公開日:2026年08月06日

情報は「どこから来たか」を見極める~在宅医療の現場で正しい判断をするための方法とは~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

今日は在宅医療における「判断の質」や「判断のズレ」についてちょっとだけ今井の経験を書いてみようと思います。あくまで個人の経験なんで参考程度にしてくださいね。

「みんながそう言っている」の落とし穴

先日こんなことがありました。患者さんのご家族から「本人は大丈夫と言っているし、ヘルパーさんも看護師さんも特に問題ないと言っていました」という連絡が来ました。

「3人が大丈夫と言っているなら安心」——そう思いたくなりますよね。

でもちょっと心配だったんで今井が実際に往診してみると、状態が思ったより悪化していました&諸々対応をさせて頂きましたよ。

なぜこうなったんでしょうか??

情報の「源泉」を疑ってみる

よく話を聞いてみると、こういう経緯でした。

まずご家族が「本人が大丈夫と言っている」とヘルパーさんに話した。ヘルパーさんは「そうですか、じゃあ様子を見ましょう」と答えた。訪問看護師さんもご家族から同じ話を聞いて、「ご家族もそうおっしゃっているし」という形で判断した。

3人の情報に見えて、実は全員が同じ源泉——「家族の言葉」——から影響を受けていました。

これって同じリソースの情報だけで皆が動いていて、「情報の独立性が低い」状態と今井は考えます。

独立性が低い情報を積み重ねると、確信がズレていく

情報が増えると、人は自然に「これだけ情報があるから大丈夫」と感じます。さらにそれが同じだともっと大丈夫だと感じます(^^♪

でも実際は独立していない情報をいくら積み重ねても、実際の確信度・・・今回のようにそれほど上がりません。むしろ怖いのは、「情報がたくさんある」という感覚が過信を生み出すこと。

3人が「大丈夫」と言っているから安心——でもその3人が同じ1つの情報源から影響を受けていたとしたら、それは本質的には「1人が大丈夫と言っている」のと変わらないと思いませんか??

・・・・在宅医療の現場で、今井が何度か経験してきた「なぜ知らない間にこうなっちゃったん??」の正体は、ここにあることが多いかなと。

具体的によくあるパターン

パターン①:家族の楽観が連鎖する

「本人が大丈夫と言っている」という家族の言葉が、ヘルパー・看護師・ケアマネへと伝わっていく。全員が「家族がそう言っているなら」と安心する。でも本人が「大丈夫」と言うのは、心配をかけたくないからかもしれない。

パターン②:担当者会議での情報の均一化

担当者会議で「最近は落ち着いています」という話が出る。全員がその場でその情報を共有する。次の訪問でそれぞれが「先日の会議でも落ち着いているという話だったし」というフィルターをかけて患者さんを見てしまう。

パターン③:前回の記録への過度な依存

前回の訪問記録に「問題なし」と書いてあると、今回の訪問でも無意識に「前回問題なかったから今回も」という先入観が入る。

皆さんも経験ありませんか??(^^♪

では独立性の高い情報とはどういうものか

独立性が高い情報とは、互いに影響し合っていない別々の視点から得られた情報です。

〇 医師が直接診察して得た所見

〇 ヘルパーが毎日の生活介助の中で「なんか違う」と感じたこと

〇 訪問看護師が医療的な視点で測定・観察した変化

〇 患者さん本人が誰にも気を遣わずに話した言葉

これらがそれぞれ独立して「おかしい」「変だ」と感じたとき、初めて「本当に何かが起きている」という強い根拠になります。逆に全員が同じ源泉から情報を得ていた場合は、「みんなが言っている」という数の多さに惑わされないことが大事です。

「みんな大丈夫と言っている」は要注意サイン

っていうことで、在宅医療の現場で今井が経験上感じていることは「全員が大丈夫と言っているときこそ、一度立ち止まって確認した方がいい」っていうことです。

全員の情報の源泉が同じになっていないか。誰かの楽観が連鎖していないか。本人が遠慮して「大丈夫」と言っていないか。

独立した視点から「大丈夫」が言えているときは本当に安心できる。でもひとつの情報が伝言ゲームのように広がっているだけなら、それは安心の根拠にならない。情報の独立性まで確認する。そうしないと正しい判断はできないと思っていますよ。

在宅医療はチームで動く医療・・・情報を共有することは大事。でも情報を共有するとき、「これはどこから来た情報か」を意識することが、判断のズレを防ぐ一番の方法だと今井は思っています(^^♪

皆さんは判断の質の向上のため、またずれを防止するための方策、何かとられているでしょうか?情報の独立性、意識されていますか??

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