因として挙げられていますが、これはこの病院に限った話では全くありませんので、都市圏でのよくある公的病院の姿にだぶるのかなぁと今井は感じましたよ。

これは日野だけの話でしょうか??

総務省の集計では、令和6年度(2024年度)の全国の公立病院事業の経常収支は、過去最大となる約3952億円の赤字で、赤字病院の割合も過去最大の83.3%に達しているそうです。

しかも興味深いのは、500床以上の大規模な公立病院ほど赤字率が高く、92.2%にのぼるというデータもあることです。「大きい公的病院=安定していて今後も永続する」っていうイメージ、もう成り立たなくなっているのだと言うことは皆が理解しておくべきことでないでしょうか?

日野市立病院のニュースは、日野だけでなく全国の公的病院の問題の氷山の一角に過ぎない・・・・今井はそう感じていますが皆さんのご意見はいかがでしょうか??

~簡単に今井がこの記事読んで感じたことをまとめます〜

○ 公的病院の病床整理・機能整理は、もう避けて通れない段階にきている

地域医療構想の枠組みでは、都道府県ごとに必要病床数を推計し、急性期・回復期・慢性期のバランスを地域全体で整えていく方針が示されていますよね。ただ、現実には各病院(特に私的病院)がそれぞれの生き残りをかけて動き、地域全体としての医療の提供リソースの整合性が取れていないケースがほとんどではないでしょうか?1つの病院だけを見て「経営努力が足りない」と評するのは簡単ですが、本質的な問題は地域単位での機能分担の設計にあるはずです。この設計、うまくいくんでしょうか??

○ 公的病院の「役割」そのものを、地域ごとに見直す時期に来ています

上記を踏まえてですが、これまでの公立病院は「地域の砦」として、あらゆる機能を抱え込む前提で運営されてきた側面があります。が、人口動態も医療需要も地域ごとに大きく違う今、全国一律の「公立病院はこうあるべき」という前提そのものが、そろそろ通用しなくなってきているということは一人一人が理解しておくべきことなんじゃないでしょうか?まぁこれには公的病院だけでなく、慢性期、回復期、果ては在宅医療との役割分担までを、地域単位でもっと未来を見据えて具体的に描き直す必要があるんじゃないかなぁと。

○ 公的病院は、業務量と人員のバランスが構造的にアンバランスになりやすいです

これは今井が病院勤務医時代から感じていたことでもあるのですが、公的病院はどうしても「必要な機能はすべて揃える」という発想が先に立ちやすく、結果として業務量に対して効率のいい人員配置・業務設計ができていないケースが多い印象があります。民間病院であれば淘汰される非効率が、公的病院では「地域のため」という大義名分のもとに温存されてしまいやすい・・・・これは構造的な課題ですが、解決されるべき問題として認識しておくべきではないでしょうか?

さて最後ですがみなさんの地域の公立病院、経営状況はいかがでしょうか?(^^♪

「うちの地域は大丈夫!」と思っている方も、一度、病院の経営状況や病床利用率のデータを確認してみてください。意外な発見があるかもしれませんよ。

今井個人としては・・・在宅医療に携わる立場としても、公的病院の機能がどう再編されていくかは決して他人事ではありません。国の政策と地方自治体の方針、そして現場の空気感や情報を集めてトータルで先を見据えていきたいと思いま~す。

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