公開日:2024年11月21日

日本病院会が主張する医師偏在対策について確認しておきましょう。

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医&病棟医@今井です。

 

11月19日に日本病院会が医師偏在対策について提言を上げてくれました。一読する価値のある文章だと思いますので一緒に確認してみたいと思います。以下興味ある方はどうぞ↓(今井が気になった部分は赤文字にしています。)

「医師偏在対策」等についての提言

1. 「医師少数地域で働くための要件とインセンティブ」について

1)医師全ての年代を対象

○医師全ての年代を通して、医師少数地域で働くことについて、「医師と しても人としても楽しいこと、良いことがある」と感じられる方策を考 えることが大切ではないか。

○これまでの制度の中で改善策を考えるのは難しいため、発想を変えて、 医師少数地域で働く医師に対しては税制優遇を行う等の対策が必要で はないか。

2)高年層を対象

○いわゆるメスを置いた医師等のベテラン医師が、キャリアチェンジに伴 い、ふるさと U ターンのような形で円滑に医師少数地域において働け るような仕組みがあると良いのではないか。その場合、働き方も多様に 設定し、一週間働くこともできれば長期に働くこともできる、また、勤務時間もフルタイムもあればパート的な働き方もあるといった選択が できる仕組みを構築するとともに、複数の医師で対応できるように工夫 し、マッチングする協議体等の存在が重要ではないか。

3)若年、中年層を対象

○医師少数地域で働くことが地域医療支援病院の管理者要件になってお り、その対象病院の範囲拡大の案が謳われているが、管理者要件よりも 専門医資格の更新におけるインセンティブにした方が効果はあるので はないか。

○特に若者はワークライフバランスを重要視するため、そこにインセン ティブを付与する対策が必要ではないか。 日本臨床外科学会による 2020 年度実施の若手外科医へのアンケート 調査結果によれば、多くは家族のための時間を確保したいと考えており、 具体的には、一週間程度の連続休暇、子供の入学式・卒業式、出産の立 ち合い等、こうした具体的なことに、職場の雰囲気から申請できないと いったことのないように、普通に対応できるようにすべきではないか。 その際は、不在となった医師の業務を相互補完できる対策も同時に行 う必要がある。

2. 「開業等の規制、営利・非営利の問題」について

○多くの若手医師が美容外科に流れ、病院の医師不足の要因になっている ことが大きな問題で、営利主体の自由診療を規制すべきではないか。

○美容外科については、2 年間の臨床研修修了後にそのまま自由診療の美 容医療の分野に進む、いわゆる「直美」が増えている。医師養成には国 費が投資されており、国民の医療を守ることが前提となっていることを 踏まえれば、一定期間、保険診療に従事させる等、何らかの規制、対策 が必要ではないか。

○医療法第 7 条第 7 項では、病院、診療所および助産所について、提供す る医療の非営利性を求めているが、営利を求めていると思われる美容外 科は医療法に抵触しないのか。

○医療・介護における営利、非営利の問題について、抜本的な法改正を含 めた見直しが必要ではないか。

3. 「教育」について

1)高年層を対象

○いわゆるメスを置いた医師等のベテラン医師が、キャリアチェンジに伴い、医師少数地域で最も求められる総合診療能力・技術を得られるリカ レント教育の体制整備が必要で、そうした医師が「かかりつけ医機能」 の一翼を担えるようにすることが重要ではないか。総合診療に関する 「専門医」を育成することは現状、必ずしも順調に進んでいるとは言え ないことを踏まえ、専門医育成とは異なる方法にも目を向けるべきであ り、その観点から、医師の「キャリアアップ」の一環として育成してい くことが肝要ではないか。

2)中年後期の層を対象

○リカレント教育について「中堅以降医師への推進」が示されているが、 中堅医師は最も忙しいため、中堅を含まない、もう少しベテランになっ た医師を対象とする方が良いのではないか。

3)若年層を対象

○医師少数地域で働くことの意識を涵養するには、養成課程に入る前の 教育も必要ではないか。

4. 「データ」について

○対策を検討するためには、地域別、診療科別の必要医師数を示す必要が あるのではないか。

○現在の「医師偏在指標」は対象地域に勤務する医師の肌感覚と乖離があ る。よって、「多い・少ないについての考え方」、「多数区域と少数区域 を把握する範囲」および「算定方法」の見直しが必要ではないか。

5. 「インフラとしての医師」について

○風潮として、国は医師を重要なインフラとして考えていないのではな いか。前提として、医師を国の資産、人財として捉えたうえで検討を開 始しないと本質的な改善に繋がらないのではないか。

6. 「診療報酬」について

○医師少数地域で最も求められる総合医による診療を主軸に病院の運営 を行っても、診療報酬で適切な収入が得られない仕組みになっている。 「診療報酬」と「望まれる体制」が結びついていないため、その是正が 必要ではないか。

7. 「関係機関の連携について」について

○厚生労働省の資料によれば、医師少数地域等で勤務する理由の上位に 「大学医局の人事異動」と、都道府県が主体に行う奨学金貸与について 「一定期間、地域で勤務することを要件とした奨学金貸与の義務履行」とされている。このことから、大学と都道府県が連携できれば、医師少 数地域で働く医師が増えるのではないか

8. 全体を通じて

○医師を強制的に医師少数地域で働かせる方策を講じるよりも、複数の対 策を組み合せて対応しなければ効果があがらないのではないか。

○地域医療を守る病院の体制を築くためには、医師に限らず、看護師、薬 剤師等の流出等も併せて対策を講ずる必要があるのではないか。 以上

 

いくつかキーワードが出てきていますが、正直これから医師になる人にとっては僻地勤務と専門医資格が紐づけられるなんてたまったもんじゃないですよね。職業人としてのスキルアップの機会を奪われることになりますから・・・専門医の質の保証、本当にこのシステムでできると思っているんでしょうか?

直美の問題や医療と介護の営利企業の問題など真っ当な主張はあるものの、まぁ全体的には既存の病院が困らないような主張、という風に今井には感じられましたよ。医療システムだけでなく”これからの医師”のことを考えるのならもう少し違った提案があるのではないかなぁ、なーんて思いましたがどうなんでしょうね。

 

皆さんは一読してこの提案にどう感じ、何を考えましたか?よければ教えてくださいね!

 

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