公開日:2026年08月15日

退職×アルコールの問題

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です

最近外来で立て続けに気になる患者さんに出会いました。どちらも60代の男性、退職後にアルコールの量がかなり増えてしまったお二人です。お話をよく聞いてみると、「嗜む」というレベルはとうに超えていて、正直今井、内心ちょっとヒヤッとしました・・・・

退職後アルコール、なぜか「お決まりのコース」がある!!

これまで何人も同じパターンの患者さんを診てきましたが、たどる経過は驚くほど似ています。

長年勤め上げた仕事から解放される→生活リズムが崩れる→することがない→気づけば昼間からグラス片手に・・・→それが習慣になり、毎日飲むのが当たり前に。本人としては「ようやく自由な時間ができた、ちょっとくらいいいだろう」という軽い気持ちから始まっているケースがほとんどです。

これ、本人の自己管理の問題と言ってしまえばそれまでなんですが、今井、これだけ同じパターンの患者さんを繰り返し診ていると、単なる個人の意志の弱さでは片づけられない「退職後の社会問題」なんじゃないかと感じていますよ。

実際、高齢の方はアルコールの影響を受けやすい体になっているという事情もあります。年齢とともに体内の水分量が減るため、同じ量を飲んでも血中アルコール濃度が上がりやすい・・・つまり、若い頃と同じ感覚で飲んでいても、体への負担は確実に増しているんです。そこに「自由な時間の急増」と「生きがいの喪失感」が重なると、坂を転がるように依存へ向かってしまう。これは今井の外来だけでなく、全国のいろいろな報告でも指摘されている構造かなと。

気づいた時にはグダグダ・・・そして家族の愛想が尽きる

外来でも在宅でも、アルコール関連の患者さんを診る機会はそれなりにあります。そして残念ながら、最後は言っちゃ悪いですが、かなりグダグダになってしまって、ご家族にも愛想をつかされてしまう・・・というパターンをよく見ます。

これがまた厄介なのは、本人もご家族も、なかなか「アルコール依存症」だと認めたがらないことです。特に定年までしっかり勤め上げてきた社会的地位のある方ほど、「まさか自分が」というギャップが大きく、周囲も「単なる息抜き」「趣味みたいなもの」と見て見ぬふりをしてしまいがちです。今井の患者さんの中にも、糖尿病のコントロールが急に悪化して、よくよく聞いてみたら実は飲酒量がとんでもないことになっていた、というケースがありました。内科的な病気の陰に隠れてしまって、本人もご家族も気づくのが遅れることは珍しくありません。

今井が考える、なる前の対策3つ!!

グダグダになってからでは、正直かなり大変です。だからこそ「ならないようにする」のが一番の対策だと今井は考えています。

日中に何らかの「仕事」を続ける  完全にリタイアするのではなく、ボランティアでも町内会の役でも家庭菜園でも構いません。「昼間にやることがある」状態を意図的に作っておくこと。

アルコール以外の飲み物を楽しめるようになっておく  コーヒー、紅茶、お茶・・・「間を持たせる飲み物」の選択肢をアルコール以外にも持っておくと、昼間にお酒に手が伸びる回数がぐっと減ります。

お酒を飲む場所を限定する  自宅では飲まない、外でだけ楽しむ、というルールを自分の中に作っておく。「家にいつでも酒がある」環境そのものが、実は一番のリスクだったりします。

理想を言えば、これは退職する「前」から準備しておくのが一番ですが・・・退職してから慌てて対策を立てるのではなく、現役のうちから「退職後の昼間、自分は何をして過ごすか」を具体的にイメージしておくこと。これが一番効果ありです。

皆さんの周囲にも、退職後のアルコール問題で苦しんでいる方、いらっしゃいますでしょうか。特に男性の患者さんには、今井、町医者として声を大にして「気をつけてくださいね」と言いたいです。自由な時間は、使い方次第で最高の贈り物にも、静かな落とし穴にもなりますから・・・・。

 

 

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