公開日:2026年08月29日

「連絡が取れる」ことと「決まる」ことの距離について【在宅医療と多職種連携から】

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

先日の夜、ある患者さんの容体変化の連絡が、立て続けに入ってきました。訪問看護師さんから1本、ご家族から1本、ケアマネさんから1本・・・・それぞれ言っていることは間違っていないんですが、微妙にニュアンスが違う(^^♪皆さんも経験ありますよね??

「様子を見ましょう」派、「早めに来てほしい」派、「本人の意向を確認してから」派、3者の意見がほぼ同時に立ち上がったような状態でした。

と今井は電話を片手にふと思いました。「在宅医療の現場で、ひと昔前と比べて関わる人が増えたよなぁ。確かに連絡は取りやすくなったはずなんだけど、何か物事や方針が決まるまでの時間はむしろ長くなっている気がするな・・・・」と。

情報共有のツールは増えた。電話、LINE、電子カルテのメモ機能、訪問看護指示書・・・・「連絡が取れる」という意味では、今井が開業した頃と比べものにならないくらい便利になっています。

けれど関わる人数が増えるということは、それだけ「意見の組み合わせ」も増えるということ。医師・訪問看護師・ご家族・ケアマネ、それぞれが独立して状況を判断し、それぞれの立場から見た「最善」を言葉にする。2人なら、たいてい早くまとまります。でも3人、4人、5人と増えていくと・・・正直全員の意見が揃う確率はむしろ下がっていく。皆さんも肌感覚、体感としてこれは正しいと思いませんか?

これ、在宅医療の多職種連携が抱える、地味だけど本質的な問題だと思うんですよね。「連絡できる人が増える」ことと、「早く適切に決まる」ことは、実は決してイコールではない。むしろ関わる人数が増えるほど、合意形成のコストは静かに、でも確実に膨らんでいく・・・

訪問看護師さんは現場で患者さんの状態を一番近くで見ています。ご家族は生活と気持ちの機微を一番知っています。ケアマネさんは制度とサービス全体を俯瞰しています。それぞれが正しい。でも、それぞれが正しいことと、全員が同じ結論にたどり着くことは、まったく別の話です。

在宅医は・・・患者さん家族をファーストに、他職種に対して等距離でそこにいます(^^♪

だからこそ、在宅医療のチームで大事なのは「全員に連絡すること」ではなく、「誰がイシューに対して最終判断をするか」「どの順番で情報を集約するか」をある程度想定して決めておくことなんだろうな、と改めて思いましたよ。

連絡手段を増やすだけでは、実は何も解決していない。むしろ増やせば増やすほど、決まるまでの時間が伸びていくという、ちょっと皮肉な構造があるんだと思います。

現実的に現場で「情報を共有できる」ことと「意思決定できる」ことは、似ているようで全く別の能力ですよね。多職種連携は、関わる人数が増えるほど、実は難易度が上がっていく・・・だからこそ、平時のうちに「誰が最終判断者か」を考えておくことが、緊急時の最大の備えになります。今井個人の経験から言えば在宅医がベストか?と聞かれると・・・医療的な判断もある程度含めてですが、常に身近でケアをしていた訪問看護師さんがベターではないかなと思いますが皆さんのご意見はいかがでしょうか?

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