公開日:2021年12月08日

超高齢化社会に対応するためにはこれからどうすべきか?

こんにちは、札幌のかかりつけ医&在宅医@今井です。

 

高齢化社会における社会保障制度が中期スパンでどのように変わっていくのか資料を色々読んで考えていましたが、ちょうどいい資料を見つけましたのでご紹介します。

キャノングローバル戦略研究所さんからのものです。

超高齢化研究会提言

HPのポイントがよくまとまっていましたので一読してみてください。いまいが気になったところは赤文字にしておきます。

<ポイント>

1.医療・介護や生活・経済基盤への不安から、長生きが本人にとって苦痛となり、家族にとって迷惑となりかねない状況が現実化している。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降の超高齢化時代は、医療・介護ニーズも急増し、事態が一層悪化しかねない。分野横断的かつ官民一体となった抜本的改革が急務。

2.1948年から2001年まで設置された社会保障制度審議会を参考とし、常設の恒久的組織として、個別省庁を超えた勧告権や調査機能など強い権限を持ち、負担の増大や給付の抑制にまで踏み込み、社会保障を含め、働き方や民間サービス、生活行動基盤など、超高齢化時代に対応した幅広いシステム作りを担う検討母体を設立すべき。ここで抜本的な改革に向けた大所高所の視点からの中長期的な検討を行い、国民に選択肢とその影響を示すべき。一方、差し迫る超高齢化時代に対応するための短中期の課題については速やかに改革を実行すべき。

3.新たな検討母体で取り組むべき中長期的な課題

(1)デジタル時代に対応した介護サービスのアーキテクチャーの再設計

①DX、規制改革、人材育成・確保を徹底。人員配置基準等の規制を緩和し、DXを活用して生産性を向上させることにより、介護人材の処遇も改善。
②事故を避けるために自由度を奪う発想から自立機能の維持強化に転換。
③ユーザー自らによる選択が行いうるようDXを最大限活用。
④介護人材の教育・資格を見直し、専門性を高め、地位と待遇を向上。

(2)超高齢化時代に最適化されたプライマリケア体制の構築

①科目別専門・急性期疾病のキュア・入院に偏ってきた医療から、総合診療・ケア・在宅医療に重点を置いた医療に転換。
②縦割りではなく、予防、医療、介護、福祉などについて、データ共有やICTを活用しながらシームレスに対応するシステムに転換。
③診療者や個別事業者が個別バラバラに事業展開する現状から、診療所・事業者連携によるチーム化による質の向上、面的集中による効率化に転換。

(3)自立を促進し、孤立を回避して行くための福祉の仕組みの転換

①「社会的処方」という発想を導入し、多職種連携により、孤立を回避。
②生活保護に関する医療については自己負担も含め一般医療への統合を検討。

(4)意思決定能力や身体能力が低下した高齢者向け民間サービスの創出

①スマホなどを利用した民間サービスの創出を支援、規制緩和も実行。
②高齢者の取引を守る市場ルールも整備。

(5)70歳まで、働き、社会参加ができる社会の追求

①雇用機会確保のため、リカレント教育、副業・兼業、資格・評価制度、マッチング機能などを充実。就業が不利とならない年金制度を構築。
②生産性に応じた柔軟な報酬設定を可能とする高齢者向け最低賃金制度を創設。

(6)雇用システムの変容を踏まえた社会保障制度の再設計

非正規雇用者を社会保障制度に包含、専業主婦も社会保障制度の担い手として位置づけ。

(7)医療介護福祉に関わる基礎自治体の政策立案・遂行能力の抜本的強化

(8)デジタルデータを利活用した行政施策・制度の評価(PDCA)の仕組みを導入

4.短中期的な改革アジェンダ

(1)介護サービス事業所情報(要介護度の維持・改善等)の「見える化」

(2)増大し多様化するユーザーニーズへの対応のための介護人材確保

①規制緩和とDXによる生産性向上を通じた処遇改善
②専門性のある資格の確立と処遇改善による地位向上

(3)超高齢化時代に対応した金融サービス等の提供

①認知機能の低下に対応した指定代理人の積極的活用
②公的支援による政策誘導を通じたリバースモーゲージの魅力向上と周知徹底
③不健康に長生きするリスクへの保険機能の強化
④買い物や外出サポートなどの付加的サービスの介護事業者等による提供・紹介

(4)終末期医療・ケアの意思についての定期的確認の仕組みの普及

①ACP(アドバンス・ケア・プランニング)をアシストする医療機関、介護事業者に対して報酬面で評価。
②介護保険認定・更新時におけるAD(事前指示)の仕組み化

(5)複数医師・多職種連携による在宅医療・介護の推進

①医師以外の医療専門職・介護人材が実施できる行為の範囲を拡大。専門性の高い看護師の育成と資格化を推進。
②「かかりつけ医」の質向上・役割強化と名称の統一化

(6)規制緩和による生活支援手段の拡充

①デイサービス等の保有車両の地域内高齢者移動手段としての有効活用
②条件付き自家用車による高齢者向け有償運送の許容
③ラストワンマイルサービス(郵便・新聞・食料品等)の集約化・統合

(7)デジタル化による介護の効率化

①デジタル活用を通じた施設人員配置基準の緩和<
②関係者間のデータ共有による効率化
③自治体との情報のやり取りの電子化・標準化

(8)リアルワールドデータを活かしたケアサイエンス向上と過剰医療防止

①「医療アウトカム白書」を作成し、どの医療・薬が効果的かを評価
②診療ガイドラインから逸脱している無駄な医療を洗い出し

(9)集住によるサービス提供の効率化と社会参加の円滑化

①ケア・コンパクトシティの構築と司令塔作り
②高齢化が進む団地再生の推進
③介護ボランティアに対する「社会保障コイン」の発行
④高齢者の社会参加を促す情報プラットフォームの普及促進

(10) 超高齢化社会を支える自治体人材の課題解決力の底上げ

「地域包括ケア・アカデミー」を立ち上げ、全国自治体の人材を育成

 

 

個人的には社会保障制度において医療のDxやAI活用などがどの程度今後5年~10年で進むのかにとても興味がありますね。超高齢化社会においてケアされる人も、ケアする人も、取り巻く人全員がある程度幸福になれるような制度設計ができればいいですが・・・・そんな制度は可能でしょうか?皆さんはどう考えますか?

 

 

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