医療のルールが変わる日~2030年DXと、静かに始まる開業制限~【第130回社会保障審議会医療部会 資料より】
こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

先日、令和8年8月27日に開催された第130回社会保障審議会医療部会の資料に目を通していました。
正直、最近この手の医療系の資料を紹介するのはめんどくさいのでやっていなかったんですが、この資料に関しては取り上げてもいいかなと思えたのでシェアして話しますね(^^♪
確認してほしい資料はこれです↓
この資料、大きく分けると二つの話が入っていました。ひとつは「医療DXの進捗状況」、もうひとつは資料内に載っている医療法等改正法(令和7年法律第87号)の概要です。この二つ、テーマは全然違うようで、実は根っこは同じ「医療提供体制をこれからどう再設計するか」という話だったんですが、気が付いた方はいるでしょうか??(^^♪以下今井が感じたこと↓
一つ目:2030年、電子カルテが「当たり前」になる日
まず医療DXの話から。ざっくり言うと、こういうことです。
- 電子カルテ情報共有サービス、令和8年度冬に全国運用開始予定です。厚労大臣が「医療情報化推進方針」というのを作り、支払基金は「DX審査支払機構」に改組。2026年10月〜2030年3月が第1期。目標は、2028年度までに200床以上の病院で電子カルテ普及率100%、2030年末までに医療機関全体で約100%、歯科も2026年度中に標準仕様を策定して、医科歯科の情報共有に乗せていく方向とのこと。
つまり、
「電子カルテを入れるか入れないか」の話じゃなくて、「入れてない医療機関はもう想定されてない」
というフェーズに入った、ということです・・・・
正直な話をすると(ここだけの話ですが)、うちみたいにマルチな事業所&多職種と連携する必要がある医療をしている医療機関にとって、これは脅威というより「早く来てくれ」という感じです(^^♪
訪問看護指示書、診療情報提供書、患者サマリー・・・・こういうものが施設や入院前、入院後の病院をまたいで一元的に確認できる体制が構築されるようになれば、在宅の現場で一番消耗してる「情報が来ない、遅い、フォーマットがバラバラ」問題がかなり解消されます。
歯科の情報共有も2027〜2029年度にかけて動き出す予定なので、口腔ケアと全身管理を同時に見てる在宅の現場にとっては地味に大きい話です。
一方で、クラウドネイティブ型への移行・セキュリティ対策・標準仕様への準拠・・・・これ、システム更改のタイミングでベンダーとがっつり話をしないといけない(&価格交渉もしなきゃいけない)案件で、正直「うちの電子カルテ、いつ更改だっけ」とカレンダーを見る必要に駆られる先生も多数いるんじゃないでしょうか??
二つ目:無床診療所、もう自由に開業できません!!
医療者、というか若手の医師にとって身近で大きな話がこっちの方です。
資料に載っていた医療法等改正法の話、令和7年12月に公布されたこの改正法の中に、外来医師過多区域における無床診療所への規制強化が盛り込まれています。これ、地味な条文ですが・・・・実質的には「開業の自由」に国が手を突っ込み始めていますよね。
- 〇都道府県知事が「重点的に医師を確保すべき区域」を医療計画で指定できるようになる
- 〇外来医師過多区域での無床診療所の新規開設は、事前届出制+要請勧告の公表という形で対応強化
- 〇保険医療機関の指定期間の短縮も導入
- 〇保険医療機関の管理者になるには、保険医として一定年数の従事経験を持つことが要件化される
つまり、「都市部で開業したい」「勤務医からいきなり管理者として独立したい」という選択肢に、これまでなかったハードルが乗ってくるということです。
正直に言うと(ここは本音を書きます)、これは「地域偏在対策」という綺麗な言葉で語られていますが、現場の医師目線では
実質的な開業制限の始まり
だと捉えたほうがいいと思っています。
これまで「外来が飽和してる地域でも、開業する自由は個人にある」という前提でキャリアを描いていた先生方は、今後は「事前届出→行政からの要請・勧告→それが公表される」というプロセスを経ることになります。勧告が公表されるということは、事実上、開業のハードルが心理的にも制度的にも上がるということです。さらに「保険医としての従事経験年数」という管理者要件も加わるので、若手医師が勤務医から一足飛びに開業医になる、というルートは今後さらに狭くなる可能性があります。
さらに開業しても保険医療機関として指定されなくなる可能性も・・・否定はできないですよね。
二つの話をつなげて思うこと
DXの話と開業規制の話、別々のテーマに見えて、今井の中では一本の線でつながって見えました。
国は「つながる医療」を作ろうとしていて(電子カルテ・情報共有)、同時に「どこで誰が開業するか」もコントロールしようとしている(外来医師過多区域規制)。どちらも共通しているのは、これまで個々の医療機関・個人の医師の裁量に委ねられていた部分に、国がハブとして関与し始めているということです。
「点で進んできた医療を、国が線につなぎ、面にしていく」・・・・資料にはそう書いてありましたが、これは電子カルテだけの話じゃなく、医療提供体制そのものについても同じ方向性で進んでいるんだろうな、と感じました。
ということで資料のまとめです~
〇 「つながる」ことは「楽になる」こととイコールではない。移行期の負担は現場に乗ってくる
〇 「開業は自由」という前提も、もう過去のものになりつつある
〇 どちらの変化も、2030年前後を境に「気づいたら状況が変わっていた」にならないよう、今から準備すべき
たまにはこういう医療系の資料紹介するのも悪くないですね(^^♪いままで結構やっていたんですが、最近は個人の学びだけで紹介していませんでした。ちょっとずつこういう公的資料も皆さんに紹介しますので是非是非皆さんも各自が色々探して学んでみてくださいね。きっと公的資料から未来が予測出来るハズ!!
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