【病院から在宅へ】退院調整について今考えていること~バイリンガルになろう!~
こんにちは、札幌のかかりつけ医&病棟医&在宅医@今井です
在宅医療の現場に出ていると、退院調整の病院とのカンファレンスで「どうして話が通じないんだろう?」とモヤモヤすること、ままありませんか?
病院の担当医やMSW(医療ソーシャルワーカー)は、眉間にシワを寄せてこう言います。
「家でまた転倒したらどうするんですか?」
「誤嚥のリスクがあるのに、経口摂取なんて無茶です」
「今のADLでは、在宅復帰は『危険』です」
・・・言っていることは十分理解できます。
ただ一方で、我々在宅側の医師や看護師、ケアマネジャーはこう思います。 「いやいや、何よりも本人が帰りたいって言ってるんだから」 「病院でも100%の安全も担保できないし、自宅でも100%危険ってわけではないと思いますよ。」
この平行線、何度経験してもちょっとだけ疲れますよね(^^♪(決して病院側を非難している訳ではないのであしからず・・・誤解しないでくださいね。)
でも、最近ふと思うんです。これはどちらかが間違っているわけではない。 「病院の正義」と「在宅の正義」が違うだけ。 もっと言えば、私たちが話している「言語」がそもそも違うのだ、と。皆さんもそう思いませんか?
病院語の基本文法は「安全と管理」
まず、病院という場所の機能を考えてみてください。 あそこは「病気を治す場所」であり「命を守る場所」です!
病院の医師にとっての最大の悪(失敗)は、患者の状態が悪化すること。 管理下にある患者が転倒骨折したり、誤嚥性肺炎を起こしたりすることは、病院や医療者側の「能力不足」「管理不足」とみなされるリスクがあります。だから、彼らの話す言語(病院語)の文法はこうなります。
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「安全か、危険か」
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「医学的に正しいか、正しくないか」
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「管理できるか、できないか」
この文法で話している人に向かって、「本人の自分らしさが~」とか「最期の希望が~」という情緒的な言葉を投げかけても、それは翻訳されません。「リスク管理ができない感情論」として処理されておしまいです(^^♪これ経験している在宅医療者、多いかなって思います。
在宅語の基本文法は「自由と生活」
一方で、私たちが主戦場とする在宅(自宅)はどうでしょうか??そこは「生活する場所」であり、また「人生を全うする場所」でもあります。
在宅医療において、多少のリスクは「生活の一部」です。 多少ふらついても自分の足でトイレに行きたいし、たまにムセても好きな物を食べたい。 医学的な正しさよりも、その人らしい時間の使い方が優先される世界です。私たち在宅医療者の言語(在宅語)の文法はこうです。
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「幸せか、不幸せか」
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「本人が望むか、望まないか」
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「納得できるか、できないか」
バイリンガルにならないと、コミュニケーションとれないし患者は帰れない
退院調整で揉める最大の原因は、お互いが自分の「母国語」だけで喋り続けているからです(^^♪病院側が「危険だ(病院語)」と言っているのに、在宅側が「可哀想だ(在宅語)」と返しても、議論は噛み合いません。
ここで大事なことは、我々在宅医療者が「バイリンガル」になることじゃないかなと今井は考えていますよ。
病院側が「誤嚥のリスクがある(から帰せない)」と言ってきたら、「本人の希望です」と返すのではなく、病院語に翻訳してこう返すべきです。 「誤嚥のリスクについては、吸引器の設置と訪問看護の頻回訪問、家族への指導で医学的リスクを最小限にコントロール可能です。万が一肺炎になった場合の対応も、家族と事前に合意形成をして対応しますよ!」
ここまで言って初めて、病院側は「ああ、それなら管理(安全)の担保ができるな」と納得し、退院のハンコを押せるのです。
「正義の反対は、別の正義」
退院調整の現場でうまくコミュニケーションとれなくてイライラしたとき、ちょっとだけ上記も思い出してください。そして目の前の病院スタッフは意地悪をしているわけではない、彼らは彼らの「正義(安全管理)」を全うしようと必死なだけなんだよ、と。
ただ、その正義が行き過ぎると患者さんの「人生」を奪ってしまうことがある。 だからこそ在宅医療者が間に入り、「病院の論理」を「生活の論理」へと着地させる翻訳機にならなければいけないんじゃないでしょうか?
「あそこの病院はわからず屋だ」「在宅に理解がない!」って愚痴る前に、こちらのコミュニケーション方法、語彙力を磨く。 それが、これからの在宅医療のプロフェッショナルに求められることかなって最近の退院調整をみて考えていますよ。
皆さんはバイリンガルでコミュニケーション、できていますか?、現場で「違う言語」を感じることはありませんか?(^^♪
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