公開日:2026年01月22日

なぜ「あの人」が辞めると現場の質は落ちるのか?~個人の力を組織の資産に変えるために必要なこと~

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

とある施設での診療でのこと、それまでめちゃくちゃ頑張ってくれていた管理者の方が惜しまれながらも退任されました。その後内部の統制大丈夫かなと心配していたのですが・・・やっぱりほどなくしてケアの質の低下が顕著になっていきました。似たような経験、皆さんもありませんか??

エース級の看護師さんや利用者さんから絶大な信頼を得ていたヘルパーさんが退職してしまい、現場がガタガタになってしまった、「あの人がいないと回らない」「あの人じゃないと利用者さんが納得しない」・・・

正直に言えば、これは在宅医療の現場でもよくある話です。 なぜ、個人の退職がこれほどまでにその機関のサービスの「質の低下」に直結してしまうのでしょうか?そして(当法人も含めてですが)それをどう乗り越えればいいのでしょうか?

今日はその本質についてちょっとだけ考えてみたいと思います。

在宅医療・介護の質は「暗黙知」の塊である

病院のオペ室や検査室であれば、ある程度マニュアル化された技術があれば質は担保されるかもしれません。しかし、私たちが主戦場とする「生活の場」では、そうはいきません。

ベテランスタッフが持っている「質」の正体。それは教科書には載っていない「暗黙知(あんもくち)」です。

  • 「Aさんの家は、チャイムを鳴らす前に一呼吸置いたほうがいい」

  • 「Bさんの採血は、実は左腕のこの角度が一番痛くない」

  • 「ご家族のあの表情は、不安を感じているサインだ」

これらはデータとしてカルテに書き残しにくい、しかしケアの核心を突く情報ですよね。 スタッフが辞めるということは、単なる労働力が減るのではなく、この「膨大な文脈(コンテキスト)」が組織からゴッソリ抜け落ちることを意味します。だから、残されたスタッフはゼロから信頼関係を築き直さねばならず、利用者さんにとっては「質が落ちた」と感じられてしまうのかなと今井は考えていますよ。

ならば「属人化」を「組織の力」に変えるには?

こういう状況に対し自分たちは指をくわえて見ているしかないのでしょうか(^^♪? 答えはNO!、絶対に違いますよね。個人の素晴らしいスキルや経験、組織全体の財産として還元する方法を絶対に模索すべきだなと。

そのためのポイントをいくつか挙げてみます。

1.「背中で覚えろ」の禁止、徹底的な言語化

「なんとなく」で済ませないこと。カンファレンスや申し送りで、「なぜその判断をしたのか?」というプロセスを徹底的に言葉にすることは大事かなと思っていますよ。 「勘です」を許さず、「過去にこういう経過があったから、今のうちに介入しました」と思考を言語化してもらう。そうすることで個人の勘がチーム全員の「論理(ロジック)」に変わるかなと。

2.ICTツールを「集合知」の場にする

当院でもチャットツールを使っていますが、これは単なる連絡網ではありません。 日々の些細な「気づき」や「うまくいった対応」をリアルタイムでログに残す・・それが積み重なれば、誰か一人が辞めても、検索すればそこに「正解へのヒント」が残っている状態を作ることが可能かなと。

3.チーム制で「多面的な視点」を持つ

特定の患者さんを一人で抱え込まないこと。「私の担当」ではなく「チームの担当」にする。 複数人で関わることで、自然と手技やコミュニケーションの引き出しが共有されます。ペアで動く、ローテーションを組む。これはリスク管理であると同時に、最強のOJT(教育)の場でもありますよね(^^♪

最後に

個人のスキルが高いことは何よりも素晴らしいことです。何よりも強い個の育成は組織として大事なテーマです。しかし同時に、組織として目指すべきは「誰が対応しても、一定以上の高い質が担保されること」です。矛盾していますが両者ともにとっても大事かなと今井は考えています。

一人のスーパースターに頼る組織は脆い。 けれどそのスーパースターのノウハウを吸収し進化し続ける組織は絶対に強い。

「人が辞める」というピンチは、その人の持っていた暗黙知を掘り起こし、組織全体にインストールする最大のチャンスでもありますよね。

正直当法人もまだまだ道半ばです(^^♪。 個人の想いや技術をどうやって組織という器に満たしていくか・・・・これからも試行錯誤しながらより良い在宅医療の形を追求していきたいと考えていますよ。

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