公開日：2021年12月14日

【２０２１年】札幌の在宅医療、在宅緩和ケアの現状についての雑感

こんにちは、札幌のかかりつけ医＆在宅医＠今井です。

２０２１年も残りあとわずかになってきましたね。この１年の当法人の活動を振り返ると、さっぽろみなみホームケアクリニック付属のなないろ訪問看護ステーションの立ち上げ、ホスピス機能をもつHARELU宮の森の開設と運営開始が一番の事業上のポイントだったかなと思います。さらに来年に新規事業ができるかどうか・・・現在少しばかり準備をしているところです。

当法人はアクティブに変わらず行動していますが、一方札幌市の在宅医療、在宅緩和ケアの現状はどうなのでしょうか？自分の雑感を少しだけまとめて書いてみたいと思いますよ。

在宅医が緩やかに増加中

これは最近のトレンドですが、やはり市内でも在宅医として開業する先生が増えてきた印象です。在宅医の先生のところで数年勉強→その後開業、という流れができてきましたね。

札幌市民にとっては選択肢が増えることはいいことだとは思いますが、一人在宅医の先生では２４時間３６５日の診療、重症度の高い患者さんの診療を継続することはなかなか難しいですね。

今後開業した先生が複数医師体制、多職種による在宅医療チームを基にした在宅医療クリニックを作っていけるのか、個人的にはとても興味がありますよ。

訪問看護ステーションがさらに増加。質は・・・

訪問看護ステーションが雨後の筍の如く札幌で増加中です。ステーションが増えること=札幌市民にとっていいこと、とは訪問看護ステーションに関しては単純にそうは言えないかなと思っています。

ステーションで一番重要なことは訪問看護の看護方針がしっかりしていること、訪問看護師さんの質がきちんとしていることなのかなと思っていますが、個人的な感想としては新設訪問看護ステーションさんはどうしても少し見劣りがするのかなと感じています。（きちんとしている新設ステーションさんももちろんあります。あくまで一般論ですので）

今後新設した訪問看護ステーションさんがどこまで熱意をもってきちんと継続していけるのか、２０２２年～２５年にかけてある程度統廃合が進むのかは注視しています。

とはいえ結論としては２０２１年はさらに訪問看護ステーションさんが増えたかな、と思えた１年でしたよ。

在宅医療へ移行する患者さんが増加している

多分これはどの在宅医療機関も感じているとは思いますが、きちんと診療している在宅医療の医療機関においては既にフォローしきれないほどの患者さんの新規依頼が来ているのが現状です。

前述の如く在宅医も訪問看護ステーションさんも増えてはいますが、それを上回る勢いで在宅医療のニーズが増えていると感じています。

コロナ禍などの社会的影響か、もしくは札幌という土地柄の問題か、はたまた単純に高齢化の影響か・・・いずれにせよこのトレンドは２０２２年以降も継続すると思われます。

ホスピス型住宅が増えつつある。

これは当院のHARELU宮の森もそうですが、医療度の高い患者さんを受ける住宅が増えつつあります。

特に神経難病に特化した住宅やがん終末期に特化した住宅など、特定の領域に特化した特色をもつ住宅が札幌市内でもちらほら見受けられるようになってきました。（個人的にはそれらの住宅って、結局患者さんをきちんとみたいという理由ではなく、医療保険の訪問看護を活用する営利追求型の住宅なので全く好きではありません）

いいか悪いかは別として選択肢が増えてきつつある、それが２０２１年の現状かなと思います。