公開日:2026年01月17日

【在宅医療の現場から】「自己責任」という言葉が虚しく響く場所——在宅医療における情報の非対称性について

こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です

最近よく「自己責任」って言葉聞きませんか?投資は自己責任、って言葉もそうかもしれませんが、何かと個人の責任がクローズアップされる時代かなって今井は感じています。

 

翻って在宅医療の現場のことを考えると、皆さん普通の人がまず一番最初に困るのが医師や訪問看護師の選択だと思います。ここで

「病院選びも、医師選びも、最終的には患者と家族の『自己責任』である」

って本当に言えるでしょうか??

ここから先は今井の個人的な見解ですが、在宅医療の現場ではこの「自己責任論」が決定的に通用しない、あるいは通用させてはならないのではないかなと思っていますよ。以下その理由列挙↓

選択という名の「賭け」

病院から「これ以上の入院治療は難しい」と告げられ在宅療養への移行を迫られるとき、患者さんとそのご家族に残された時間は驚くほど短いですよね。

ケアマネさんから渡された数枚のパンフレット、あるいは病院の地域連携室が提示した医療機関のリストの中から、これからの命を預ける訪問診療医や訪問看護ステーションを選ばなくてはなりません。

ここで最初にして最大の問題が立ちはだかります。それは「情報の非対称性」です(^^♪

医療提供者(医師・看護師)と、医療消費者(患者・家族)の間には、埋めようのない知識と経験の差があります。どのクリニックが医療に対して誠実で、どのステーションが緊急時に本当に頼りになるのか。

パンフレットに踊る「24時間対応」「看取り実績多数」という美辞麗句の裏側にある実態を、在宅医療に素人である家族が見抜くことは不可能に近いのが現実ではないでしょうか?。

っていうか医療者でも在宅医療機関の個別の事業所評価は知らない人多いと思います。

飲食店であれば口コミサイトがあり、家電であればレビュー動画がある・・・けれど構造的にも業界的にも在宅医療の評判は表に出にくいです。

それは家庭という「密室」で行われる営みであり、比較対象を持たない患者さんやご家族にとっては、目の前の医師が標準的なのかそれとも怠慢なのか、判断する物差しが存在しないからです。

密室で強いられる不条理な決定

病院であれば、主治医の方針に疑問があれば看護師や他のスタッフ、あるいは同室の患者を通じて「違和感」を察知する機会があるのかもしれません。多くの「目」が存在しやすいです。

しかし在宅医療はちょっと違いますよね。 訪問診療の医師が「この痛みは我慢するしかないですね」と言えば、それが真実となるのかも・・・また訪問看護師さんが「旦那さんのこれくらいの処置、家族でやってくださいな」と言えば、老老介護の限界を迎えている妻が震える手で処置せざるを得なくなる??

そこには”選択”をする余裕はありません・・・諸々の面倒な調整、移動するなら移動手段の確保、診てもらう新たな医師への病状説明、そして何より「今の先生の機嫌を損ねたら、来てくれなくなるかもしれない」という恐怖・・・こういうのって患者さんやご家族を現状に縛り付けるものだと思いませんか??

結果として適切な医療や緩和ケアが行われないまま苦しむ患者さんを前に、家族は

「あの時、別の先生を選んでいれば・・・」

と自分を責めることもあり得ます。だけれども、その選択の時点で患者さん家族には正解を選ぶための武器(情報)が与えられていなかったのではないでしょうか?

いずれにせよこの状況下で、「納得して選んだのだから自己責任」と言うのは、あまりにも酷かなと今井は感じています。それって目隠しをされた人間に迷路を歩かせ、壁にぶつかったら「歩き方が悪い」って厳しく叱責するようなものと何ら変わらないですよね。

在宅医療の現場でもっと患者さんやご家族が自己決定できるようになるためには何が必要でしょうか?先日入所しているご家族の施設で、適当な在宅医にあたって苦しんでいるご家族からの訴えを外来で聞きながら、上記のようなことを取り留めもなく考えていましたよ。変な施設や在宅医を選んだ患者さん家族の責任?いや、そもそも情報がないっていう構造的な問題だよな、と・・・・

思うがままに書き連ねてみましたが、上記のようなことに対して皆さんのご意見はいかがでしょうか?自分が逆の立場になったのなら、こういう事態は避けたいと思いますよね。そう思いませんか??

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